第10話 壮絶なリハビリの日々と帰還
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応援、コメント、フォロー、☆☆☆をして下っさた方、そして一度でもこの物語を読んでくれた方々に深く感謝を申し上げます。
今回の話は少し長いですがお楽しみ下されば幸いです。
では、本編をどうぞ!!
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リハビリを開始して、早4ヶ月が経とうとしていた…………。
俺はあの日から、香川さんや水希、父、母、紗理奈など多くの人のサポートのもとで、
日々、リハビリに励んでいた。
最初は左手でお箸を使う練習から始まった。
結局、左手の痙攣がとまって下手ながらも物を掴むことができるようになったのはそれから1ヶ月後だった。
自分の想像以上に身体が言うことを聞いてくれなくて、何度も何度も失敗を繰り返し、その度に、水希や紗理奈が俺を励ましてくれたり、左腕のマッサージなどをしてくれ、どうにか、小学生くらいのレベルでお箸を使うことができるようになった。
また、それと同時進行で、上半身、下半身を動かす練習を始めていた。
最初は左腕を使い、自分の力だけで車椅子に乗る練習をしたりした。
これがまた、俺にとっては難しく何度もベッドから転げ落ちては挑戦を繰り返す毎日だった。
結局、リハビリを始めて2ヶ月程で少しのサポートを借りながらもほとんど自力で車椅子に移ることができるようになったのだった。
だが、順調と言っていいのはここまでだった。
下半身を動かす練習を始めて4ヶ月、つまり今に至るまで、1度も自分の左足は動くことはなかった。
元々、下半身の神経が集まる部分の脊椎がほぼ壊滅的な状態のため、普通に考えれば当たり前のことだった。
おそらく、100人いれば100人が諦めるであろうと思うほど無謀な挑戦だったのだから。
だが、俺は決して諦めず、毎日毎日左足のマッサージをしながら、無意識ではなく、意識的に動かすイメージをしながら、ずっとリハビリに励んでいた。
それは想像以上に辛く厳しい毎日だったが、嬉しい出来事もあった。
それは、目覚めてから一週間程経った時だった。
いつものように、水希と二人で他愛もない話をしていた時、突然扉が開き、
男性1人、女性2人が入ってきた。
「……………ホントに起きてるんだよな。
龍星会いたかったぞ!」
と目に涙を浮かべながら言う男性
ーー茶髪で、見た目はチャラいがどこまでも友達思いで根が優しい、高見 優(たかみ ゆう)。ーーー
「…………よかったぁぁぁぁ。龍星くんが目を覚ましてくれてぇぇぇ。」
と涙どころか鼻水まで出す女性
ーー綺麗な黒髪が腰まで真っ直ぐ伸びる、まさに大和撫子を顕現させたような、有村悠月(ありむらゆづき)ーーー
「またこうして、元気な顔が見れて本当に嬉しいよ。」
と他の2人とは対照的に俺の顔を微笑みながらみる女性
ーー綺麗な銀髪が特徴的でロシア人の祖父を持ついわゆるクォーターの綾瀬舞ーーー
この3人は俺が幼稚園の頃からの唯一と言っていいほど、俺が信頼できる親友たちだ。
「どうして……ここに。」
俺は、突然の親友たちの訪問に戸惑っていると………
優が泣きながらも、
「馬鹿野郎!俺たちがお前を心配しない訳にないだろ!ホントはすぐに駆けつけたかったが、健さんに少しの間は待ってくれって言われてずっと我慢してたんだよ。」
「父さんが…………」
「龍星くんが目を覚ましたって聞いて、このバカは居てもたってもいられなくなって飛び出そうとしてたから私も止めたの。」
と舞が冷静に言う。
俺はそれに思わず、
「……どうして、、。」
その言葉に呆れたかのように舞が言う。
「だって、もし私達が来ていたら、龍星くん無理しちゃうでしょ?
