Ꮚ・ω・Ꮚメー(4:ステータスを確認しよう)

 メェ (ともかくステータスを確認してみよう)

 メエェ(データが出てくるはずだ)

 メメェ(ステータス画面に職業欄が追加されている。開いてみたまえ)


 閉じていたステータス画面を開いてみると、


 冒険者名 :ソル

 保有クラス:

 ソルジャー   (レア)

 アンダーテイカー(アンコモン)

 ベーカー    (レジェンダリー)

 PP    :100,000

 バイタル :グリーン

 メンタル :グリーン

 ステータス異常:

 アンデッド因子感染症(潜伏型/余命30日)


 となっていました。


 メー (ベーカーの文字に指を触れてみてくれ)


「はい」


 指示通りに文字列に指を触れると小さなウィンドウが開き、説明文が出てきました。


ベーカー(レジェンダリー)

 傷病労苦を超越せし伝説級パン職人。

 保有スキル:

 製パン(10)焼菓子・洋(8)食品鑑定(10)食品調合(10)生地作成(10)食品発酵(10)食品成形(10)食品焼成(10)食品装飾(10)包丁さばき(8)総合調理(8)調理用熱量制御(10)調理用微生物制御(10)オーブン・石窯召喚(10)冷蔵用アイテムボックス(10)冷凍用アイテムボックス(10)発酵・熟成用アイテムボックス(10)汎用アイテムボックス(8)


 どこから驚けばいいのかよくわかりませんが。


「数字はレベル、ですよね?」


 メェ (ああ、コモンでレベル2まで、アンコモンでレベル4まで、レアでレベル6まで、エピックでレベル8まで、レジェンダリーでレベル10までのスキルが付与される)

 メエェ(アイテムボックスにバリエーションが多いのは生産職の特徴のひとつだ)

メメェ(全体に滅茶苦茶な数字だと理解しておいてほしい)


 比較材料が欲しかったので、レアのソルジャーやアンコモンのアンダーテイカーのほうも確認してみます。


 ソルジャー(レア)

 多くの戦場を生き抜いた精鋭兵。

 利用可能スキル:

 射撃戦(6)白兵戦(6)狙撃(6)防御(6)隠密(6)索敵(6)応急処置(4)銃火器整備(4)汎用アイテムボックス(8)


 アンダーテイカー(アンコモン)

 手慣れた死体処理業者

 利用可能スキル:

 穴掘り(4)スコップ(4)焼却(4)とどめ(4)汎用アイテムボックス(8)


 レアリティが違うと、スキルの数とレベルにかなりの差が出るようです。


 メェ (汎用アイテムボックスがそうだが、別のクラスで同じスキルを保有している場合は一番高いレベルで統一される)

 メエェ(レジェンダリーとレアクラスがあればPPは相当稼ぎやすくなるだろう)

 メメェ(取り急ぎ生産のチュートリアルをしておきたいが、受講するかね?)


「お願いします」


 知識ゼロ、経験ゼロからいきなり生産職の世界に飛び込んでいく勇気はさすがにありません。


 メェ (では、レンタルキッチンに移動しよう)

 メエェ(レンタルキッチンを利用と念じてみてくれ)

 メメェ(チュートリアル中はレンタル料無料)


「はい」


 指示に従い念じると、ホームエリアへの移動と同じように視界が切り替わり、高い建物の一角にある部屋に瞬間移動しました。

 大きなテーブルと洗い場、様々な調理器具や食器類が用意された、清潔で広い部屋。旧時代の廃墟で見た家庭科室を思い出しました。

 分厚いガラスの窓の向こうには緑に覆われた廃墟の街と、魔王城という言葉を連想させる西洋風の大城塞が見えます。


「ここは、新宿でしょうか?」


 東京大迷宮中枢部。

 迷宮王アデスの住まいとされる新宿ラストダンジョンの近くのようです。


 メェ (新宿冒険者センタービル。一応新宿ラストダンジョンの一部になる)

 メエェ(ここからのダンジョン攻略はできないようになっているがね)

 メメェ(上のフロアには展望室やレストランもある)


 観光スポットのようになっているようです。

 窓から見下ろすと、草木に埋まった廃墟の市街のあちこちに、ドラゴンやキマイラと言った大型モンスターが陣取っているのが目に付きます。

 要塞都市や他国軍の侵攻、アンデッドに対する備えなのでしょう。

 ドラゴンを倒すと万能薬をドロップするとのことですが、今の私にどうにかできる相手ではなさそうです。


「なにからはじめましょうか?」


 メェ (簡単なパンを作ってバザールで売るところまでやってみよう)

 メエェ(生産系冒険者がPPを稼ぐときの基本的な流れになる)

 メメェ(なにか作りたいものはあるだろうか?)


「ぱっとは思いつきません」


 クロワッサンなら池袋の地上市街で食べましたが難度が高そうです。

 あとは食パンやコッペパンあたりしか思いつきませんが、難しいのか簡単なのかもわかりません。


 メェ (コックパッドを見てみよう)

 メエェ(ホームエリアやセーフティーエリア内ならばステータス画面と同じ要領でダンジョンネットを利用できる)

 メメェ(ブラウジングと念じてみたまえ)


ダンジョンネットは東京大迷宮が独自に運営している冒険者向けの情報ネットワークです。指示通りに閲覧用ウィンドウを開くと、検索ページが表示されました。

 バロメッツ達のナビゲートを受けながら東京大迷宮が運営している冒険者向けの料理サイト、コックパッドに移動します。

 バザールと呼ばれる取り引きサイトで買えるPP交換食材や、迷宮内のドロップ食材を使った料理のレシピを公開しているサイトだそうです。

 東京大迷宮が出している公式レシピの他に冒険者の投稿レシピも色々公開されています。


「【英国グルメ】星を見上げるスターゲイジーパイ?」


 丸いパイの上から銀色の魚が何匹も顔を出している不思議なパイが今日の一番人気レシピのようです。


「美味しいんでしょうか?」


 メェ (いや、荒らされているな)

 メエェ(騙されるな)

 メメェ(ブックマークしなくていい)


 騙されかけてしまったようです。


 メー(ネットリテラシーを鍛える必要がありそうだ)


 ちょっと否定できません。

 今度は変な情報に引っかからないよう、慎重にレシピを選びます。


「これでどうでしょうか」


 メェ (プチフランスか)

 メエェ(手頃なところだな)

 メメェ(いいんじゃないか)


 問題ないようなので、手頃な大きさのプチフランスパンを作ってみることになりました。

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