第92話 私刑の代償とルーチン

 人を殺すと俺の中の何かが音を立てて壊れて行く気がする。

 殺した奴の顔が時折浮かぶのだ。

 なのでなるべく顔は見ないようにしている。


 そこで生きて来るのが鑑定だ。

 顔を見ずに名前と名前の色が分かるからだ。

 俺が私刑をして人を殺した時に払う代償は・・・あるんだ。


 まだ滾って女を抱きたいとなれば良い方だ。

 こちら側の者、つまりソシアを抱き、責任を取って結婚宣言すれば良い。

 但しこれは気が付いたらやってしまった場合だ。


 勿論ちゃんとお互いを尊敬しあった状況で愛し合いたい。


 だが、今の俺は憐れみを持たれたり軽蔑されているだろう。

 前回の私刑の後はソシア、今回はヤーナに知られた。

 私刑の後に俺がどうなるのか。


 ばぶうとなるのだ。

 精神の安定を図るのにそうなるようだ。

 昨日は気が付いたらソシアの服を開けさせ、性的に胸を堪能していたのならまだ良い。

 そうではなく、赤ん坊のように乳首をチュパチュパと吸っており、慈愛に満ちた母性を持って頭を撫でられており、その状態で寝ている。


 ソシアは良い。


 だが、ヤーナには格好を付けていたかったが、昨夜俺がソシアの乳首を吸っていたのに気が付き、今回俺がいなくなっている事に気が付きソシアと場所を入れ替わっていたのだ。


 後からソシアから聞いたが、トイレに行っている間に自分が寝ている位置にヤーナが居たので、仕方なく彼女が寝ていた位置で寝たそうだ。俺はソシアだと思い込ヤーナの胸を開けさせ、その乳首をチュパチュパとしていた。


 ヤーナもソシアと同じように頭を撫でていた。

 明らかに俺の様子がおかしいと心配で涙を流していたと。

 流石に何度も夜中に抜け出していれば俺が何かをしていると気が付く。


 ソシアから俺が何をしているか聞かされており、大丈夫ですわと言われていたが今朝は違う。

 口の中にある乳首の感じがどうも違う。

 撫でられ方も肌の感触も違うが、ソシアではないとすぐに分かった。


 だが不安から乳首を吸うのを止められない。

 乳首を吸っていると安心するのだ。


「パパおしっこ」


 子供に声を掛けられて正気に戻り、服を直してから子供を抱えてBダッシュでトイレに行き、子供のズボンを脱がせトイレに座らせる。


 ふう、今日は間に合った。

 パンツは臭わないし濡れていないから間に合ったと分かる。


 そんな時は頭をワシワシと撫でて褒めちぎる。

 そうすると褒められたくて寝る前におしっこに行ったり、寝起きに我慢して結局間に合わないというのを避けるべく、トイレに行きたいと声を掛けてくる。

 1人で行けるはずだが、そこは甘えたいのだろう。


 人を育てるのは褒めるに限る。

 マリニアもスニシスもそうだ。


 次々に子供達をトイレに行かせる所から1日が始まる。

 早朝訓練はルーチンとなるコアな部分は変更しないが、毎日何か違う事を告知なしに行う。

 陳腐化しないのと刺激になるからだ。


 いつものルーチンをと言えるのは平和で良い事だが、食事の後ギルド、依頼達成手続きと換金、新規受託後にダンジョンへとまさにルーチン化している行動を取る。


 今日は48階層だが最初は結界を使い戦うが、その後通常の戦ってその後また結界を使い一気に突破する。その為夕方前にはギルドに行っているん。


 やはりマリニアが優秀だった。

 頭の中にマッピングされるようで迷う事もなく、更に直感から真っ直ぐに階段を目指すからだ。


 ただ、この日の夕方いつもと違う事があった。

 サンタナを見たと何人かが噂している事だった。

 嫌な予感しかしない。

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