第48話 ポールとステラ

 夕方の営業も無事終わり店を片付けてから、俺と大翔は一息ついていた。

「おつかれ、大翔」

「おつかれさま、健」

 大翔は三人分の温かいレモネードを入れると、一つを俺に渡してくれた。

「ありがとう」

 大翔は笑って頷くと、俺の隣の席に座った。

「明日から、ポールくんとステラちゃんが来るんだね。ちゃんと時間に来られるかな?」

「どうだろうな」


 俺たちはレモネードを飲み終えると、大翔は夕食の準備を始めた。俺はその間に洗濯やら掃除やら、いつもの家事を片付ける。


 夕食を食べながら、大翔が俺に言った。

「明日はおにぎりを30個、サンドイッチを30個作って持っていこうと思うんだけど、多いかな?」

「大丈夫じゃないか? いつも一時間くらいでおにぎりとサンドイッチ、合わせて40個は売り切っているだろう?」


「うん」


 夕食の片づけを俺がしている間に、大翔は風呂に入った。

 俺も手が空いたところで、大翔が出てくるのを待ってシャワーをあびる。

「先に使わせてもらったよ。ああ、さっぱりした」

 大翔はにっこり笑って俺に言う。


 ハーブの香りをつけた石鹸のにおいを漂わせて、パジャマに着替えた大翔は頭を拭いている。

「じゃあ、俺も風呂に入るか。大翔、先に寝てていいぞ」

「うん。戸締りはしておくね」


 俺はシャワーを浴びながら、ポールとステラのことを考えた。

「あんなに小さいのに、早朝から仕事なんて大丈夫なのか?」

 でも、彼らに選択の余地はないだろう。


 俺はため息をついた。


 風呂を出ると、大翔が台所に明日使う食材を並べていた。

「まだ寝てなかったのか?」

「うん。健におやすみって言いたかったから」

「……おやすみ、大翔」

「おやすみ、健」


 大翔はニコッと笑って自分の部屋に戻って行った。

 俺も自分の部屋に戻り、ベッドにもぐりこんだ。

「今日も良く働いたな……」

 俺はすぐ眠りについた。


***


「おはよう、健」

「っ!? ああ、大翔、おはよう」

「ごめんね、ちょっといつもより早いけど、今日は……」

「あいつらが来るからか?」

「うん。下で待ってるね」


 大翔はもう着替えてエプロンをつけていた。

 俺も普段着に着替え、エプロンを持って下に降りる。


 大翔が冷蔵庫から食材を取り出しているとドアがノックされた。

「はい」

 大翔は急いで玄関に向かいドアを開いた。

「おはよう! ポール君、ステラちゃん! ちゃんと来てくれたんだ!」

「……俺たちは、約束は守る」


「どうぞ。中に入って」

 大翔はポールとステラを店内に招き入れた。

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