第37話 聖母の決意
「はあ、はあ、とにかく裸では寒いし足の裏も汚れてまちゅね。お風呂に入ってキレイキレイしなちゃい。今、大浴場は他のお姉さま方が入ってまちゅので、こっちの一人用で」
別にいいんだけど、なんかヴァブミィに風呂に連れていかれた。
「ま、待って、俺さ―――」
「話は後でちゅ、お風呂でちゅ!」
「でも―――」
「お風呂でちゅ!」
「……お、おお」
俺の正体はお前の先輩のハビリで薬で小さくなったんだと言おうとしたが、俺に何も言わせずにとにかく風呂に入るように押してくるヴァブミィ。
まるで強要だ。
自分ではそんなに汚いとは思わないんだが……
「しゃーねぇな」
とりあえず、入っておくか。
俺は案内された風呂場に足を踏み入れる。
小さな浴槽が一つだけの一人用の浴室だ。
「さて、ちゃっちゃと洗って――――」
「だめでちゅよぉ~、しっかり洗わないと、メっでちゅ!」
「え~? めんどく――――――ふぼぉ!?」
え!?
え!?
オッパイ!?
あ、いや、ちが、アレ? いや、間違いなくオッパイだ!
「ちょ、なな、何やって!?」
俺が振り返ると脱衣所でヴァブミィがシスターの礼服を脱いで、白いサラシを投げ捨て、ガーター付きの白パンツもズルっと脱いで……なんで?!
「なにって、あなた一人では洗えないでちょう? だいじょーぶ、私がキレイキレイしてあげまちゅよぉ~♥」
「え!? いや、え、いや、え!?」
「はあはあはあはあはあはあはあ! さ、滑ると危ないので抱っこしてあげまちゅ♥」
「ッッッ!?」
一緒に入るの?!
そう思った次の瞬間、ヴァブミィは俺を抱っこしてた。
互いに全裸。
温もり。
そして、この柔らかさ!
この世界では真面目に禁欲生活を送っていた俺に、こ、この、服越しでもなんでもなく、直での、お、おぱ、ぽあああ!?
「や、だあ、やめろぉお、離せよおお、俺、ひ、ひとりではいれるぅ!」
「まぁ、ジタバタしていけないこでちゅね! 暴れるいけない子は、もっとギュ~~~~っとして離さないでちゅ♥」
ぎゃあああああああああああああああああああああああああ! 至福ううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!! ……じゃねえよ、なんだこりゃあああ!
「うふふふ、どうでちゅか? 大人しくしまちゅか? (ほんわあああああ、なんという、なんというスベスベプニプニの男の子オオオォォォ! か、可愛すぎます! も、もう、食べたい! あぁ~、女の子の裸に恥ずかしがってイヤイヤする仕草もツボです! 泣きそうな顔を舐め回したい! あぁ、もう体中にキスしたい!)」
「だめだよぉ~、お、俺、男なんだぞおお!」
「あらあら(キャアアアアア、女の子の裸に照れて照れての生意気な強がり! イイ! 私好みの生意気な男の子です! 私の妄想の中にしか出てこない、生意気な小さな男の子に女の子の身体のお勉強をしてあげる……そ、それが、げ、現実に! し、しかも、あぁ~~~、この子の身体……ふぁぁあああん♥♥♥)」
いかん、子供の身体で良かった。元の身体だったら俺はもうどうなっていたか分からんからな。
いや、でも、こ、子供の身体でも、こ、これは……
「んふふふふ~、そうは言っても坊やはエッチに興味深々でちゅねぇ~、そんなに私のオッパイが気になりまちゅか?」
「ちが、き、気になんないしィ!」
「気になるでちょ! えい、むぎゅうううぅぅ~~~♥♥♥」
「んぼああああ!?」
た、たま、たまらん!
ってか、アレ? こいつ、結構ヤバい奴だったりしねえか?
小さい子供に対するスキンシップにしては度を越えてないか?
「んふふふ~、坊やのマーマのオッパイと比べてどうでちゅか? あなたのマーマはこうやって甘えさせてくれますか?」
「し、知らないシィ、大体俺の母さんはとっくの昔に死んでるし!」
「ッッッッッ!!??」
とにかく逃げなきゃ……アレ?
「坊……や……」
「え?」
そのとき、急に真顔になったヴァブミィが俺を離して床に降ろし、そして真剣な顔で……
「坊や……マーマは?」
あら? 俺の母さんが死んだことに反応したのか?
あっ、そういえばこいつ、前回も戦災孤児のように身寄りのない子供たちに対して色々と尽くすような聖母だったし……
「ああ、ずっと前に死んだよ」
「……そう……」
「でも、もう昔の話だし、俺、全然もう悲しいとか寂しいとかそういうことねぇから、気にすんなよ!」
俺はもうガキじゃないんだ。
だから気にするなと……
「いいのです!」
「ほわっ!?」
と、思ったら、また強く抱きしめて来やがっおっぱい!
「もう、いいのです……そんなに強がらないで……その方が寂しいです」
そして俺の頭を撫でて……いや、オッパイが気になってそれどころじゃないんだけど!
「ごめんなさい。私もハシャギすぎました(嗚呼、何という……道端で拾った裸の男の子……母もいない……なんと、なんという哀れな子。それなのに、そんな悲しい顔を見せずに屈託なく笑い……なんという強い男の子……それなのに私はハシャイで……なんと愚か……主も笑っていることでしょう……そして同時にこれは私の運命なのかもしれません……ええ、そうですとも)」
「あのぉ、だ、だから、離せよぉ~」
「坊や、私は決めました」
「なにがー、だからー」
そのとき、やがては奇跡の黄金世代の一人として、そして聖母として多くの人を救い、多くの人々を癒す英雄が……
「今日から私があなたの……『あなただけ』の『マーマ』になりまちゅ!」
「( ゚д゚)?」
俺だけのママになるとのこと。
こうして俺は年下のママができた。
――あとがき――
母と子の絆はいかに?
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