第15話 冥耶さんの相談とワールドトリッカーのコスプレ編

「「こんにちは神宮寺さん」」


「いらっしゃい2人とも」


「…そのお邪魔するよ…え〜と神宮寺さんだったよね」


「ああ元気になって良かったよ」


「華鈴から神宮寺さんが私達を助けてくれたと、聞いてまだお礼も言ってなかったから…本当ありがとう」


「どういたしまして〜まあこんな玄関で立ち話も、あれだから2人共上がってくれ」


 客間に2人を通して、昨日貰った連絡の話し合いをする事になった。

 2人にはコップと複数のジュースのペットボトルを置いて、俺もその中でミネラルウォーターを取ってお互い座り合う。


「さて…鈴見さんからの提案通り、冥耶めいやさんに力を貸すことにするよ」

 実は冥耶さんはあの救出後、ダンジョンに再び潜る事を躊躇っていたようで、ずっと部屋で引き籠っていたとの事…その話を鈴見さんから聞いて今回の件を相談されて冥耶さんにも俺の力を貸し出して貰えれば復帰できるんではないかと…


「本当に良いのかな?神宮寺さんに迷惑をかけるんじゃ?」

 冥耶さんは恐る恐る俺へ聞いてくる。


「別に迷惑だとは思わないしそれで冥耶さんの復帰の手助けができるなら…ん?鈴見さん、ん…どうした?」


「何で冥耶の名前は言うのに、私は鈴見さんなのかなと疑問に思ってね〜」

 顔は少し怒ってる雰囲気を醸し出しながら拗ねてもいるようだった。


「え?…だって俺、冥耶さんとしか聞いてないし名前だったのか?名字では無くて…あれ不味かったかな〜」


「あ…ごめんね私は冥耶・(違う!!そういう事じゃない!!)」

 冥耶さんの言葉を被せるように怒る。


「だから~私の事も…華鈴かりんって言っても良いのよ~」

 …?鈴見さんは何を言ってるんだ?

 冥耶さんは何かに気付くと…


「ははあん~なるほどね…じゃ~ここから私も…え~と彰人さんで良いかしら?」


 びくん!

冥耶めーいーや…後で覚えておきなさいよ!!」


 鈴見さんは完全に怒ったのか…俺達の反対方向へ顔を向けてブツブツ言ってる。


「あ~ちょっと揶揄い過ぎたわね…ゴメンね~華鈴ってば…」


「ホントウメイヤノヤツハ…アキトモアキトヨココマテイッテキヅカナイナンテドンカンスギ…」

 何やらブツブツと文句を言いつつようやく話の場が落ち着き始める。


「え…冥耶さんに…か…華鈴さんもお話いいかな?」

 華鈴さんも話を聞く姿勢になる。


「では、改めて私の名前は冥耶・ハミルトンよ~この前は助けてもらって感謝するわ…神宮寺彰人さん」


「ハミルトンって…親のどちらかが日本人とか?」


「母が日本人よ~私、小学生に引っ越してきた、いわゆる帰国子女ってやつよ」


「なるほどね…さてでは話に戻るけど俺のスキルを貸し出すのは全然構わないよ~だから冥耶さんが使いたいキャラを教えてくれれば俺が知らなくても貸し出せると思う。」


「その…私の兄が好きな漫画の作品で私も好きなんだけど…ワールドトリッカーって漫画~アニメにもなってるから彰人さんなら知ってるんじゃないかしら?」


「ワールドトリッカーか…勿論知ってるよ~そうかそこか…で何のキャラ?」


「ちょっと待ってよ!2人だけの世界に入らないでよ!!私にも分かる範囲で教えてよ~どんな作品なの?」

 華鈴さんは蚊帳の外に出された気分らしくまた拗ねていた。


「ワールドトリッカーは異世界からの侵略者・異世界人(デフレッサー)と防衛組織・境界警備機構の戦いを描くSFアクション漫画でアニメにもなってる作品だね」


「ふ~ん面白そうね…あ~ドラゴンオーブと同じ修永社の漫画なんだね、彰人は持ってるの?」

 華鈴さんはスマホで検索して情報を得たようだ。


「あ~漫画は15巻ぐらい買ってるよ…まだ全部集めてないよ~最新刊は20巻ぐらいまで出てたかな?」


「読ませて~」


「はいはい~ちょっと待っててね」

 俺の部屋にある本棚から15巻をアイテムボックスに入れて客間に戻ると華鈴さんの前に置くと1巻から読み始める。


「さてごめん~でどのキャラのコスプレしたいのかな?」


「鴉丸恭助(カラスマ・キョウスケ)」だけど…分かる?」


「分かるよ~なるほど作中公認のイケメンだもんな~モテるしな」


「私でもコスできるかな?」

 冥耶さんは髪型はセミロングで探索者の時はポニテしてる感じの金髪女子、だから黒髪のウィッグを用意すればできるか?


「多分、この前のシンフォニアもウィッグ用意すればできたからワールドトリッカーでも、できるかも…簡単に」


「できる?」


「ああ~この作品のキャラは普段は学生だったり、普段着から起動ユニット発動してサイオン戦闘体に換装できるから、ウィッグだけでできるかも知れないな~ちょっと待ってて~」

 俺はコスプレ用の荷物置きの部屋から、予備の黒髪のウィッグを持ってきて早速、セットの準備をする。その間に華鈴さんと冥耶さんには待ってて貰って…まあ、セットも何も長過ぎる髪をカットするぐらいで終わる~カットした髪は専用の箱に仕舞い保管する。


 何故、捨てずに保管するだって?

