言葉にできなかった思いを今伝えるよ
水色
第0話 プロローグ 人生はきっと選択の連続で
人生はきっと選択の連続で、後になってから、ああしておけばよかったなと、後悔することが沢山あると思う。
何回、自分にチャンスが巡ってくるか分からないし、巡ってきたとしても、そのチャンスを自分のものにできるかどうか分からない。
毎日、毎日、何通りとある選択肢の中から、一つを選んで進んでいる。
正解か不正解か、なんて分かるわけがない。
選ばなかった未来と選んだ未来は違っていて、自分は選んだ未来しか知らない。
だからこそ……
選んだ未来に納得がいっていないとき、選ばなかった未来だったら……と。
結果的に、望むものがなかったとしても、そっちを選んでいたら望んだものがやってきたはずだ……なんて思ってしまう。
忘れもしない。
高校生の時のことを。
自分の初恋を。
恋愛なんて、馬鹿げている。
ずっとそう思っていた自分とは反対に、思いが、感情が、勝手に動いていたあの時。
二十三歳になった、今の俺こと、露草 奏人(つゆくさ かなと)は思う。
あの時……
高校生最後の日。
卒業式当日。
俺は朝、誰よりも早く学校にやってきた。
それは、とある目的のためである。
一つの小さな箱を、彼女の机の中へと入れる。
「これで…いいよな…」
良いわけがないのは分かっていたし、もっとやれることがあったはずなのは間違いない。
だけど…今の俺には、こうすることしかできなかった。
「本当に…ごめんなさい……」
彼女の机の前で、俺はそう謝罪の言葉を告げた。
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