目が覚めたばかりのあなたに無理をさせてしまうのは私達も本望じゃないもの。」
俺は、図星で思わず口を噤む
それに舞は、
「ふふっ、龍星くんと伊達に幼なじみはしてないわよ。まぁ、それを置いても私だってあなたにずっと会いたかったんだけどね。」
と言って、微笑む。
ようやく涙が止まったのか、目を擦りながら、悠月が
「私も、ずっと会いたかったぁぁぁ。
龍星くんが元気になったって由里子さんから連絡がきて、すぐに来たんだからぁぁ」
と、再び涙を流しながら言う。
すると、その会話を横で聞いていた水希に気づいた優が、
「ところで、あんたが、龍星が命を懸けて助けた女の子だよな?」
とどこか鋭く水希を見つめながら言う。
「はい。何度か顔を合わせたことがありますが、改めまして、渡邉水希です。
どうぞ、お見知りおきください。」
と、水希は、何故か優ではなく舞と悠月に向かって言う。
その言葉に、悠月と舞はどこか警戒するような様子で、
「龍星くんとなんか仲良さそうだけど、水希さんと龍星くんってどういう関係なの?」
ズバリ、舞が確信をつく質問を水希に投げかける。
水希は動揺することもなく、
「私は龍星くんとお付き合いをさせていただいています。」
その言葉に優も含めて3人が、
「「「 お付き合いしてる!? 」」」
と、口を揃えて驚く。
悠月はどこか僅かな可能性に縋り付くように、俺に向かって言う。
「……本当なの?」
「……まぁうん。水希と付き合ってる。」
その言葉を聞き、優は
「おぉー!マジかよ。そりゃあめでたいな。おめでとう、龍星。」
「おう、サンキューな。」
女性二人の方は、
「先を越された……」
「私も龍星君が好きなのに……」
という2人の声は誰にも届かないのであった。
それから、俺たちは、会っていない3年を埋めるように、俺のリハビリの合間を縫ってほぼ毎日のように、お見舞いに来てくれていたのだった。
その中でも、一番驚きだったのは、それから1ヶ月ほどする頃には、水希と舞、悠月の仲が急速に親密になり、毎日のように俺の話で盛りあがっていた事だ。
(女の子は本当に不思議だなぁ……)
まぁ、そういうわけで俺は毎日、彼女、親友、家族に囲まれながら、リハビリに勤しむのであった。
そんなある日、担当の先生が
「私どもの予想よりもはるかに順調に、ここまで回復しています。本当に君の回復力には脱帽ものだ。」
なんと答えればいいか、迷った俺は苦笑しつつも、
「……どうも。」
と答える。
それに気づいた先生も同じように苦笑すると
「それでだが、このままで行けば今週中に退院できると思うよ。」
その言葉に思わず頬が上がる。
「ほんとですか!?
ようやく、家に帰れるのか……」
「確かに、約3年越しの帰宅だね。」
「そうですね。これでやっと………」
そうこうしていると……………
退院当日が来た。
だが、
俺の迎えに来たのは、父の健と水希だけだった。
(他の奴らは来てくれなかったのか…)
と、軽くショックを受けていると、
どこか楽しそうに水希が微笑みながら、
「そんな悲しい顔をしなくて大丈夫ですよ。」
と言う。
どういうことか、不思議に思いつつも父さんが退院の手続きを済ましてくれ、水希に車椅子を押されながら、病院をあとにする。
エントランスを抜けたところで、
大勢の看護師と医者が並んで、俺たちが行くのを豪勢にお見送りしてくれた。
その際、車につぎ込めるかな、と考えてしまうほど花束やら、プレゼントやらをたくさん頂いた。
その際、父さんの笑顔がどこか引きつっていた気がしたが、たぶん気のせいである。
そんなこんなで、家に着く。
父さんと水希に介抱されながら、リビングの扉を開けると……………
俺の視界を大量の紙吹雪が覆うと同時に
「「「「「おかえり!!!」」」」」」」
と言う声が聞こえた。
そこには、母さん、紗理奈の他に舞や悠月、優までもが居た。
あまりのサプライズに言葉を失う。
「ーーー」
すると、イタズラを成功させた時のように、
紗理奈が
「サプライズ成功!だね。
本当に改めて、にぃに退院おめでとう!
そして、おかえりなさい。」
と全員を代表して言う。
だから、俺は満面の笑みを浮かべながら、
最大の感謝を込めて
「ただいま。」
その後、しばらくして水希、優、舞、悠月のそれぞれの家族が合流して、ちょっとしたパーティーが開かれたのだった。
気づけば、口々に俺に感謝の言葉や本当に良かったと言う始末だった。
それは夜が明けるまで続く楽しい時間だった。
次の日、全員が寝不足で仕事に向かったのは言うまでもないだろう。
本当に色々あったが、こうしてようやく俺は自分の家にほぼ3年越しに変えることが出来たのだった。
そして、俺は改めて、ここからが本番だと胸に刻むのであった。
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いかがでしたか?
だいぶ文字数を減らしたのですが、ここが限界でした……。
この回で、親友3人が登場!
彼らもやっぱり龍星が好きなんですね。
面白い!続きが気になる!と思ってくださった方は、応援、フォロー、☆☆☆などなどよろしくお願いします。
気か向いたら、感想をコメントで教えてくれると嬉しいです。
では次回もよろしくお願いします!
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