 それはレイヤーあるあるだが髭だったり眉毛だったり加工する事ができるし長めにカットした髪は短い髪にサイドテール、アホ毛を再現する時に利用できるからだ。


「とりあえずできたけど…冥耶さんさっそく被ってみて、多分洗面台行く必要ないともは思うが…」

 冥耶さんにウイッグ渡すと目の前に置いたミラー台で被り始める。


「私もできそうなキャラいない?」

 華鈴さんは漫画を読みながら…まだ4巻か。


「華鈴さんができそうなキャラか…槍使いは男性でいるけどね」

 華鈴さんと冥耶さんの身長は165㎝前後でまあまあ標準よりは背が高い方だと見受けられるが…華鈴さんの方が若干背が低いかな?


「男性でもいいなら槍使いはいるけどね~どうする?」


「ん…女性でいないか~槍以外でも良いけどね」


「鴉丸と同じ隊で女性キャラいるけどそれでいいかな?」


「うん」


「小波霧依…この子だけど」

 漫画の3巻初登場シーンを指す。


「この子のメイン武器は?」


「普段は両手で小型斧使ってて、ここ一番の破壊力が欲しい時には斧同士を合体して大斧で攻撃するキャラだね」


「ほうほう~」


「これでどうかしら?」

 綺麗に髪を纏めてウィッグに収納して眉毛も金から黒に塗って多少化粧したのかイケメン度が増してた。

「じゃあ~早速…とその前にスマホでチェック」


 コスプレイヤーフレンド

 ・立花杏奈 〈幸音クリスティー〉●貸出 

 ・鈴見華鈴 〈天翅奏妃〉●貸出

 ・冥耶・ハミルトン〈貸出可〉


 俺のスキルの説明したからフレンドになったんだな~まずこれで第1条件クリア。

「よし~フレンドになってる…では冥耶さん、両手出してください」


「はい」

 冥耶さんが両手を出してきた。


「では失礼するよ」

 冥耶さんの両手を握って俺はスキル発動させる。


【キャラインストール】鴉丸恭助


 今一度スマホで確認すると…


 コスプレイヤーフレンド

 ・立花杏奈〈幸音クリスティー〉●貸出 

 ・鈴見華鈴〈天翅奏妃〉●貸出

 ・冥耶・ハミルトン〈鴉丸恭助〉


「登録できてやはり起動ユニット持ってるからこれでサイオン戦闘体になれそうだな」

 クリエイトの項目にやはり起動ユニットが追加されていた。


【クリエイト】起動ユニット 作製


 依代にするのは梱包材で使われるゴミを取ったあったのでカッターで作中の起動ユニットらしく形を整えて、黒いマジックで塗る~すぐ乾くからクリエイトで作製した結果…完成!

 材質は不思議な材質…プラスチックでもないし金属でもない…中間の素材に感じる。


 できた起動ユニットを冥耶さんに渡すと…

「これが起動ユニットか…使ってみても?」

「ああ~勿論どうぞ」


「トリッカーON!!」

 漫画やアニメで起動シーンと同じ様に言う冥耶さんの身体に青いジャージ風の上着に黒のシャツ、黒のグローブとブーツ、グレーのズボンが確認できる。


「うわ~い、トリマルだ!!」

 冥耶さんはかなり興奮している。しかし何故、作中トリマルって呼ばれてるんだろう?後で調べてみよう。


 キャラクタースキルをスマホで確認すると…

 ・鴉丸恭助 万能士 Lv01

 ☆アサルトライフル(変化弾)、☆エスクド×2、☆カタナ、☆隠蔽マント、☆シールド(☆緊急脱出、サイオン戦闘体)


 凄いな…スキル(技)では無く装備としてなんだな〜つまりレベルを上げても増えない?でも原作の特殊装備〈ファントム戦闘体〉が無いのはスキルレベル上げないとダメかな?


 冥耶さんは思い付く限りのスキルを発動する。カタナ、アサルトライフル、シールド等…ちょっと外に出てエスクドを発動して壁を作ったり色々試している。


「これで早く戦闘してみたい〜」

 冥耶さんはやる気が出てるみたいだな〜当初の予定通りなのだが…


「次は私の番ね!コレでどう?」

 華鈴さんはさっき渡した茶髪のロングウィッグを被って小波霧依のコスプレのつもりらしい…が…アホ毛無いじゃん!


 しかし華鈴さんはこれで十分と言わんばかりで〜これで登録できるか?甚だ疑問だが本人が言うので試しにチャレンジだな。


【キャラインストール】小波霧依


 …しかし反応が無い。スマホ見ても登録されてない…


 やはりアホ毛だな!


 華鈴本人は

「何でダメなの?」

 等と叫んでいた。


 まあ仕方がないよね。



余談…

 トリマルって名称は前の部隊の先輩に名前を間違えられてそのまま渾名になったようだ。流石、勉学を生贄にして戦闘力を得た大学生らしいな~

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