ESPada《エスパーダ》!! 1-13
第30話昇級戦・初戦上
幾ら授業が免除されるとは言っても、授業に出ない訳にはいかない。
そして今日は月に一度行われる真剣を用いた打ち合い稽古で、勝敗・及びその勝負内容によってクラスが上がるか落ちるかを見定める試験の日。
この日ばかりは、普段授業に出なくてもいい俺でも学校に行き成果を見せなければいけないのだ。
これが正直に言って面倒くさい。
学年問わず剣術と言う一つの尺度で図られるため、上級生と下級生が同じ教室に集う事は珍しくないのだが………自分以外全員上級生と言う完全アウェイで戦わなくてはいけない。
オマケに上の兄達が散々やらかしているお陰で、俺を目の敵にしている奴らは多いのだ。
『悪役公子』と言うよく考えたら意味わかんない仇名も、上級生たちが付けたらしい。
全く嫌になる。
俺は好きで学園に通っている訳でないのに……卒業しなければ就職できないから通っているだけだし、婚活目的の奴も居るけど魔術科の女共の多くは、コルセットを巻いて体型を誤魔化しているだけと聞いている。
だれが好き好んで化粧臭いボンレスハムを抱くかよ……
全く気が滅入りそうだ……
古代ローマの
控室で着替えを済ませ、魔術が刻印された
モンスター相手にさえ、防具を付けていない俺からすれば過剰な防具だと感じる。
そのままだと少し寒いので、試合までは上からコートを羽織る。
前世の中学高校では、何故か教師だけ体育の間コートを着ていて理不尽だと騒いだものだ。あのクリ〇松村+修〇擬きめ……見せつける様に着やがって……
控室を出ると、そこに居たのはミナだった。
「――――っ! もう遅いじゃない! アンタにとっては完全にアウェーなんだから、空気に飲まれるんじゃないわよ?」
上からコートを着ているものの、耳の頭や手の指先が赤くしもやけになっている。
(……なんだか悪い事をした気分になるじゃないか……)
「私だけはアンタを応援するわ! 絶対に勝ちなさい! みんな面白がってアンタを悪者にしている。私にはそれが私は許せないのよ……」
「じゃぁ俺に
「それもそうね。試合が開始するまで
俺は冗談を言い合うと「そろそろ試合だから……」そう言って闘技場への道を進んでいった。
上級クラスともなれば同時に行われる試合数は減り、教師も生徒も最上位クラスの生徒の力量を目を凝らして注視している。
「広いな……」
上の階段状になった座席から見ている時には気が付かなかった。上を見上げると少し足元が寒くなるような感覚がする。
そんな中でも容赦のない
俺自身は何もしていないと言うのに、全ては上三人がやらかしたせいだ。
次に顔を合わせた時には絶対に文句を言ってやる……
俺の様子をみて対戦相手の上級生が、小馬鹿にした様子で声を掛けてくる。
「ブルっちまったかァ? クローリー家の四男!」
チャラいと言うよりは品がない。仮にも貴族やその従者に連なる者として見ても彼には気品の一つさえ感じない。蛮族が綺麗なおべべを着て文明人ぶっている。そういうちぐはぐさを感じるのだ。
「そんな事はないですよ。ただ
煽られたからには倍にして煽り返す。
「ふかすじゃねぇか! 一年ボウズ! 大口叩ける根性だけは褒めてやるが、クローリー四兄弟の最強伝説にこの俺! ジャックソン・フォン・ナッシが
ジャックソンと名乗った男の宣言に会場がわっと沸く。
(へー。口調は王都の路地裏や繁華街に生息してるゴロツキと大差ないけど、貴族なのか……田舎貴族か、最近併合されたばかりの封土の子弟かは知らないが随分と人気があるようだ)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます