第23話 インターホンは何度も鳴る
翌日になり、俺達は支度をしていると、インターホンが鳴る。
ドアを開けると、マヤがいた。美しくて妖艶な顔をしている。
「おはよう……」
「おはよう……。どうしたんだ?」
「単刀直入に言うわよ……私達の世界から、この世界に刺客が送られたと言う情報が入ったわ」
「そうなのか……。どんな奴らなんだ?」
「詳しくは分かっていないけど、かなりの強者が送られたと思うわ……」
「そうか……」
俺は腕を組んで考え込む。朝から憂鬱になりそうだ。
「警戒しておいた方がいいわね……」
「分かったよ……」
俺はうなずく。
「それから……ユナを呼んでくれる?」
「ああ……」
俺は返事をして、中に入ってもらうように促す。
部屋に入ると、ユナが現れた。
「お待たせ……」
「久しぶりね……」
「お姉ちゃん……」
二人は再会を喜んでいるようだ。
「元気だった?」
「うん……」
「それは良かったわ……」
「ありがとう……」
「じゃあ、行きましょうか……」
「どこに?」
「決まってるじゃない……。私達の世界よ」
「そっか……」
「ええ……。向こうでお父様が重要な話を聞かせるから……」
「分かった……」
ユナは真剣な表情をしていた。
「気をつけてな……」
俺は二人に声をかけた。
「貴方も気をつけるのよ……」
「そうだよ……」
二人が心配してくれる。
「大丈夫さ……」
俺は笑顔で答えた。
「そう……」
「じゃあ、行ってくるね……」
「行ってきます……」
二人は俺に見送られながら、向こうの世界に向かった。
俺はしばらく二人の消えた空間を見つめていた。
やがて視線を戻すと、部屋の片付けを始める。
しばらくして、掃除や洗濯など一通りの家事を終える。
特にする事がなくなったので、ソファーに座ってテレビを眺めていた。
すると突然、インターホンが鳴った。俺は玄関まで出る。
扉を開けてみると、そこにはアイカの姿があった。
「こんにちは……」
「君が来たのか……」
俺はため息をつく。
「ええ……。貴方に用があってね……」
「何だ?」
「今日、向こうからの刺客の話を聞いたの……」
「そうか……。君にも関係ある話だからな……」
「確かにそうね……」
「まあ、とりあえず中に入れよ……」
「分かったわ……」
俺はアイカを部屋に招き入れた。
リビングに入り、アイカと向かい合う形で座る。
「ユナは居ないの?」
「ああ……。今朝、マヤと一緒に向こうの世界で父親の話があるとのことで帰って行った……」
「そう……」
「それで、刺客の話だが……」
「貴方のお友達は大丈夫なの?」
「分からないな……」
「そう……」
「俺としては、あいつが無事であって欲しいとは思っているよ……」
「貴方って優しいのね……」
「別にそんなんじゃねぇよ……」
俺は苦笑する。
「そう……。ところで、これから敵に対してどうするつもり?」
「そうだな……。俺達が迎え撃つしかないだろうな……」
「そう……」
アイカは何事かを考え込んでいるようだった。
「何か言いたい事があるのか?」
「いいえ……。ただ今の状態だと、この世界で戦える人間が少ないと思っただけよ……」
「そうかもしれないが、仕方ないだろう……」
「まあいいわ……」
アイカは立ち上がる。
「もう帰るのか?」
「そうよ……」
「そうか……」
「じゃあ、私は行くわ……」
「ああ……」
俺はアイカを見送った後、ソファーに横になる。
刺客の事が気になるが、今は考えても仕方ないと思い、そのまま目を閉じた。
どれくらい時間が経っただろうか?ふいに目を覚ました。
どうやら少し眠っていたらしい。時計を見ると午後12時を過ぎていた。
ユナとマヤは無事に帰ってきたかなと考えていると、インターホンが鳴る。
俺はドアを開けると、そこにはユナとマヤがいた。
「ただいま!」
ユナが嬉しそうな顔をして、俺に飛びついてきた。
