第49話 あいつって脳筋だったのか?
流石に100万円を用意できない僕は家に帰ることにした。シズカも特に気にしていない様子だったが、いつか改造してあげるのも鏡の中に来る目標となった。
いつものように鏡に手を触れると今回の依頼の結果がアナウンスされる。
【デイリークエストクリアに伴いステータスポイントがユーザーに反映されます。本日は変化なし】
Rスキルを習得した影響でステータスをポイント使って元に戻しただけのため、変化はなかった。
【報酬としてハイゴブリンのエプロンを手に入れた】
エプロンって言ったらあのエプロンだろうか。流石に装備品だとしてもエプロンを着けて魔物討伐するのは恥ずかしい。
現実的に全力疾走しているエプロンを付けた少年ってパワーワード過ぎる。
【討伐報酬としてホーンラビットのトング2つとゴブリンの棍棒1つを手に入れた】
「えっ?」
【特別報酬として現金15万円とゴブリンの素材セットを手に入れた】
「うぇー!」
鏡の中に来て何も討伐していないのに、大量に武器とアイテム、そして現金を手に入れた。15万円あれば再び武器の強化ができそうだ。
【やっと驚き……うぉ、お前戻ってき――】
急にデジタル音が途切れるといつもと同じような声が聞こえてきた。
【大変ご迷惑をおかけして申し訳ありません。システムの異常により起きた不具合は排除しました】
やはりアナウンスの担当がいるのだろう。僕としてはうるさい人よりも、物静かなこの人の方がクエストをクリアしやすい。
現にあのホブゴブリンの名前をシズカにしなくても済んだはずだ。
少しイライラしながらも、いつものように確認のためのステータス画面が表示された。
――――――――――――――――――――
《ユーザー》
[名前]
[種族] 人間/男/童貞
[年齢] 17歳
[身長] 181cm
[体重] 65kg
[
《ステータス》
駒田 健 Lv.20
[能力値] ポイント0
[固有スキル] キャラクタークリエイト
[スキル] 逃走、急所突き、合成、短剣術、反映
[称号] ホーンラビットの殺戮者
幸運の持ち主
[テイム] シズカ(種族:ホブゴブリン)
――――――――――――――――――――
「どういうことだ?」
謎のステータスの増加に驚きを隠せない。+32ということは、鏡の世界に十回来たことと同じになる。
【スキル:反映の影響でシズカの能力を一割反映させています】
やはりいつも人の方が、僕が欲しい情報を良いタイミングで教えてくれる。
それにしてもシズカの能力の一割だとしたら、
本当に敵じゃなくてよかったと思うほどのステータスだ。そして、仲間だと思ったらかなり頼りになる。
「シズカこれからもよろしくな!」
僕はベランダを開けて犬小屋にいるシズカに声をかけると、こちらを見て固まっていた。
「ギイイイイイイ!!」
急いで体を隠すシズカ。シズカは違う布切れに着替えていた。別に男だから問題ないと思っていたが、そこはやはりヒロインと同じなんだろう。
「ごめん!」
頭の中では入浴シーンを覗いた主人公の気持ちだ。恐るべしヒロインのラッキーハプニング。
次に会った時にシズカに殺されないだろうかとヒヤヒヤしながら僕は現実の世界に戻った。
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