第103話 【最終話】これから
あれから1年がたった。
テラス様にこの世界を任されるようになったが…
『いやぁ…どうだい調子は…』
『仏っちゃん様、仰せの通りに組み込みました』
『ねぇ私の方は』
『マリアちゃん方も取り入れましたよ』
結局、テラスちゃんだけで納まらず他の仏や神も『異世界での権利』を主張した。
日本の神や仏で話し合いの結果、それら全部を統合した新しい宗教にテラス教は生まれ変わった。
ただ、此の世界が元々一神教の為、複数の神や仏が存在出来ない。
その為、酷い事に全部を統合した存在に俺は作り替えられた。
神であり仏であり神の息子でもあり、その他エトセトラ…幾つの神や仏の力が加わったのか解らない。
神になった時の力が1理人だとすると、今の俺の力は10万理人を越える。
もう邪神であっても指先一つで滅亡させ、指先一つで復活出来る。
此処までの事になり、大勢の神や仏の怒りを買ったこの世界の創造神は300年の期限ではなく、此の世界その物を地球の神に受け渡す事を約束させられた。
そして女神イシュタスはこの世界の管理責任を問われ…下層世界の女神へと落とされる筈だったが…それを拒否。
その結果、世界の管理責任の無い『自由女神』となった。
自由女神とは聞こえが良いが、実質はノラ女神だ。
本当に何を考えているのか解らず…創造神も頭を痛めているそうだ。
俺の方はというと、神や仏との定義合わせで四苦八苦している。
親友の木崎君の結婚式は何とか執り行ったものの、自分達の方はまだ先になりそうだ。
木崎君といえば、例のネズミーランドの婚前旅行?で、向こうでも神でなく、世界で一番金持ちのネズミや熊に祝われて結婚式もしたそうだ。
その際にしっかりやっていた結果、ユウの方が妊娠。
此方の結婚式ではユウはお腹が出ていた。
その結果、ユウナに毎晩の様にねだられているそうだ。
可哀想なので『精力倍増』のスキルをあげた。
ただ、神って奴はヤバイ。
木崎君と彼女達は『やったのか』そんな事を考えただけで親友の初夜の映像が見れてしまった。
勿論、慌ててチャンネルを回すように切り替えたけどね。
三端由香里、通称ゆかりちゃんは、此の世界で引き籠りながら小説を書いている。
元がいじめられっ子で気の弱い彼女は向こうに戻っても碌な事は無いから、此の世界に残した。
俺が心を見透かした結果、木崎君ほどでは無いが『俺を殺したくない』そう思ってはいた様だ。
だが、助けるために行動を起こした木崎君と、ただ見ていただけの彼女は明らかに違う。
俺が死んだ時硬直して動けなかったから、簡単に捕まった。
それが多分、真実だ。
まぁ木崎君が親友なら彼女は友人、遊び友達位には思っていてくれたのだろう。
しかも怖い思いもしているので保護してあげた。
彼女の書く小説は日本が舞台だから、此の世界の人間から見たら意味が解らない。
ただ、塔子や綾子に木崎君には人気があるから、そのままの人生で良いかも知れない。
木崎君が王だから、彼が読んで面白ければ充分価値がある。
マリン王女はあれから、真面目に俺を口説こうとしてくる。
最もフルールにその度に撃退されている。
一度「三人を正室にして側室にでもするか」そう言ったらフルールに怒られた。
神になった俺を口説く存在等…他には居ないからな。
「三人が認めたらね」と言ったら…最近は三人のご機嫌取りを良くしている。
何故惚れられたかは…神の俺でも解らない…だがどうやら本気のようだ。
◆◆◆
日本の神々と異世界の神々の間で『地球人を召喚する場合地球側の神や仏2人以上の承認を得て対価を支払う事』という事が決まった。ただそれさえも、緊急以外では行わないという約束が決まった。これで、もうライトノベルの様な事はもう起きないだろう。
これは、他の異世界にも適応された。
これから、余程の事が無い限り異世界に地球人が召喚される事は無いだろう。
そして
◆◆◆
ようやく、俺達の結婚式が出来るようになった。
人間として出席しているのは木崎君とユウナとユウ、マリン王女だけ。
その他の存在は…
「これは流石に緊張する…」
「あはははっこれは…流石に…」
「うん、豪華すぎる」
「この方たちがどうかしたのですの」
嫌この面子に驚かない人間は居ない。
だって、天照大御神様から釈迦様にキリスト様、オーディン様…一体どれだけの神や仏がいるのか解らない。
それらの神々に祝福されながら俺達の結婚式は無事終わった。
◆◆◆
結婚式に来てくれたゼウス様達からの贈り物にネクタルがあったので三人に食べて貰い不老不死になって貰った。
「さてと、今日はこれからどうしようか?」
「そうですわね、時間は幾らでもありますから、ゆっくり考えればよいのですわ」
「そうだよ、永久に時間があるんだから」
「無限にあるとなかなかやる気が起きないよね」
これからはやりたい事を好きなだけやれば良い。
さぁ今日は何をしようか…
ようやく穏やかな日常が俺達に訪れた。
FIN
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