「おかえり……」
俺は微笑みながら答える。
「お邪魔します……」
マヤが遠慮がちに入ってくる。
「どうしたんだ?」
俺は不思議に思い尋ねる。
「実はお父様から、後から貴方に話がしたいと言われたのよ……」
「そうか……。でも、その前に昼飯を食べないか?」
俺は二人に提案をする。
「そういえば、まだ食べてなかったわ……」
「そうだね……」
「じゃあ、決まりだな……」
俺は二人を連れて、リビングに戻った。
「話はご飯の後でもいいかしら……?」
「ああ……」
「分かったよ……」
俺はうなずいて、キッチンに向かう。
冷蔵庫を開けると、材料はあるようだ。チャーハンを作る事にしよう。
俺は料理を始めた。
しばらくして、三人分のチャーハンが出来上がる。
「出来たぞ……」
俺はユナとマヤの前に皿を置く。
二人は黙々と食べ始めた。俺はその様子をじっと見つめている。
「美味しいね……」
ユナが笑顔で言う。
「そうか……。それは良かったよ……」
俺は笑顔で答えた。
その後、しばらく沈黙の時間が流れる。
やがて、ユナが口を開いた。
「あのね……。お姉ちゃんと色々話して決めたんだけど、私も一緒に戦うよ……」
ユナが真剣な表情をして言う。
「そうなのか……」
俺は腕を組んで考え込む。
「もちろん私も戦うわよ……」
マヤも真剣な表情をしていた。
俺はしばらく考え込んだ後、二人に告げる。
「分かった。ただし、絶対に無理だけはしないでくれよ」
「うん……」
「分かったわ」
二人は力強く返事をした。
こうして、俺達は新たな戦いに臨む事になったのである。
今日は大学が休みなので、ゆっくり過ごす予定だ。
すると突然、インターホンが鳴った。
誰だろうと思って、玄関の扉を開けてみると、そこにはアイカの姿があった。
「また来たわ……」
アイカは笑顔を浮かべながら、部屋に上がり込んできた。
「君は暇人なのか?」
俺は呆れながら言った。
「失礼ね……。貴方に会いに来たのよ……」
「そうか……。まあ、とりあえず上がってくれ……」
「ありがとう……」
アイカは素直に従った。
部屋に入ると、アイカはユナ、マヤが戻って来ているのに気付いた。
「あら……。あなた達、帰って来てたのね……」
アイカは意外そうな顔で話しかける。
「さっき戻って来たところよ……」
「そう……」
アイカは興味なさげに相槌を打つ。どうも、マヤとは目を合わそうとはしていないようだ。
その為、2人の間には険悪な雰囲気を感じ取った。
「まあ、とりあえず座ってくれ……」
俺はソファーを勧めて座らせる。
「ええ……」
アイカは座ると、俺の顔を見上げた。
「それで、今日は何の用だ?」
「特に用はないけど……」
アイカが微笑む。
「用がないなら帰ってくれ……」
俺はため息をつく。
「いいじゃない……。それとも迷惑だったかしら……?」
アイカが上目遣いにこちらを見る。
「いや……。別にそういうわけでは……」
俺は困り果てていた。
「ふふっ……。冗談よ……」
アイカは楽しそうに笑っている。
「はぁ……」
俺は思わず溜め息が出た。
「そんなに嫌そうな顔をしないでよ……」
アイカは苦笑している。
「ところで、何か飲むか?」
俺は話題を変える為に、飲み物を勧める。
「そうね……。紅茶でも貰おうかしら……?」
「分かった……」
俺は台所に向かい、ティーポットに茶葉を入れお湯を入れた。
しばらく待つと、良い香りが漂ってくる。
カップに注いで、アイカの前に置いた。
「どうぞ……」
「ありがとう……」
アイカはゆっくりと口に含む。
「どうだ?」
俺は感想を聞いてみた。
「美味しいわ……」
アイカが微笑みながら答える。
「そうか……」
俺も自分の分を入れて、ソファーに腰掛けた、その時またインターホンが鳴ったのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます