源游会の始まり
源遊会の設立
どんな出来事も一年も経てば状況は変わる。例えば、毎日朝の清掃に駆り出されている立場であってもそのくらい関われば、親友とまではいかなくとも友人にはなれる。人によってはそれが未来の嫁さんを捕まえる転機になることもあるのだから。
本人のご希望で本名は伏せるが、表示に当たってメメと表記する。ちなみに、幸作って誰だよと思った人はいると思うので伝えておくが、個人的に命名した名前の方が覚えが良かったので、ある程度のランクの相手にはあだ名で呼んでいた。メメもその類だ。
一例として、何故幸作になったかというと、幸せを作るという意味と細工をするのが上手かったので工作とかけて、幸作と名付けた。本人はかなり気に入っている様子で、友達クラスになっている人物にはそう呼ばしているそうだ。
幸作のコミュニケーション能力が高かったこともあるのだが、先述の一件を皮切りに、蒼井理事から頼み事も後を受けることが多くなり、内外にも徐々に知り合いが増えて来た。その影響かなんかは知らないが、勝手に自分の教室に居座る奴が増えてゆき、いつの間にか教室は溜まり場に成っていた。
流石の大雑把な―—寛容な蒼井理事も看過できないとお達しが出された。せめて人数と名前は把握をしろっと命じられた。
面倒くさ!と、思いはしたものの、立場は庇護下にあるので命に従った。
そして、「話がある」と教室の奴らに号令掛けたら「お、RG!」「ゆゆ!」「ヌシ殿~」「師匠!」などなど自分の名を指し示す声があった後、クイーンから「管理しやすいようにメンバー分けをしといたゾ」と、整理された書類を渡された。そのとき思ったね。理事室に盗聴できるものがあるぞと、その報告も込み込みでとんぼ返りした。
で、報告したら「ええ、知ってる。テレビでやってたことを真似したら大量に出てきた」と悟ったような苦笑いして、黙々と報告書に目を通し始めていた。
まさかこの報告書が何年の時を越えて牙をむいてくることになるとは、誰も予想などしていなかったと思う。今となっては後の祭りだが。
そこの誤解を再び解くにも、あえてメンバーについての詳細を記しておく。
まず先に取り上げておくが、この時点ではまだ源遊会の名は無かった。話がややこしくなるので言っとくが、事件を起こした源游会の事ではない。発音が同じだから勘違いしやすいのだが、遊ぶと游の違いがある。なんでこんなことになっているのかは、その詳細を読み解けばわかる。
最初に紹介するのはカラサリス。サナギを意味を持ち、幸作を中心として組織された。後に『出逢いと体験を提供する会社、魅音座』の前身となる組織である。主に経営について学ぶのが中心で、カラサリスの中でもそれぞれ専門分野を持っていて、個人の伝を使い、企業の在り方を模索していた。
次に紹介するのはフォーカード。この組織は、ネットをやっていれば一度は聞いたことがあるだろうが、ハッカー集団である。集団と言っても、たった五人の同人会といったほうが適切だ。
一応最後として取り扱うが、後に源游会として世間様に迷惑かけることになる組織アルフトについて紹介をしておく。この連中は師匠——まあ自分何だが、その教えを後世に伝えるために結成された友愛団体。この時の自分は、祀り上げられようが、コケにされようが別に良かった性格をしていたため、あまり気にはしていなかった集まりだった一派だ。
手間暇かけたのは上記のカラサリスとフォーカードだけで、あとは作業的に挨拶する程度で、他の集まりについては興味が薄かった。それが、原因であの事件が起きたわけだが、取り扱うと三巻くらいになっていまうからここでは取り扱わない。
ここではかつて同じ穴のムジナだった(過去形)であったと分かれば良い。
続け続けになるのだが、源遊会になったあともいろんな事件があって毎日その処理に追われたこともあるだけれども、扱ったらもう収集つかないので割愛する。
報告が終わった後、自教室に戻り、皆が見てきて「どうします総称は?」とまた理事室に戻らないといけない案件が出てきてため息は出たことを妙に覚えている。ここでやっと論議を重ねというか、自分は面倒だったからあまり参加しなかったが名前は決まり『遊びを源に学ぶ会合、略して源遊会』となった。
あんま参加していなかった立場で言うのもなんだが、奇しくも自分の名前の由来のようになってどこか気恥しさがあった。
そのせいなのか。アルフトをこれを流用して、厄介ごとを起こす新興宗教を建ててしまうのだが、そこを深堀すると収拾がつかないので控えさせてもらう。
このような出来事がありながらも、気付けば大学を卒業する時期にまでなっていた。別の章で取り扱った通り、将来のことも考えていなかった遊学青年は卒業するまで、食っちゃね食っちゃねしていた。
そんなときにカラサリス、この時にはもう既に魅音座に成っていたメンバーから、感謝の気持ちを込めて、関係者が入れるところやイベントに自由に行き来できる権利が与えられた。これが本題に繋がるとある権利であり、放蕩生活を可能にした秘匿権威にもなる。
最初それを掲示された時、「いらないよ。そんなもの」と一度は断った。しかし、皆予想をしていたのか、クスクス笑い出して代表として幸作が「ジュハハハ、何を言って言っているんですか。この権利は師匠のためではなく、我々のためですよ」と笑われた。
この感覚はどこか懐かしく、思わず目がシバシバしてしまった。その様子を見て、メメが「どうやら、うまくいったようね」と合いの手を入れ。幸作、ではなく松木戸幸之助としてニチャニチャしながら自分の手の中に「この権利は我々を監視、そして困った時の最後の希望として持っていて欲しんですよ。最大の間違いを起こす前に現れることを望んで」と言いドックタグを握らせ。
「……こういうものは他人に付与しても良いものではない。もし、自分が濫用したらどうする」と拳を突き出し拒絶した。が、突き返された。
「まったく頑固ですね。もし、そんなことしたら、あの日のように『帰れぇ!』て追い出すので心配しないでください」と、確信犯のごとく笑ってみせた。
それを見た瞬間「まったく……」と出藍の誉れを感じつつ後頭部を掻き、そのドックタグを受け取った。
幸作が執念深いのは言わぬもながら知っているが、これは彼の妻になったメメも言っていることになるが、『捕まる相手を間違えていたらあの行動能力で、一国滅ぼすことできる人物に成っていた』と、今思えば「そうだな」と反応するしかないほどの感慨にやられてちまう。
この後、源遊会を解散してメンバーも各所属する分野に分かれこの後も続く。だが、解散の仕方が『あとは任せる』と中途半端なやり方をしたからこれにより歪みが生じ、アルフト、源游会を設立きっかけを作ってしまったのは、自分の過去において至らなかったことだと反省している。
こうして卒業の日を迎え、父親の招集の応じることになるが、もうそこについては語り終えているから、そろそろ本題に向かうとしよう。
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