第29話実演
「これは
込める魔力量と剣の振り方で斬撃の威力・量・軌道が変るから練習しておくことを推奨する」
風斬りを
「では実演をしよう……」
俺は剣を構え振り抜く――――
先ほどとは違い、一本ではなく三本の風の刃が出現し拡散しながら飛んでいく。
先ほどよりは威力は下がっているものの、不意の一撃であれば十分相手の意識を刈り取れるだけの威力がある。
「このように俺が良く使う【
「使い勝手のよさそうな汎用性の極めて高い魔術ね。いいの? 自分だけのモノにしておいた方が、勝手はよさそうなものだけど……」
「今回俺は魔剣士としてではなく、一人の鍛冶師・付与術士としてこの剣を打ったんだ。それで今の俺が脅かされようと最高の仕事をしただけに過ぎない。
職人の端くれとして「これ以上のモノは二度と出来ない」とは、口が裂けても言えない。少し口篭もってしまったが一度男が宣言したのだ。
そう遠くない将来。この
「私も信じてあげるわ……」
これがデレと言う奴だろうか?
想定外の一言に俺の顔が朱に染まるのを感じる。
「ありがとう。では最後【
剣を握り込むと、体を
その様はまるで
史実では「無外流」またはその元となった「山口一刀流」と言う抜刀術の使い手で、片手での突きが得意だったと言う逸話から生まれた創作であり、片刃の曲刀であっても刺突と言うのは、十分に有効打足りえると言う証明である。
――――そのまま滑らせるように剣を突き出す。すると切っ先から熱光線が放たれる。
壁は焦げるのに十分な熱量を持っている事を示している。
「これが最後の固有術式【
「私の苦労は何だったの?」
「道具に頼れば出来る事を人力でやった?」
すごいとは思うけど、あの時もミナ向けに
「さて全てを合わせた奥義をみせてやる。その名を【
体を
それは月夜の寒空に舞う粉雪。あるいは月明りに照らされキラキラと、輝く桜吹雪とでも言いたくなるような情景だった。
「綺麗……花弁みたい……」
「薄氷のようだ」と細工師アルタに言わしめた。細く頼りない印象を受ける両刃の刀身に、ピューピューと言う音を立てて風が集い収束していく――――
キュィィーン。
――――やがてゴウゴウと唸るようなジェット戦闘機を彷彿とさせる轟音を轟かせ、白銀の刀身が赤黒く染まる。
風同士の摩擦によりバチバチと雷光が迸り、刀身を囲むように渦巻く風の塊を言葉で表現するとすれば、小さな暴風雨だ。
「【
俺は上空に向けて限界まで溜めた魔力を解き放つ。
ゴウゴウと言う轟音を轟かせ、指向性を持って解き放たれた風は、全てを巻き上げながら空へ空へと突き進んでいく。
やがて切っ先から熱線が発射され、先に発射された空気の塊を飲み込み断続意的に爆発していく――――
ボン! ボン! ボン!
やがて小さな暴風雨の先端まで到達すると、一際大きな爆発をしその衝撃波を持って上空の雲を押しのける。
「これが最終奥義で、最大最強の攻撃だ。これが使いこなせるようになるのけっこう大変だったんだぞ? と言う訳で風魔術を覚えれば「相乗」させることで火力を底上げできると言うデモンストレーションでした。俺は疲れたから帰るわ、あと約束通り一振り刀を置いていくからじゃぁ」
俺は疲れている事を悟られない様に、何とか練習場を後にして呼びつけておいた馬車に乗り家に帰る。
その晩は魔力の過剰消費による疲労感で泥のように寝た。
============
【あとがき】
明日から、怒涛のバトル編に突入しますので、お楽しみに!
まずは読んでくださり誠にありがとうございます!
読者の皆様に、大切なお願いがあります。
少しでも
「面白そう!」
「続きがきになる!」
「主人公・作者がんばってるな」
そう思っていただけましたら、
作品フォローと★星を入れていただけますと嬉しいです!
つまらなけば星一つ★、面白ければ星三つ★★★
読者の皆様が正直に、思った評価で結構です!
最新話か今表示している左上の✖ボタンを押していただき、
またコメントを入れて頂けるともっと嬉しいです。
作者のモチベーションが上がって最高の応援となります!
どうぞ、よろしくお願い致します。m(__)m
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます