第11話 色々な考察
前回蛇と戦った時は大赤字だったからなあ。
カードを複数使ったはいいが、結局後輩である竹嶌さんが仕留めたと言う散々な結果だった。
俺は毒にやられて治療や浄化、その他諸々もあって出費がかさんだ。
尤も個人的にカードを色々受け取ったからいいものの、素材を差し引いた報酬は参加人数が多かった事もあり、1人当たりの金額は大した事が無かったりする。
尤も竹嶌さんにしろ、あれは全員で仕留めた扱いになるから、ほぼ個人で仕留めたからといって特別に何か報酬がアップする事はない。
それをしてしまうと、報酬狙いでとどめだけ狙うハンターが続出するからだ。
なので基本参加者全員で均等処理だ。
だからまあ、実力が突出した個人がいると、それに頼って楽をしようとする輩がいるのも事実。その辺りのバランスは難しいと感じた。
「あ、その済まない。金額が大きすぎて色々考えていた。」
「まあそうよねえ。あんたまだ20代でしょ?あと10年はハンターしないといけないし、ある程度装備に投資した方がいいのかもね。カードは買い求めるとキリが無いからお勧めはしないけれどさ。」
カードも収集する連中が一定数いたりする。
所謂コレクションだな。
使う用と愛でる用・・・・愛でるってどういう事だ?
カードは使ってなんぼだろうと思っているからな。
まあレアカードなる存在があるからそう言った市場が構築されているのも事実。
ハンターではない、つまりカードを使用できない連中がカードを所持していたりするんだ。
まあそう言った連中は一部の金持ちだけだがな。
カードは基本金がかかる。最低でも万単位だしな。
そしてやはり装備だ。
俺達ハンターは一般人に比べ魔力の総保有量が桁違いに多い。
それを言えばスキルホルダーは俺達ハンターからすれば信じられないほどの総保有量だったりする。
何せカードにスキルを注入する時、俺達であれば絶対無理な量を消費するからだ。
それ故なり手というか、適任者は恐ろしく少ない。
鍛えて総魔力量が増えればいいのだが。
あれ?今までこんな事思いもつかなかったが、増えないよな?
それとも訓練次第で増える?
もしそうであればもっと情報が出回っているはずだ。
うーん・・・・まさかと思うが、帯野さんの言うお願いはこうした実験だったりする?
それはまた後日だな。
今、成すべき事は何だろう。
俺はふと【付与】スキルの事を考えた。
いまいち分かっていないが、色々なアイテムにスキルの効果を【付与】させる事が出来る便利なスキルだ。
だが成功率はかなり低い。
なので俺が所有している武器も、武器としてみれば10万円しないと思うが、スキルが付与されていればその価値は一気に跳ね上がる。
俺が使用しているのも1000万円を超える貴重品だ。
実際にはたまたまカードを用いスキルを【付与】させる事に成功しているが、買えば1000万円はくだらないだろう。
何せ【付与】が成功するまで相当数のカードを無駄にするからだ。
例え10枚を無駄にしても何らかの付与が成功すればいい。
だが駄目な時は何をしても駄目で、上手くいく時は1度で成功する。
現在も何が基準で成功するのか分かっていない。
もし分かればもっと武具が安く市場に出回るのだと思うが、どうなんだろう。
それにもし状態異常、今回の場合は毒だが、麻痺の場合もある。
そう言った事も常に備えられていればあんな事態にはならなかっただろう。
つまりまともな準備もできないまま緊急出動に駆り出され、当然ながら毒の備えもないまま毒蛇に戦いを挑まなくてはならない、結果的には当然ながら居合わせた殆ど全員が毒の影響を受けた。
防毒マスク等で毒対策をして挑んでいた竹嶌さんですら、戦闘後に毒が身体の中へ入り込んで身動きが出来なくなったと聞いている。
今後色々スキルを試す機会が増えそうだ。
幸い金はある。
先行投資と思えばカードの10枚や20枚は高くは・・・・ないと思いたい。
この後俺は個人カードへ約1000万円がしっかりと入金されているのを確認し、家路へと急いだ。
今日はこのまま休んで、明日もスキルを試す為に雑木林に向かうんだけどな。
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