そして玄界島

 前回の記事に続いてなのですが、以前玄界島について記事を書いていたと思ったら、写真だけのものでした。そんなわけで、これは初出です。


 博多湾に浮かぶ小さな島、玄界島に行くには、博多ふ頭から船に乗ります。能古島とは出発地点が違うんですよね。左に能古島、右に志賀島を見ながら進むこと約35分。小さな島の港に着きます。

 私が行ったときは港で工事をしており、その工事のための乗客が結構いました。この島にはレンタサイクルはありません。ぐるっと一周、一時間ほどで歩けるのです。


 家は港の周りにだけあるようで、道や集会所も含めて新しいものが多いです。2005年の福岡県西方沖地震により、約七割の家屋が倒壊したのです。今は復興し、約700人が住んでいるとのことです。

 島を時計回りに歩いていきます。道は細く、ところどころ背の高い草にふさがれていました。海で作業をしている人々が見えます。少し歩くと、四角く細長い建物が、道のすぐそばに見えてきました。火葬場とのことです。

 北の方に行くと、ごつごつした岩が目立ちます。この島は休火山のようです。展望所のようなものや灯台を確認し、排水処理場と保育園が見えてきたら一周して戻ってきたことになります。

 帰りの船まで時間がありますが、特にすることがないので待合所でのんびりしました。おみやげを売っているわけでもない、素朴な待合所です。


 とまあ、私の旅は何の変哲もないものだったのですが、この一週間後に驚きのニュースが飛び込んできました。博多ふ頭発志賀島行きの船から、人が転落したというのです。しかも誰もそのことに気が付かず、途中の端島まで自力で泳いでいったというのです。玄界島行きの船も、この辺りを通ります。乗船時に人数を確認するのですが、一人いなくなったのに気づかれなかったみたいです。

 しかもこの人、丸一日この島にいて気付かれなかったようです。いっぱい船が通りますが、まさか誰も人がいるとは思わなかったんでしょうね……

 私は泳げません。もし落ちていいたら、確実にアウトです。


 なんというか私にとっては、「一週間後に船から落ちて泳いだ人がいる」という記憶とともに、玄界島の記憶は残っているのでした。

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