第24話⁂トム王子の辛い初恋☆💖⁂
兄ブラッド王軍とトム王子軍の戦い。一時期ネバーランド王国の大半を征服したかに思えた弟トム王子軍だった……だが……?
戦争は終結したかに思えたが……あの恐ろしい魔物……ダイアナ妃の陰謀でさらなる展開が待っていた。
◆▽◆
実は…トム王子は美男子で頭脳明晰の完璧主義者だが、こんな完璧な男にも唯一の弱点が有った。
その弱点とは?
おん年30歳のトム王子なのだが、この年まで浮いた話が一つもない。
そうなのだ。この王子城内にも美しい女官は幾らでもいるのだが、全く反応しない。
先代王も大層心配されていた。
こんなに美男子で頭脳明晰の完璧主義者トム王子に、女の影が全く見えて来ない事から、この城内では口さがない噂が、まことしやかに囁かれていた。
「どうも…第二王子トムさまは、男がお好みのようだ?」
「そう言えばこの城内きっての若武者と手を握り合っていた」
「イヤ~?どうも…中年の域に達した、脂の乗り切ったナイスガイが好きなようで優秀な侍従長と抱き合っていた」等々とんでもない噂で持ち切り。
それではトム王子は、全く女に興味が無いのか?
◆▽◆
トム王子は数年前に地上の星に魅了させられて、静寂の夜の地上に上がり満点の輝く星を眺めていた。
実は…王様から地上は、恐ろしい所だから絶対に上がってはいけないと、言われていたのだが、トム王子は、ある日どうしても、その光り輝く…暗闇にダイヤモンドの様にキラキラ輝く小さな光の正体が一体何なのか?
海底の暗闇に満点の小さな光がキラキラ輝く、この美しく輝く正体が知りたくなった。こうして地上に、こっそり上がってしまった。
地上に対する好奇心、それは昨日今日に始まった事ではない。海底都市からいつも不思議に思って地上の世界を見つめていた。
それは何故かと言うと、地上には、眩いばかりの陽の光が差す事も有れば、真っ暗なそれこそ恐ろしい稲光と共にヤリの様に差す激しい水(それが雨である事は後に分かった)
また違う場所では海だというのに、いつの間にか……海の透き通るような青さが消えて……海の色がピンク一色に埋め尽くされ圧巻の美しさが広がる事もある。
多分……桜の花びらなのだろう。
そう思っていると今度は、緑で埋め尽くされた美しい場所が現れた。
きっと……藻で埋め尽くされていたのかも知れない。
更には季節が変わると…何かしら……?今度はその海の色が赤や黄色に華やかな色をたたえている。
やがて季節が過ぎて寒さに打ち震えていると、海は真っ白に雪化粧をしてトム王子の目を楽しませてくれた。
トム王子は、このような不思議な現象をもたらす地上に、どうしても行ってみたくなった。
だが……海底都市では地上は世にも恐ろしい場所だから…絶対に地上に上がってはいけないと言われ続けて来た。
◆▽◆
ある日、あれだけ王様から言われていたにも拘わらず、約束を破ってこっそりと地上に顔を出したトム王子。
すると……岸辺にたたずむ美しい少女を発見。
その美しさときたら、今まで海底で見た美女たちの遥か頂上の、おおよそ……その比ではない眩いばかりの美少女だった。
髪の毛はブロンドのロングヘアーにウエーブが掛かり、可愛いピンクの花柄模様に可愛いフリルの付いたワンピース。雪の様に白い肌、その透き通るような白い肌とコバルトブ-ル-の瞳からこぼれ落ちるキラキラ光る銀の雫。
その少女に釘付けになったトム王子。
それからと言うもの、毎日こっそりと地上に上がり影からその少女を眺めていた。
だが……その少女、これだけ美しい少女なのに……賞賛に値するこれだけの美少女なのに……いつも何かしら……暗い表情で……その美しいコバルトブルーの瞳からこぼれ落ちる……涙の雫。
幾度、地上に上がっても、いつも……あの美しい瞳から銀の雫が、そこで……とうとう……掟を破り地上に上がってしまったトム王子。
そして…恐る恐る話しかけた。
すると……その少女は涙を拭い、あれだけ暗い表情で涙していたにも拘らず、王子を見るなり漫勉の笑顔を向けてくれた。
それは何とスプリング姫の母オードリ姫だった。
スプリング姫の母オードリ姫は身体が弱くて余命いくばくも無いと宣告を受けていた。
まだ17歳の少女は、死が直前に迫っている悲しみで毎日涙していた。
だが……優しそうな青年に声をかけられて話をしていく内に、余りの見聞の広いトムにすっかり打ち解けたオードリ姫は、例え命がいつ果てようと、このトム王子と話をする事で今まで知らなかった世界が広がり、すっかり心を開いてトム王子が訪れるのを待ち望むようになって行った。
こうして束の間の時間を楽しむトム王子とオードリ姫は、美しい森を掛け花々や小鳥と戯れ時は流れていった。
トム王子はこっそりと地上に上がって、オードリ姫と夢のような時間を楽しんでいたのだが、ある日を境に姫の姿がプツリと消えてしまった。
こんな事があり、トム王子は未だその現実を受け入れる事が出来ずに、ひっそり地上に上がり、もう十年も立つというのに、今だオードリ姫の事が忘れられずに探し求めているのだ。
◆▽◆
オードリ姫は実は、スプリング姫の母で、父はあの頃はまだ王子だった、ケビン王子のいいなずけだった。
