アンコール  旅は続くよどこまでも

                  アンコール


「『合同ライブ大成功!』、『売り出し中の三組の人気アイドル、夢の競演にファン熱狂!』……ニュースサイトなどはどこも好意的な見出しね。各SNSでも上々の反応ぶり……」


 ケイが端末を見ながら淡々と呟く。


「一応商売敵ではあるけれど、ユーザーにとってはそんなこと関係ないからな、コラボした方が喜ばれると思って、提案させてもらった。二組とも快く了承してくれて良かったよ」


「ふっ、なかなかの判断だったわね……段々とマネージャーらしくなってきたじゃない」


 俺の答えにケイが満足そうな笑みを浮かべる。コウが不満気にケイに尋ねる。


「ね~なんで打ち上げしなかったのさ~?」


「……ジェメッレ=アンジェラは単純にスケジュールの都合よ。クワトロ=コローレス……いえ、クワトロ=ゲレーラはケジメをつけにいかなくちゃならなくてね……」


「ケ、ケジメってなんだ?」


 ケイの説明に俺は首を傾げる。コウが笑う。


「ははっ、賞金稼ぎとしての名前を出すってことは穏やかな話じゃないね~?」


「ええ、白菜集団の残党や他の異星人たちが地球に私たちを襲いにやってきたのは、どうもあの四人組のマネージャーが関係しているみたいなのよ……」


「ええっ⁉ 手引きをしたのか? 何のためにそんなことを?」


「さあね。それは分からないわ。ただひとつはっきりしていることは、そのマネージャーが現在行方をくらましているということ……」


「……それって、アタシらにも関係してくるんじゃないの?」


「事と次第によってはそうなるかもしれないわね。まあ、何かあったら連絡がくるでしょう」


 コウの問いにケイが頷く。


「そっか~みんな色々と忙しいのか~でもさ、打ち上げは日をあらためて絶対やろうよ! マネージャー君が料理を作ってさ!」


「お、俺が? まあ、良いけれども……その辺は各々のスケジュールと要相談だな……」


「……どうもお待たせしました」


 テュロンを肩に乗せたアユミが戻ってくる。コウが問う。


「おっつ~。どうだった?」


「問題はありません。始末してきました。『生死を問わず』ということでしたので」


 アユミがニコっと笑う。か、かわいい……。雑誌の表紙を飾れそうなくらいの笑顔だ。返り血をべったりと浴びていることに目を瞑ればだが。ケイが頷く。


「さてと……そろそろ合流するとしましょうか」


「合流? 誰とだよ?」


「誰って……ギャラクシーフェアリ―ズの先輩メンバーたちとよ」


「ええっ⁉ 他にもメンバーいるのかよ⁉」


                  ~第一回公演 終幕~



※(2023/1/30現在)

 これで第一章は終了になります。第二章以降の構想もあるので、再開した際はまたよろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る