第466話 ミスト 短編傑作選 その2

 それでは前回に続き、ミスト 短編傑作選について書いてみよう。短編四作については前回書いたのでそちらをどうぞ。https://kakuyomu.jp/works/16817330649739193212/episodes/16818093093250852719


 さて、霧という作品はこの短編傑作選のメインであり、他の四作品と比較してもかなりのボリュームがある作品である。短編なのか? という疑問は沸くが、実際の英文ではもっと短い作品なのかもしれない。


 湖畔のほとりの別荘地で主人公とその家族が嵐に巻き込まれる。竜巻を確認してすぐに家に避難したが、停電するわ近くの木が倒れてきて二階が壊されるわと大変な騒ぎになる。しかし、そんなのはこれから彼らが体験する出来事のほんの序章に過ぎなかった。


 あくる日、嵐は過ぎ去ったがいたるところにその爪痕が残っていた。電線は切れて道端に垂れているし、木が倒れてボート小屋やよその家の車が下敷きになって壊れたりしていた。


 主人公がふと湖の先を見ると、向こう側が霧で見えなくなっていた。何か違和感のある霧で主人公の目には不吉な物に見えた。主人公とその息子は近所のおっさんと共に町へ買い出しに行く。スーパーマーケットで妻に頼まれた物を買おうと行列に並ぶ。レジが停電で作動せず店員が電卓を使って清算しているので時間が掛かっているのだ。


 そうこうしているうちに先ほど家の近くで見た霧が主人公のいるスーパーまで近づいて来た。そして突然の地盤沈下! 主人公は霧の中に何かがいるのを見てしまう。不気味な物を見た主人公は店に閉じ籠って霧が晴れるのを待つのだが……。


 次々と巻き起こる奇妙な現象、襲い掛かる謎の生物、いったいこの霧は何なのか? ジェットコースタームービーのような展開で、文字だけでここまでの描写が出来るキングはやはり凄いなと感心してしまう。


 前回も書いたが、スティーブンキングの作品を読んでいると、自分がいかに既成概念に縛られているかを痛感する。勝手に枠を作ってその中に納まるような作品ばかり書いている気がしてくる。まぁ、その割におばショタとかちょっとヤバい設定を盛り込んでいるが……。


 霧の中から怪物が襲って来るなんて子供じみた設定に感じるが、それだけの設定からこれだけの作品に仕上げるのだからやっぱりスティーブンキングは只物ではない。


 出てくる化け物は割と典型的な怪物たちである。音が聞こえるとか気配がするとかいう場合には不気味さだけが強調されているのだが、相手の正体が明らかになった時にはたいてい何人か死ぬ。もう最初からホラー映画を作る前提で書いたような作品である。


 まるでジョジョの奇妙な冒険の世界に迷い込んだような感覚で、最終的に霧が晴れてめでたしめでたし、でもなければ実は夢でしたと言うような終わり方でもない。結論は描かれないまま霧の中を車で息子や少ない仲間と彷徨い続けるのである。


 という訳で、ミスト 短編傑作選の感想を書いてみた。前回のゴールデンボーイのようななんとも言えない読後感なので、気分が落ち込んでいる時には読まない方が良いだろう。毎日が単調でつまらないという日々を送っている人にはおススメ出来る作品である。

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