トム王子と知り合った頃は、もう結婚の日にちも決まっていたのだが、死の宣告を受けてショックで打ちひしがれていたオードリ姫は、知らない世界を教えてくれるトム王子と話していると、その悲しみを忘れることが出来たのだった。
だから…トム王子が現れるのを心待ちにしていたが、それは愛ではなく友達としての友情を築きたかっただけなのだ。
時として……男女の出会いとは残酷な結末を迎えるものだ。
そんな事何も知らないトム王子は、この美しい少女に身も心も奪われ、忘れることが出来なくなってしまった。
だから…急に海辺の畔に現れなくなったのは、結婚したからだったのだ。
死期が迫っていたオードリ姫では有ったが……それでも…オードリ姫は、結婚してスプリング姫を出産して、スプリング姫が十三歳になるまで生き延びることが出来た。
それは、ひとえに夫である王ケビンが、愛するオードリ妃の為にありとあらゆる医術視や占い師、祈祷師などの力を借りて必死で永らえさせる事に、力を注いだ賜物だった。
◆▽◆
ダイアナ妃はネバーランド王国の兄ブラッド王と弟トム王子の、戦闘力の差を見せ付けられて、いつまでも兄ブラッド王に関わっていても、良い結果は生み出せないと察知した。
更には…このトム王子とんでもない言い掛かりを付けて来た。
「今まで奪った領土を返せ!さもなければまた戦闘態勢に入り、アクア王国を木っ端みじんにしてクレルワ!」と言って脅しを入れて来た。
そこで恐ろしい考えが頭をよぎった。トム王子を弱体化させる方法はないものか?
そして…過去を見通す過去視や予知能力に長けているダイアナ妃は、ある日トム王子と会談した。
その時に、過去を見通す過去視や予知能力に長けているダイアナ妃は、トム王子の弱点を掴もうと考えた。
「念力の力で戦争の疲れをほぐして差し上げましょう」
そう言って、このトム王子の全てを知った上で、作戦に取り掛かろうと考えた。
そこで……まず……過去を見通す過去視をして見た。
すると……過去に美しい少女オードリ姫に心を奪われて、それ以来心の扉は固く閉ざされて深い闇の中を彷徨っている事が、透視の結果分かった。
◆▽◆
今尚、オードリ姫を諦めきれないトム王子は、いつものように、こっそり地上の美しい森に向かい、居る筈の無いオードリ姫を当ても無く探し回っている。
そして早速、森の中に入ろうと前方に目を向けると、一体どういうことなのだ。
もうすでに十年も経っていると言うのに、夢にまで見たオードリ姫にそっくりの女性が立っているではないか?
それでも…時の流れとは異なもので、少女だったオードリ姫も、もう少女では無く妖艶な一層光り輝く美しい女性に変貌を遂げていた。
トム王子は、まだ告白をした訳でも無いのに、森の美しい花々を摘んだり、野イチゴを食べたり、深い森の泉で何時間も語り合った日々が、走馬灯のように蘇りあれだけ捜し回った少女に会えた余りの感激と、嬉しさと、愛しさに、涙がとめどなく溢れ出て、言葉を出そうにも余りの嗚咽で言葉にならない。
「ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭 アアア嗚呼!( ノД`)シクシク…会いたかった。ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭オードリ姫。ウウウウッ(´;ω;`)ウッ…ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭オードリ姫。ウウウウッ(´;ω;`)ウゥゥ ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭どこに……?どこに……?行っておったのじゃワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭」
「どうなさったのですか?トム王子、お顔が涙で……クシャクシャではありませんか?何か……わたくし……悪い事でも致しましたか?」
「アアア嗚呼……アアア嗚呼……申す……申す……私は……私は……あの時、姫が余りにも美しいので……本当は……今日こそは……今日こそは告白しようと…いつも……思っていたが、勇気が無く告白できなかった。まさか……こんな今生の別れが待っていようなど……思いもしなかったのだ。ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭今なら言える。たとえどんな結果になろうとも、突然、私の前から居なくなる苦しみから思えば、たいした事ではない。オードリ姫……君を愛している。結婚して下さい!」
「まぁ~:*:・'°☆💖嬉しいお言葉💛💛💛わたくしだって……トム王子を心から💞愛しておりましてよ~💋」
「アアア嗚呼……💘😚*・゚゚💕アアア、愛しておるブッチュ💋」
「嗚呼……王子様……:*:・'°☆💖わたくしだってブッチュ💋」
この恋愛模様は、あの恐ろしいダイアナ妃の……策略で……偽りの……?
トム王子はどうなってしまうのか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます