第3話 俺なの?
「へぇ〜アンタは付与術師なのね」
「ん、完璧人間の崇斗が勇者で、剣術馬鹿の航汰が剣聖。弓道部だった美咲が聖弓師も納得。化学部で数々の実績を上げたワイが錬金術師なのは言わずもがな。でも、ジャナイは何で?」
俺のステータスを見た二人は其々の感想を口にする。夏鈴に至っては頭の上に?マークが何個か浮かんでいる様子だ。
「いや、僕は納得だな。ジャナイ君は先頭に立って何かをするタイプじゃないけど、絶対に居て欲しい存在でしょ」
「崇斗の言う通りだ。個性的な俺達が衝突もなく一緒に行動できるのは、ジャナイが常に後方支援しているからだ。そう考えたら妥当だな」
うぬ?野郎二人が褒め殺しか?
ってか……気になるのはそこじゃねぇ。
「いや、付与術師とか問題じゃねぇんだよ。注目すべきは名前の欄だよ。名前!」
俺の主張に4人は同時に首を傾げる。
「「「「何か問題?」」」」
見事なまでにハモりやがった……
「俺の名前は神城天翔だぁぁぁ。勝手に改名されてんじゃねぇかよ。俺は家庭裁判所で手続きをした覚えはないわぁぁぁ」
はぁはぁ……思わず大きな声を上げてしまった。
すると、一人の神官風の男が近寄り
「あの……貴方様はカミジョウタカトという御名前なのでしょうか?」
随分と驚いた顔で聞いてくる。
周りもザワザワとした感じになっていた。
「あぁ、そうだよ。このステータスに表示されているジャナイってのは渾名とか愛称?ってやつで、本名は神城天翔だ」
「成程……不測の召喚結果の理由が分かりました。しかし、これは……」
それから召喚に関しての擦り合わせが行なわれたのだが、結論は無茶苦茶だった。
まず、今回の召喚は女神の信託によって行なわれたものである。その際に指示されたキーワードは時空間座標の数字、召喚される者の名前「カミジョウタカト」の2つ。
その条件を満たす者が2名いた為に、その両方が召喚される事となり、さらに2名の間にいた残りの3名も巻き込まれた形となった。
教室での座席位置は、教卓に近い前から崇斗→美咲→航汰→夏鈴→俺であり一列に並んでいる。
「あぁ、つまり……貴方達は勇者である崇斗一人を召喚しようとしたが、俺が同姓同名かつ同じ場所にいた為に意図しない結果となった。この認識で大丈夫かい?」
自信を持って問い質した。
「いえ……違います」
え?勇者である崇斗を召喚して魔王やら邪神やらを倒して欲しいって鉄板ネタでしょ?
俺を含め崇斗以外は共通認識だったらしく、戸惑いの表情を浮かべている。
「私共が望んだのは付与術師である貴方様です」
……は?
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