5−2 ある民間軍事会社のお仕事
ブラックは渡された五十万から二十万を抜いて、三十万円を封筒に戻した。リーダーエリックは全然分かっていないなと苦笑する。いつもの待ち合わせ場所で「よぅ、マリオ!」と馬鹿みたいに金髪に染めた二人組が近寄ってくる。
「二人とも、時間丁度だ。さすが日本人は勤勉だ。そうそう! 二人の事をボスに話したら、見込みがあるって、取り分以外にこれを渡しておけって頼まれてたんだ! 一人十五万ずつある。とっておいてくれ!」
「ひゅー! マジかよ!」
「ソープでもいくか? 良治? マリオ」
嗚呼、実に馬鹿だなとブラックは思う。マリオって誰だよ。そんな奴いねーよと思いながら「どうするマリオ?」
「そうだね。ならここは俺に奢らせてくれないか? ボスにいい仲間を見つけたからって俺は二十万貰っているんだ。二人とはこれからも良好でいたいからね」
「ちょ! マリオ、マジ神! 最高のダチだぜ! な芳樹!」良治と呼ばれた日本のガキと芳樹と呼ばれた日本のガキはそう言って大喜び「神! マリオ神すぎる!」
神? そんな奴がいれば俺には会わなかったろうよ。「そう! 俺は神! きっと良治に芳樹の今までの悪行も神は許すでしょう! なぜなら俺が許すから!」
「マジうけるって!」マジでウケるよ。こんな何も面白くない事を言ってお前たちは喜ぶんだからなとブラックは心の中でほくそ笑む。
「そうそう! ウケるって言ったらさ、この前俺たちガーデンズでヤレそうな女に声かけたんだよ。そしたらその女ヤバいくらい強くてさ、気が付いたら二人とも男子トイレに押し込まれてたのウケるだろ!」
「芳樹! その話やめろって言ってんだろ!」
「えっ? なになに、その話詳しくきかせてよ! 俺強い女の子好みなんだよね」
こいつらを殺すなんて秒でできるが、リーダーの件もあるし話を聞く。「アレ相当格闘技を極めてる女だよな。なんか仕事とか言ってたし」
「仕事とか言ってたな! 今思うとちょっと薬やってる感じかもな」聞く必要もないくらいなんの情報も入ってこない。こいつらなんで生きてるんだろうなとブラックは思う。「二人ともそれで男子トイレにしけこんでお互いのカマ掘りあってたって事? というかどこのトイレよ」
「西宮ガーデンズのさ……」その発言を聞いてブラックはリーダーの言っていた女じゃないのかと興味を持つ。「なんか、弱そうな奴を見守るとか言ってたよな? もしかしたらストーカー? ギャハハハ! やべぇ女」
「へぇ、俺さ、そのヤベェ女、抱いてみたいよ」
ああ、少し悪い癖が出そうだとブラックは顔がにやけるのを隠せなかった。
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