第57話 夏休みだぁ!1

 皆さんごきげんよう、ナレーションです。

タイトルで分かると思いますが、ついにこの物語は夏休みに突入しました!

――――いやおっそすぎるでしょぉ!

もうすぐ60話に入るというのに、まだ夏休みなんですよ?

現実世界ではもう『寒い寒い……!』とか言ってるのに……。

まあ、これはこの作品らしくて良いですけどね。

 では……OPソングに参りましょう!

『ドキドキ!』です!










◇◇◇









「はい、明日からはお待ちかねの夏休みですね」


「「「「「フォオオオオオオオオオ!!!」」」」」


「はーい静かにしましょうね〜! まだ授業中だからねー!」


 あら、お久しぶりのクラスの担任のご登場ですね!

皆さん覚えてますよね?

覚えてなかったら、ここにいる登場人物全員泣いちゃいますよ……。

 そうです!

颯太たちのクラス担任であり、お姉さん系美人教師として絶大な人気を誇る彼女の名前こそ……佐々木 木乃葉先生でございます!

相変わらずの美人先生でございます。


「夏休みは始まるけど、くれぐれも羽目を外さないようにしてくださいね。もし何かあったら……すぐに説教だからね? みんな分かってると思うけど、先生怒ったら怖いから」


(((((よし、説教されよう)))))


 説教されようとか思っちゃってるこのクラスは、本当に大丈夫なんでしょうかね……?

罵られたい男子高生たちが少なからず居るみたいですけど……。

 木乃葉の言う通り、彼女は怒ったらすごい怖いんです。

起こった瞬間彼女のバックに鬼の姿が見えますからね。

それでも叱られたいドMな生徒たちはたくさんいます。


「もう一度言うけど、夏休みだからといって羽目を外さないように。じゃあプリント配るから後ろに回してね」


 そう言って、教卓に置いてあった大量のプリントを手に取ると、木乃葉から見て右側――――清太と颯太がいる列から配り始めた。

当然ちょっとだけ教室はガヤガヤと、話し声で盛り上がる。


「なあ颯太、お前は夏休み中も部活三昧だよな?」


「そうだね。遠征もあるからそれなり忙しい。でもラストの1週間は全部休みだよ。でも清太だって部活三昧でしょ?」


「そうだ、俺もそうなんだけど……。バスケ部より全然厳しくないからなぁ……」


「確かにそうだったね。休みもバスケ部より多いもんね?」


「ああ。楽っちゃ楽だけど、暇すぎるのも意外とつらいんだよなぁ」


 その言葉を聞いた瞬間、颯太は何かをひらめいた。

ピコーン! という音がどこからか鳴ると、颯太は清太に意見を出した。


「なら清太、その時間を有効活用しようよ!」


「有効活用って……。それを考えるのがムズい」


「えっ、出来るじゃん」


「どうやって?」


「ね、さくらちゃん!」


「ふぇっ!?」


 颯太はニコニコしながら、さくらの名前を呼んだ。

去年は誰もいない、ただ家族との楽しい時間を過ごしていただけだった清太。

 しかし、今年は違う。

今の清太の隣には、さくらという可愛い可愛い彼女がいる。

長期休みに2人ですること、それは――――夏の青春デートしかない!


「清太、夏休みのその休みを使って、さくらちゃんとデートすれば良いよ!」


「んなっ!? お、お前それ本気で言ってるのか……?」


「えっ? 本気も何も当たり前じゃん。僕となぎさちゃんだって夏休み中に行く予定だし。ね〜、なぎさちゃん!」


「ね~!」


 そう言って、楽しそうにする颯太と渚。

そう、この2人はもうすでに前から計画を立てていたのです!

と言っても、彼らはあくまでも学生。

そんな大人の夫婦がするような大きい旅行は出来ません。

なので、遊園地とかカラオケとか、学生のカップルが行くような場所を中心にデートをする予定を立てています。


(さくらとデート、か……。そもそもデートなんて考えたこともなかったな)


 2人に言われ、初めてそう思った清太。

デートという言葉は、今まで彼女がいなかった彼には全く無関係な言葉だった。

しかし先程も言ったが、彼の隣にはさくらという美少女彼女がいる!

こんな彼女がいるのにデートをしないとはどういうことなんだ! という考えになるのは当然のことで……。


「よっしゃああ気合い入れるぞおおお!!」


 突然気合が入った清太。

そして……。


「はいそこの気合十分の加賀くん? まだ終わってないから静かにしましょうね〜」


「は、はいすいません……」


 気合が入りすぎて木乃葉に注意される清太だった。

にしても、清太とさくらのデートですか……。

双方ともちょっと抜けているところがあるので、おっちょこちょいな場面をいっぱい見せてくれそうです。

もしかしたら、2人ともあわあわして焦っているシーン盛りだくさんかもしれないですね!

2人に期待しましょう!

 

「――――」


 そんな中で、1人ぼーっと考えている人物がいた。

クールな見た目の寡黙な少女、雪乃である。

彼女だけ唯一、4人から離れた場所に座っているため、彼らの会話は聞こえない。

唯一聞こえたのは、清太の気合の言葉だけ。

 そんな彼女が何を考えていたのかと言うと……。


(夏休みどうしようかなぁ。お母さんは多分忙しいだろうし、基本1人きりになると思う)


 必死に夏休みの計画を模索しているところだった。

すると雪乃は、ちらっと窓側の後ろを見た。

その視線の先には……4人で楽しそうに話すさくらたちがいた。

 さくら……雪乃がこの高校に入って、いや人生で初めて出来た大切な友達。

確かに過去にも友達はいた。

しかし、それはただのハリボテな関係で、自分の抱えるものを正直に話すとすぐに離れていく……それの繰り返しだった。

 しかし、さくらは違った。

しっかりと理解し、それでも雪乃と関わってくれる。

そして、さくらの周りにも、しっかりと理解してくれる良い友達がいる。


(――――夏休みも、あの4人と一緒にたくさん遊びたいな!)


 そう思いながら、そっと気合を入れた雪乃だった。

その証拠に、机に置いた手を見ると、ギュッと手に力を込めて握っている。


「それじゃあ、全員にプリント行き渡りましたか? それじゃあ、改めて夏休みの過ごし方について説明していきます」


 木乃葉が再び口を開いたところで、前期最後の授業が遂に始まりました。

さあ、次回から楽しい楽しい夏休みが始まります!

ただ、男2人は『夏休みの部活』というとてもキツい行事があります。

なので、彼らにはその行事に集中してもらってと……。

 この夏休みという学生にとってはハッピーな行事を使って、普段見られない様子を覗いてみようと思います!

 では、また次回もお会いしましょう!

さようなら!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る