幻と精霊編

第41話 旅立ち

 次の日。


 俺達は何事もなく王都を後にした。


 入口まで見送りに来てくれた大勢の人々に見送られながら、満面の笑みで手を振るシャリーにこちらまで嬉しくなるくらいだった。


 リアちゃんが少し恥ずかしそうに手を振るのも可愛かった。


 大通りをゆっくりと歩いて進む。


 一番前にシャリーと頭の上にクレア、その後ろをソフィアちゃんとリアちゃんが並んで歩く。


 ルークは二人の頭に交互に乗ったり、近くの魔物に飛んで一撃で倒して戻ってくる。


 一番後ろに俺が歩くという順で歩く。


 こうして俺の前を歩く三人と、すっかり仲良くなった妹弟たちを眺めて自然を笑みがこぼれてしまうのは嬉しい限りだ。


 それにしても、異世界に来て色んな事があったけど、王都での出来事以外にも不思議な事が起きている。


 その代表的なのは、才能だ。


 才能の儀を経て才能を設定できて、俺が設定したのは『先導者』という才能だ。


 最初はこの才能について分からないことばかりだった。というのも、『先導者』という名はどの本にも記載されておらず、俺だけの才能である事が分かった。まぁ、知らないだけで他にもいるかも知れないけれど、冒険者ギルドでは未だ一度も観察されたことはないみたいだ。


 と、『先導者』という才能の力は何なのか分からなかったが、実はここ最近でその効果を知る事ができた。


 意外にも効果は多い。




 まず、『先導者』を語る時に欠かせないのが『導かれた者』だ。


 『導かれし者』になれるのは、実はそう多くない。というのも、特性上、俺が導ける人じゃないとなれないし、なったとしても本人は気づかない。気づいているのは俺だけ。


 俺が導ける人はそう多くない。だから誰でも好き勝手に『導かれた者』にはできない。つまり、『導かれし者』になれるのは『悩みを抱えている人』であり、『俺が導ける人』だけとなる。


 今のところは導けなかった人はいないが、こういった能力は必ず失敗も存在すると思える。


 母さんから自らの足で歩くようにと言われて、『道しるべ』と『先導者』を獲得した時に、俺が異世界に生まれた理由はここにあると思う。


 先導者を成長させるために必要なのは、魔物を倒す事でも、歩く事でも、道しるべを使う事でもなく、結果『導かれた者』を増やすことで成長できた。


 成長といっても前世のゲームのレベルのようなものは存在しない。異世界ならレベルという概念があるのかなと思ったら、そういう概念も存在しない。才能もあくまで熟練度によるスキル獲得のみのようだ。


 現在、僕が導いた人は全部で三十人。


 最初にビゼルさんが『導かれし者』となった後、『先導者』が初めて成長して与えられた能力は、『導かれし者』の全てのステータスが一割上昇するという能力上昇する力だ。


 あれから人数が増える度に特典が与えられ、特典は一人目以降は、五人の倍数の時に貰えた。


 五人目の時の特典は、採取+1。


 十人目の時は、『導かれし者』ステータス二割上昇。


 十五人目の時は、『先導者』ステータス二割上昇。


 二十人目の時は、究極スキル『見習う』。


 二十五人目の時は、『採種さいしゅ』。


 最後の三十人目の時は、『光の柱』。


 ちなみに、三十人目はリアちゃんだったりする。


 現在、特典は『先導者』も『導かれし者』もステータスは二割上昇。究極スキルが一つ、道しるべで使える力が三つ増えた。


 まず一つ目は道しるべのマップから採取した植物が倍増・・するというとんでもない効果。


 二つ目の採種は道しるべに入れている植物を消費して種を十個生む事ができる。


 三つ目の光の柱というのは、自分の二十メートル以内に道しるべの遠隔視覚化できる柱を立てる事ができる。つまり、アルキバガン森の近くに柱を設置しておけば、遠くからでもいつでもアルキバガン森が選択できるという事だ。


 それと、獲得した究極スキルは俺自身のためのスキルであり、『見習う』という究極スキルで、『導かれし者』の中から一人選択して、その人が持つ才能のスキルを行使できるというものだ。特別スキルは行使できないみたい。


 と、気づけば王都で過ごした日々でこれ程成長したんだなと何だか懐かしさすら感じる。




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【ステータス】


種 族:半神半人デミゴット(朱雀)

特 性:火属性◎ 風属性〇 水属性×

加 護:朱雀ノ理

加 護:先導者の加護


名 前:アルマ

年 齢:15歳

才 能:先導者


【能力】


身体能力:600+120

魔法能力:900+180


【究極スキル】


『神語対話』『道しるべ』『見習う』


【道しるべ】


『採取+1』『採種』『光の柱』

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