第15話 まさかの報告をされた
蓮見から空き教室に呼び出された僕はお昼休みに空き教室にやってきていた。
一時は蓮見のことを意識しすぎてしまい面と向かって会話をするのが難しくなっており、蓮見の前から嘘をついて逃げ出すことすらあった。
しかし、蓮見のおかげもあって普通に会話ができるようになり、それ以来問題なく会話をすることができている。
ただ普通に会話をするだけならば問題ないが、俺が蓮見から恋愛相談を受けているという大問題は解決していない。
人生とは奇妙なもので、僕は三鼓に続いて好きな人がいる女子のことを好きになってしまった。
その上、好きな人からその人の好きな人と上手くいくように恋愛相談を受けており三鼓の時と全く同じ状態になってしまっている。
じゃあ相談なんて受けなければいいじゃないかと思われるかもしれないが、好きな人からの相談を無視するわけにもいかない。
八方ふさがりとなっている僕は窓の外を見ながら文句を垂れ流した。
「……はぁ。なんで連続で好きな人がいる奴のことなんか好きになるかな」
「独り言?」
「--は、蓮見!?」
悩み事に集中してしまったせいで、蓮見がこの空き教室までやってきて僕のそばまで来ていることに全く気付いていなかった。
蓮見が僕の独り言に対して声をかけてきた時には蓮見はすでに僕のすぐそばまでやってきていた。
先程の独り言を訊かれていないとも限らないが、セーフだっただろうか?
「どうしたの、私見た瞬間そんなに慌てて。約束してたんだから私がここに来るってのはわかってたでしょ?」
「そ、それはそうだがせめて教室に入る時にノックやら声をかけるやらしてくれ。じゃないと--」
「何回もノックしましたが?」
「そ、そうか……すまん」
「わかればよろしい」
蓮見が僕の独り言を聞いたか聞いていないかは定かではないが、これ以上蓮見に質問しても火に油を注ぐことになりそうなのでやめておいた。
まあ特に表情に変化があるわけでもないし恐らくは聞かれていないのだろう。
「あ、あの……こんにちわ」
僕と蓮見の会話に割って入るようにして誰かの挨拶が聞こえてきた。
この声、まさか……。
「--っ!? 三鼓!? どうしてここに!?」
蓮見の後ろからぴょこっと姿を現したのは三鼓だった。
今日は蓮見が僕に相談があると言ってきたので蓮見のためにこの空き教室まで足を運んだが、実は今日は蓮見ではなく三鼓が僕に聞いてほしい相談があるのだろうか。
いや、三鼓はもう片桐先輩と付き合っているし、色々とよろしくやっちゃって仲が深まっている可能性もあるので、今更恋愛相談何て必要無いはず。
それならばなぜ三鼓はここにやってきたんだ?
「あ、あのね……その……」
「あ、もちろん嫌なら無理して言わなくていいからな?」
「ううん。大丈夫。あのね。私、片桐先輩と別れたの」
「……へ?」
三鼓が片桐先輩と別れたという可能性を頭の中から捨て去っていた僕は、その場で状況を整理しようと奮闘していた。
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