第41話 ある犯罪者たちの結末
…
…
…
え…
ここは…
…
…
「大丈夫?武田文彦さん」
黒髪ロングのポニーテールの黒スーツの女が俺の前に座っている…
あ、公安?
「え?…あ、あ…」
そうだ俺は捕まったんだった…
「もう一回、頭から言うから良いかな?…
武田文彦容疑者は、これまでの探索者として活動の際、仲間を事故に見せ掛けて保険金を搾取していた…
その数は54人…探索者、サポーター等…一番古い記録としては北海道ダンジョンのパーティー4人が最初かな?単に自分1人たまたま生き残って、その探索者用保険金を1人で受け取った事がきっかけかしら?…
その後は味を占めて次から次へとパーティーやソロでサポーターとか…あとは保険金の受け取り方法も自分だったり、その時付き合ってる異性などあの手この手で殺しまくって54人…って話だけど、間違いないかしら?」
?!
54人?
31人の間違いだろ?
「い、いや、あんた最初、31人って言って俺を連行しなかったか?」
「あ~そうね、最初は31人って言ってたわね…でもね〜八賀ちゃん流して…」
「あいよ」
公安の女の背後のデカいモニターに俺と公安の女がこのテーブルが映されていた。
『ではこれから質問するから答えてね〜本当の事を…
はい…
まずこれまで何人の人を犠牲にしたのか…数は分かるかしら?
…
…54人
あれ?31人では無いの?
…54人です
では最初に保険金を貰ったのは北海道ダンジョンのパーティーがかけてた保険金かしら?
その通りです
その後は…』
次から次へと俺が真実を話していた。
全てを話し終えると…
「この通り…あなたが証言してる内容に間違いは無いかしら?」
知らない…こんな話をした記憶が無いぞ!?
「で、出鱈目だ!!と言うか!こ、この映像はなんだ?まるで俺が喋っているみたいじゃないか!」
「そうよ…あなたが詳細に話してくれたわ…だから54人は私も想定外だったわ」
嘘だ!あれは俺か?なんで喋ってるんだ?
スキルか?
「スキルか?スキルだな?!そうだろ!!!」
「そうね、スキルよ…あなたにスキルをかけて喋らせたわ」
「そんなの違法だ!そんなのは証拠にならないぞ!!卑怯者!!」
「面白い事、言うわね〜武田容疑者…確かに一般人相手には適用されないわ〜でも…あなたは一般人では無いのよね…探索者よ」
「だからなんだ!?」
「探索者には一般人の様な裁判や刑法は無いのよ…あるのは殺処分か刑に服すのみ…そしてそれを決めるのは私達、監視裁判官、監裁官の判断のみよ」
「あ…」
「正直、私は処分の方を選びたいわ…31人でも許せないのに54人だなんて…この映像を撮っているのは、あくまでも処分する正当性の証明の為よ」
ば,バカな死ぬのか?俺は殺処分なのか…
「あと、さっきの証言にあった、あなたの隠し金は今、部下が取りに行ってるわ…あなたの証言通りなら金額的には遺族に支払うには少ないわね〜だからこれはあなたのこれからの態度次第で変わるわ」
隠し金か…ちっ…しかしなんだ?態度?
「処分か、刑務所か、首に縄を付けた制限付きの探索者としての活動か…どれにしようかしら?」
「探索者?どう言う事だ?」
「だからあなたには探索者としてお金を稼いで遺族達に支払う事であなたに罪を償わせる…その方が処分よりは良いと思ってね」
この女!正気か?!
「勿論、1週間に1回はあなたの素行のチェックをしてもらうわ」
何が狙いだ…この女?
「ん?何か気に入らないのかしら?」
少し圧がかかった気がする…
何を迷う事がある!死刑なんて嫌だし刑務所だってできれば入りたく無い…なら自ずと決まってるだろう!
「それだけで良いのか?探索者として金稼げば良いのか?」
「そうね…で?どうするの?」
「勿論、探索者だ!それでいいんだろう?」
「ええ…でも次は無いわよ…一もし逃亡を図れば即処分だから…忘れないように」
「分かった」
武田文彦容疑者は部下に連れられていった。
「うまくいったわね」
そう言いながら八賀裏が別室から現れる。
「ええ…隷属の魔眼が上手く機能してるわね〜レプ先生のおかげよ」
確かな満足を噛み締めている菅生アキラ
【アキラの協力あっての事だよ…私も良い勉強になった】
そう言うと机の中から黒い炊飯器みたいな形状の物体が現れる。
レプリック…デウス本部跡地や捜査の協力を頼まれ一時的に菅生アキラの部下として派遣されている
「初歩的な事よ〜人間を強制的に従わせる魔眼は強力ではあるけど永続的に従わせるのは難しい…だって嫌な事は誰だって抵抗するもの…でも選択肢を与えて楽な方へ誘導する事で、自分で暗示をかけてしまうのだから…」
【隷属の魔眼】は彰人から借り受けた黒のセロのスキル…
強力だが欠点もある事がレプ先生との検証で分かった。
相手を支配して従わせる事は魔眼の力では可能だが、相手が無意識に嫌がる事はどんなに命令をしても最終的には効果が,切れる事が分かった。
だから心理誘導を導入して相手の1番嫌な事を最初に提示して後に、楽な道を示すと自分で自分を暗示にかけてしまう…その心理を利用して魔眼の力を確実なものにする。
武田文彦の場合は死刑と言う1番嫌な事でストレスを与えてから少しずつ楽な方へ選択肢を与える振り…刑務所…そして探索者の復帰…誰だって死刑の次は刑務所と言われれば最後の探索者としての方へ導かれるだろうから…
勿論、逃亡防止用の首輪を付けて刑務専用としての探索者としてダンジョンで働いてもらう。
豆レプを常時監視として付けて置くことも忘れない。
するとコンコンとドアを叩く音が…
「菅生さん…隠し金を発見しました」
黒いバッグを持って現れたのは…
国木田アレク…かつてデウスに所属していた犯罪者だが今は罪執官として菅生の部下になっている。
「はいはい〜じゃあ受け取るわ、ご苦労様」
バッグを受け取ると国木田は軽く礼をしてから退室していった。
「大分、彼も安定してるわね」
【魔眼の実験検証者としても、今は安定しているな】
国木田アレクは片腕を欠損後、義手を付けて活動中。
そして長き間、デウスの駒として活動していたが捨て駒にされて殺されるところだったのを初めて自覚してそれ以降、デウスに恨みを持つ者として罪執官として雇う事にした。
勿論、彼に断ってスキルの実験台になって貰う事を承諾してもらって魔眼の実験も行った…
【ではこれで私の役目もひと段落かな?アキラ】
デウスの元本部の調査、解析…そして追加の武田容疑者の事件など…
この武田容疑者は甲斐道那岐…彰人にとって大事な弟分を雇っていて殺そうとしていた犯罪者だったので、処分では無く遺族へ不足分の保険金の支払いに従事させたいと頼まれたので…少し遅くなってしまった。
「そうね~レプ先生と別れるのは辛いけど…また来てもらっていい?」
【それは彰人に言って欲しい…だが緊急の時はその限りでは無い】
「ありがとう~じゃ、またね」
菅生アキラは手を振る。
「また来なよ~」
八賀裏もまた手を振る。
【では失礼するよ2人共…門開放】
黒い球体が現れるとレプリックはそこに入っていって消えた。
「さて仕事しますか!」
菅生と八賀裏は次の仕事に取り掛かる…
公安の仕事はデウスだけでは無いのだから…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます