第49話 俺達の推す政党
●作中の内容について
ここ数話、話の中での現在進行形での情勢・話題である政治情勢を中心とした話になっています。ご了承下さい。
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「何だか世間は解散総選挙一色となっているようだな。」
健康診断?検査を受けている間、俺達は雑談をしながら過ごしていた。
相手は俺と一樹付きの女性職員だ。
必ず俺達が戻ると彼女達がやってくる。
「それはもう、今後の事を考えると今が好機ですから。」
「ハンター民主政党だけでは心許無いですが、明確公平党が政権を一緒に担えばあるいは・・・・」
元々与党、スキル優遇民権党はスキルホルダー至上主義、我々ハンターは辛酸を嘗める非常に苦しい立場に追い込まれていた。
それを何とかなだめ思いとどまらせていたのが、どの立場に視平等に、がモットーの明確公平党の存在が大きい。
当然ながら我々ハンターは、ハンターの立場向上を掲げていたハンター民主政党
を支持していたが、どうにも政権を担う経験不足から、我々の役に立っているとは到底思えない酷い政権だった。
だがそこに来て変化が。
そう、総理が勝手に墓穴を掘り、与党が窮地に陥っているのだ。
まあそんな話をしていた。
「でも流石です岩ケ谷様。」
流石といわれてもなあ。
「岩ケ谷様の行動が与党を転覆させたのですから。」
「え?なにそれどういう事?」
「因みに岩ケ谷様の功績は相当なもので、旧時代に活用されていて使えなくなった大型画面を【修復】し、活用でき始めているのも岩ケ谷様の功績ですわ。映像再生装置に関してもですわ。【修復】・【複製】スキルをもってすればあっという間ですもの。しかも今まで【複製】スキルはたった一人しかいませんでしたから大々的に活用できませんでしたが、【修復】後に魔力で動くよう改造、それを【複製】するか工場を復帰させ生産すれば、今や電子機器が使えなくなる原因は収束していますから・・・・」
そんな事になっていたのか?そう言えば街の一部に大型画面が鎮座していて、何かが流れているのを最近見かけるなあと思っていたが・・・・
そんな時、帯野さんがやってきた。
「岩ケ谷さん、お礼とお詫びをさせて下さい!」
いきなり帯野さんが俺と一樹に謝罪を。
うーん、心当たりがあり過ぎて、何のお詫びだかわからない。
「あー思い当たる事はない訳じゃないけれど、先ずは理由を話してほしいかな。」
「あ、ありがとうございます。実際岩ケ谷さんと竹嶌さん、おっともう岩ケ谷夫妻でしたね!お2人には事前にしっかり注意していなかった僕が悪いのですよ。当初スキルを得るのは一度に一つ、と考えていたんです。」
「あーうん、それは僕も悪いね。勝手に【複数】のスキルが発生する可能性を分かっていながら時間があるからと勝手な事をやっちゃった訳だし。」
「それはいいのですが、心配しているのは身体への影響です。スキルひとつであれば実績がありますが、過去に複数スキル持ちがいた、という記録がない以上、もしいたとして何かあったに違いないと思っていたんです。それで複数のスキルを得てしまうと、身体にどのような影響があるのかっ全く分かっていない状態であんな無茶をさせるつもりはなく、それは僕が自身で用意するカードを必要数揃え、1週間かけてもうひとつ発現させ、確かめるつもりだったんですよ。」
あーうん、それは知っていた。帯野さんが自分で試すために、僕と一樹に【複製】及び【修復】スキルを得てもらい、それでカードを沢山用意し、1週間で帯野さん自身が用意すべきカードの予定数を得れば、自ら試すつもりだったってね。
それを考えなしに、1週間かかるのが3日で済んで、時間があるからと俺と一樹は作業を入れ替え・・・・更に時間があるからと体を動かすついでに模擬戦?で武器をとっかえてやってしまった。
「でも御覧の通り、僕と一樹はこうして今まで通り過ごせていますから、それに今更済んだ事ですし、お気になさらず。」
それでも謝ろうとしたので、この話はここまで!と俺は強引に打ち切った。
その後は強引に話題を変える為か、誰が言い出したのか再び政権の話になってしまった。
で、俺は職員に聞いた。
「ここはスキル学校だし、どちらかと言えばスキルホルダーの地位が安定すればそれすなわち国立学校に都合よい、と思ったのですがどうなんですか?」
すると意外な答えが返ってきた。
「今までのスキルホルダーは過剰に保護されてしまい、特に男性ホルダーの女性に対する扱いに我々はずっと異議を唱えていましたが、与党は聞く耳もたずで。なので与党にはさっさと政権から降りてもらった方がいいのですよ。」
どうやら与党は国立スキル学校の職員を敵に回していたようだ。
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