第10話 初プレス

 その後、騒ぎを聞きつけたらしい壮年のギルドマスター殿に別室へと案内された俺は、彼から特例でSランクへの昇格を提案されたのだが、


(いや、絶対今のままの方がいいですって! イキり散らしてるあんちくしょうどもをざまぁさせるのが最高なんですから!)


(君、なんかキャラ変わってない?)


 というような感じでそれは丁重にお断りさせてもらった。


 ただその代わりに結構な額の報奨金をもらったので、今後の旅に有効活用させてもらおうと思う。


 というわけで、早速この町で一番豪華な宿の部屋をとった俺は、仕事上がりのシンディさんとディナーを愉しんだ後、ついに念願のプレスタイムへと突入した。


 シンディさんが俺好みのエロい巨乳美女なのは言わずもがな、この世界に来てはじめてかつ脱素人童貞ということもあってか、それはそれは気合いの入った激しい夜だった。

 

 あれほど興奮したのは一体いつ以来だろうか。


 湯上がりの彼女がバスタオルをはらりと脱ぎ捨てた瞬間、思わずパンツが吹っ飛んでいったほどだ。


 しかも事後にはしっかりと甘えさせてくれた上、頭まで撫でてくれるママ具合だ。


 そう、俺の求めていた楽園がここにあったのである。


 あとはシンディさん似の可愛らしい子が生まれてきてくれたらもう何も言うことはない。


 子沢山ハーレムを目指す俺としては最高の出だしと言えよう。


「何かあったらいつでも呼んでくれ。どこにいようと必ず駆けつけよう」


「ええ、分かったわ。でもできれば三日に一度くらいは抱いてもらえないかしら……? だって私、もうあなたなしじゃ生きていけない身体になってしまったし……」


「ふ、よかろう」


 ぎゅっとラブラブな抱擁で別れを惜しむ中、ぴのこが半眼で言った。


「いや、〝よかろう〟じゃないですよ……。三日に一度のペースで戻ってきてたらどこにも行けないじゃないですか……」


 と。


 ――ぴろりん♪



《新しいスキルを習得しました》



「えっ? ま、まさか……っ!?」


 愕然とするぴのこの期待に応えるかのように、俺はステータス画面を開いてやる。



即姫そくひめ》:お気にの嬢のもとへ一瞬で移動できる。



「なっ?」


「もうなんなんですかこれぇ~……」


「ふ、これが〝種付けおじさん〟だ」


「だからそのおじさんがなんなんだって話ですよ!? っていうか、どちらかというと〝風俗おじさん〟じゃないですか!?」


「ふむ、そうとも言うな」


      ◇


 そうして新たな嬢ことママを探すべくルーファをあとにしようとした俺だったが、さすがに徒歩では膝にくるということで何かいいスキルはないものかと吟味する。


 ちなみに今の俺は〝隻眼〟を倒したことでレベルが72まで上がっているので、確認していないスキルがそこそこあるのだ。


「ほほう、股間に犬を集めることができるスキルがあるぞ」


「え、それなんの役に立つんですか……?」


「ふ、それは使ってみてのお楽しみというやつだ。どれどれ――」


「いや、〝どれどれ〟じゃないですよ!? 何普通にパンツ脱ごうとしてるんですか!? そのスキルは封印です、封印!」


「ふむ、そう言われてしまっては仕方あるまい。では何か別の……お、〝ユニコーン〟が喚べるぞ。これなどよいのではないか?」


「わあ! いいじゃないですか! 私、一度乗ってみたかったんですよ、ユニコーン!」


 ぱあっと瞳を輝かせるぴのこを微笑ましく思いつつ、俺は言った。


「よし、そうと決まれば早速喚んでみるとしよう。――出でよ、《処女厨しょじょちゅう》!」


 ――ぶうんっ。


「いや、あの、ユニコーンを〝処女厨〟呼ばわりするのやめてもらっていいですか……?」


「そう言われてもな。スキル名が《処女厨》だからどうにもならんのだ」


「……はあ」


 がっくりとぴのこが肩を落とす中、ほのかな輝きとともに純白の一角獣が姿を現す。



「――ヒヒーン!」



「おう、来たか処女厨」


「いや、呼び方……」


 ブルル、と鼻を鳴らすユニコーンの首元を優しく撫でた後、俺はやつの背に跨がる。


 乗馬ははじめてだが、いつの間にやら《騎乗A》のスキルも覚えていたみたいで、感覚的に乗り方を理解しているようだった。


「それで次はどこに向かうんです?」


「まあちょっと待て。――おい、どこに行けば女がたくさんいる?」


 ――きょろきょろ。


「ヒヒーン!」


「そうか、あっちか。というわけで、あっちだ」


「いやいやいや……。え、なんですか今のは……」


「うん? 普通に生娘の気配を探っただけだが?」


「いや、そんな〝常識だろ?〟みたいな顔で言われても……。え、ユニコーンってそういうことできるんですか……? なんかイメージが崩れるっていうか……」


 どこか引いたように問うてくるぴのこに、俺はこくりと頷いて言った。


「無論だ。伊達に〝処女厨〟などと呼ばれてはいないからな。考えてもみろ。こいつら処女以外の女を問答無用で串刺しにするんだぞ? 普通にやべえやつだろ」


「いや、まあ……はい。確かに冷静になって考えてみたらやべえやつでしたわ……」


      ◇


 というわけで、そのやべえやつに跨がりながらどことも知れぬ森の中を颯爽と駆けていた俺たちだったのだが、



「――見つけたぞ、卑劣なオークめ! 我らの同胞をどこへやった!?」



「ほう、ダークエルフか。覚えておけ、ぴのこ。ああいう気の強そうな女は尻が弱い」


「いや、この状況でなんの話をしてるんですか……」


 何やらまた一波乱ありそうなのであった。

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