第27話⁂トム王子と魔女⁂
「ワッハッハッハ~!オードリ姫など……元々この城にはいない。フッフッフ~!お前が見ていたオードリ姫は、あれは……只のまやかし……私が思うに……あのオードリ姫とやらは……どうやら……地上で生きているらしいが……もう命の灯火が消えそうだ。それでも…もう直ぐ……死んでしまうオードリ姫とやらと……かりそめにも……愛し合うことが出来ただけでも……私に感謝して貰わないと……ワッハッハッハ~!」
「一体どういう事だ?まやかしとは……それから……キサマが言っている、地上で生きているとは、どういう事だ。言って見ろ!」
「オードリ姫は、この星フラワーフェアリー星の地上を一つに束ねている凄腕のジョニー王のお妃様なのだ。だが……もう余命いくばくも無いと、私の透視では出て居る」
「エエエエエエ————ッ!結婚していたってどういう事?」
トム王子がショックで打ちひしがれているのに対して、一方の魔女はこの城の真実を知られてしまい、恐ろしい目でトム王子を睨み付けている。
◆▽◆
それでは、この魔女は誰なのか?
【魔女:多種多様の呪文を使い、とんがり帽子をかぶり、箒に乗って空を自由に飛び回る魔法使いの老婆】
実は…この魔女は、あのダイアナ妃だった。
ダイアナ妃は、愛する夫チャ-ルズ皇太子が治める貧乏国アクア王国をもっと豊かで資源溢れる国家にしたい。更には…自分の生まれ育ったマリン王国も、不甲斐ない祖父と父である王によって、雀の涙ほどの国になってしまっていた。
この窮地を脱出する為には、あの冴えないブラッド王とイケメンで優秀なトム王子を惑わせ、骨抜きにして操る事だと悟った。
(ましてや運の良い事に、凄腕のネバーランド王国の王様は、不治の病であの世に旅立たれた。フン!あんな二人を手玉に取る事なんて、容易い事ヨ!そう思ってオードリ姫に化けて、搾り取るだけ搾り取ってアクア王国とマリン王国の為に尽力していたが、もうトム王子から色仕掛けで搾り取る事は出来ぬ。こうなれば邪魔でしかないトム王子を殺すしかない!)
◆▽◆
早速、魔女ダイアナ妃が、破壊の呪文「バルス!」と唱える。
ドッカ———ン////グッシャ———ン//X〷//ボッカン
すると……この美しいオードリ城が木っ端みじんに破壊された。
更に魔女は呪文を唱えた。
「エロイムエッサイム、我は求め訴えたり」と、唱え悪魔を呼び出した。
すると……何とも……形相の悪い、頭に2本の角が生え、頭髪は細かくちぢれ、口に牙が生え、指に鋭い爪があり、虎の皮のふんどしをつけて、表面に突起のある金棒を持った大赤鬼が現れた。
「オイ!トム王子キサマは、我々がお慕いする魔女様にとっては非常に厄介で、迷惑極まりない存在だ。成敗してくれるわ!」
そう言うと金棒を振り回して”ドタンバタン” ”ドタンバタン”と海底を揺らし、ものすごい勢いで襲い掛かって来た。
そこに食欲旺盛な緑鬼が、牙をむき出しトム王子を指で掴むと、ガブリひと飲みにしてしまった。
「ギャギャ————————————————ッ!死んで……死んでしまうかもしれない?……これは……これは……大変だ!」
そこで……トム王子は咄嗟に海底生物に指令を出した。
海底生物を自由自在に操ることが出来るトム王子が、口の中で懸命に「アブラカタブラ」と呪文を唱えた。
「アブラカタブラ」は死の呪文としても有名で、一瞬で命を奪うことが出来る恐ろしい呪文。
すると……海水の水が恐ろしい音を立てた。
「ゴゴゴゴゴゴ————————ッ❕ギュルギュルドッカ————ン!」
そして…恐ろしい勢いで暴れ出し……やがて……巨大な竜巻となってクルクル周り天に上って行った。
鬼たちも恐ろしい勢いで、竜巻に飲み込まれ吸い上げられて行く。
「ギャーギャギャ————————————————ッ!」
すると……余程怖くて苦しかったのか、緑鬼が竜巻に巻き上げられながら、口から勢い良くトム王子を吐き出した。
やっと緑鬼の口から出れた開放感で、更に今度は海の生き物を自由自在に操るトム王子の命令で、妖精や人魚更には…巨大なサメにシャチなどの魚たちが、群れを成し鬼たちに襲い掛かった。
そして…鬼たちにかぶり付き、バクバク食べようとしている。
鬼たちも只々されるがままにしている訳がない。
果敢に襲い掛かっている
赤鬼、青鬼、黄鬼、緑鬼、黒鬼五匹の鬼も巨大な魚達に飛び掛かって行く。
赤鬼は欲望の塊で金棒を、振り回して襲って来た。
青鬼は元々悪意や憎しみ怒りの象徴鬼だ。魔女様の邪魔をするトム王子が許せなくて、悪意や憎しみ怒り一杯で襲い掛かって来た。
黄鬼は自己中の象徴鬼だ。この鬼は、のこぎりの歯をブルンブルン凄い爆音で回しながら襲って来た。
緑鬼は、怠け者で食欲旺盛なので、巨大魚達に果敢に”ガブリ” "ガブリ”かぶりついている。
黒鬼は、ぶつくさ愚痴って不満タラタラ言いながら、斧を振り回しながら襲って来た。
延々と戦いが続き、やがて美しい海底都市は真っ赤な血の海と化した。
鬼たちも果敢に戦ったが、手の打ちようが無いと思い、そそくさと尻尾を巻いて帰って行ってしまった。
こうして後に残された魔女とトム王子の戦いとなってしまった。
トム王子と魔女が凄い目付きで睨み合っている。
さて……どちらに軍配が挙がるのか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます