保護された野良子犬はケルベロスだったけど、それに誰も気づいていない件について

ビーグル犬のポン太

第1話 保護犬ケイ

 愛犬の名前はケイ。


 一年前、川口湖のほうにあるキャンプ場で保護した野良犬だ。


 メスだ。


 その時は、本当に小さくて、クンクンと鳴いて震えていた。


 もともと犬が好きだったので、無視できず、保護したんだ。


 順調に成長し、今では俺と同じくらいの大きさになっている……そして、火を吐くし、走れば車よりも速く、五階建てのビルの屋上から地上へとジャンプし着地しても平気なワンコだ。


 犬種は本当にわからない。シベリアンハスキーのような、でももっと大きいし、目は赤くて尻尾は二股だ。


 なんていう犬種なんだろうかと思うも、お世話になっている動物病院の先生でさえ「ケイちゃんは不思議な子だねぇ。お父さんとお母さんはどんな犬だったのかな?」と首をひねるばかりだから、素人の俺にわかるはずもないと諦めた。


 それに、どんな犬種だろうとも関係ない。


 ケイはケイだ。


 今、そのケイは俺の隣で寝ている。


 いや、ケイのお腹を枕がわりにして、モフモフの中で俺が寝ている。


 去勢をしたので性格がオスっぽいとよく言われるけど、甘えてくる時の顔は可愛い女の子って感じだ。


 そう。


 とても可愛い。


 元野良犬のケイ。


 火を吐き、走れば車を追い越し、高い建物の屋上から地面に着地をしてもへっちゃらな、頼もしくて可愛い俺の大事なだいじな愛犬であり、相棒である。

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