第22話 竹嶌さんとの戦闘訓練
帯野さんに指定された日時より1日早く作業を終えてしまった俺と竹嶌さん。
どうやら帯野さんは本当に時間がないようで、指定された明日しか来れないようだ。
で、どうするか悩んだが、
「先生、もしよかったら少し体を動かしませんか?」
竹嶌さんからの提案。トレーニングか?
「そう言えばすっかりハンターとしての行動をしていないから、身体が鈍っているのは間違いないな。で、何をしたいのかな?」
するとと竹嶌さんは自分の武器を手に取り、
「折角なので、お互い普段使用している得物で訓練しましょう。」
模擬戦か?
「分かったが・・・・俺は竹嶌さんの足元にも及ばないと思うんだが、大丈夫か?」
「それではお互い先ずは攻撃、防御、どちらかだけにして、互いに技量を確認してから決めましょう。」
こうして俺は竹嶌さんとの訓練が始まった。
・・・・
・・・
・・
・
竹嶌さんの得物は剣だ。
俺の得物は槍と薙刀を組み合わせたような・・・・というより姿そのものは薙刀なのだが、スキルで投擲でき、槍のように使える得物なんだ。訳が分からんよな。
いや違うな。
俺にはこうした得物の詳しい知識はない。
つまり先端は槍そのものだが、薙刀のように振っても刃物として扱える。だから俺は薙刀と槍を合わせた様な得物って思った訳だ。
で、カードでお互い得物を強化した。
刃物同士で打ち合えば刃こぼれがするからだ。
ちなみに竹嶌さんの剣と俺の薙刀?槍は2倍程のリーチ差がある。
何せ薙刀は柄が長いからな。
で、結局防御時は刃ではなく柄で受ける事になるのだが、竹嶌さんの方が射程が短いにもかかわらず、俺は防戦一方だった。
つ、強い・・・・魔物相手に凄まじい強さを発揮する竹嶌さんだが、対人でもその強さは発揮されていた。
で、俺は考えた。普段魔物相手ではしない方法で武器を扱ってみようと。
そう、武器を本来とは違う方法でもって回転させるように立ち回るのだ。
丁度バランスよく真ん中で持って左右で受け、攻撃もできるスタイルだ。
やった事が無いから上手くいかなかったが、
「先生流石です!その方が対人では力を発揮出来そうですね!」
いや、竹嶌さんの動きが素早いからこうなっているんだよ?そう思ったが、
「まあ色々な攻撃、防御を試すのも訓練だからこそだ。いきなり実践でやった事の無い動きをするのは危険すぎる。いい経験をさせてもらったよ。」
俺は竹嶌さんに一度も打撃を与える事はできなかった。
俺の方は何度も防具にいいものを貰ったが。
そしてふと思った。
折角なので互いの得物を交換しての練習はどうなんだろう、と。
「竹嶌さん、一寸提案があるんだ。」
そう言うと竹嶌さんは武器を下ろし、
「先生、何でしょう?」
「折角の練習だ、色々な可能性があるので、可能であれば一度互いの武器を交換してみないか?」
暫く悩んでいたようだが、
「そうですね、場合によってはそういう状況もあり得ますから、色々な武器を扱えるようになっておくのもよいですね。但し短時間だけの練習で実際にどれほど役立つかは分かりませんけれど。」
その後互いの武器を交換しての模擬戦も行った。
武器が変われば勝手が違う。
そして得物は常に同じとは限らないからこうした練習はとても有益だ。
場合によっては他のハンターが使用していた得物を使う状況もあり得るからな。
そうならない事を願うのみ、だが。
そして今まで竹嶌さんがどのように武器を扱うか見ていたので、見よう見まねで戦ってみる。
だが見ているのと実際に扱うのは全く違う。
それに互いの体型、体格、身長等が違うので同じ動きはできない。
だが基本は参考になるので、まずはまねをしてみる事だ。そしてどうすればもっと上手く扱えるかを打ち合いながら模索していく。
そして思い知らされた。
何せ竹嶌さんは俺の得物を、あっという間に俺以上に使いこなしていたからだ。
いやあ、才能の違いって大きいよな。
その後も2人で打ち合っていたのだが、お付きの女性達に声を掛けられるまでそれは続き、結局俺と竹嶌さんの打ち合いは夜中まで行われてしまっていた。
「久しぶりに体を動かせました!またお願いします!」
俺はもう限界で、身体が動かなかった。
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