第675話 らいおんすたじお その1

【登場人物】

川崎ばにら  DStars3期生 ゲーム配信が得意

たたたたた  ばにらのリスナー らいおんらーめんの店員


【シチュエーション】

らいおんらーめんに来店したばにらさん。

いよいよ、たたたたたの私室で配信に臨むのだが……?


◇ ◇ ◇ ◇



たたた「まぁ、汚い部屋なんで快適じゃないかもですけど」


   「ちゃんと防音とかはやってるんで、安心して配信はしてください」


ばにら「…………汚い、部屋?」



~~ 下手なスタジオより、よっぽど片付いた配信部屋 ~~



ばにら「これ、普通にスタジオレベルの配信部屋じゃないバニか⁉」


   「え、どうなってんのこれ⁉ ずんさん家よりすごいかも⁉」


たたた「いやー、そんなことないですよー」


ばにら「もしかして、たたたたたさんも、配信やってるバニ?」


たたた「やってないバニ、ないバニw」


ばにら「じゃあ、どうしてこんな設備……?」



たたた「配信はやってないですけど」


   「普通にゲームはやってますからね」


   「いろんなアマチュアの大会なんかに参加してて」



   「まぁ、その流れで一通りの道具が揃っちゃったというか?w」



ばにら「いや、揃わんやろ! なんでそうなるんや!」


   「こんなポップガードがついたマイク! 配信のプロしか使わんわ!」


   「しかもマイクミキサーまで、ちゃんとしたの買って……!」



   「あとで録音鑑定団(しのぎ)を読んで、査定してもらうバニだけど」


   「こんなの普通になにか収録するスタジオですやん!」



たたた「バレちまったらしょうがねえ」


   「実は家計の足しにと、今流行のASMR音源を作ってやしてね」



   「美女がらーめん啜るだけ……って奴なんですけど!(大嘘)」



ばにら「どこに需要があんねん、そんなASMR音源!」


   「ぽめら先輩の冷や麦ちゅるちゅるASMRの再生回数知ってるんか!」



【※ぽめしゃの、冷や麦ちゅるちゅるASMRシリーズは、人気シリーズです。誰がなんと言おうと人気シリーズです。特級呪物先生が、恐ろしい勢いで再生回数を回しており、配信者本人もあきれ果てておりますが、夏の風物詩メインコンテンツです】



たたた「まぁ、そうっすね」


   「マイクはほら、やっぱり今のゲームってボイチャ基本じゃないっすか?」


   「だからどうしてもこだわっちゃった部分があるんですよね」



   「で、そこをこだわり出すと『こっちもできる!』ってなって」


   「気がついたらどんどん部屋がすごいことになって……w」



ばにら「まじで、趣味でこんな部屋を作っちまったの?」


   「すげー情熱バニなんですけど」


たたた「なんでまぁ、それがばにら先輩とかラムちゃんとか」


   「そういう人たちのお役にたつんだったら」


   「それはそれでアタシとしては嬉しいんすよね」



   「ほら、アタシは別に配信者って柄じゃないから……」



ばにら「そんなこと、ないと思うけどなぁ?」


たたた「え」


ばにら「たたたたたさん、普通にゲームうまいバニだし」


   「周りを意識した行動も取れてるし」


   「配信者とかVTuberとか」


   「絶対に向いてると思うバニよ」



   「なにより、これだけ配信の環境にこだわれるのは」


   「好きじゃないとできないことバニ」



   「好きってことは、仕事をする上で、大切な強みバニよ」



たたた「好きは、強み……ですか」


ばにら「もうちょっとはやく出会ってれば」


   「ばにらから普通にDStarsの四期生に推薦したのに」


   「もう、なんで言ってくれないバニ?」


たたた「ちょっw 今日会ったばかりじゃないッスかw」


   「なに言ってんですか、ばにらさんwww」


ばにら「ほら! トークの切り返しもキレキレですやん!」


   「こんなんあひる先輩なんてぴょんて抜かしちゃいますよ」



あひる「おいコラ! 誰が誰を抜かすって?」


しのぎ「ばにらっちょ、それはちょっとあひる先輩が可哀想だよ!」


ラ ム「けど、たずなちゃんのツッコミはキレキレだからね!」


   「たしかに配信映えしそう!」



ばにら「…………」



   「いや、なんでみんなこの部屋に居るの⁉」


   「どういうことどういうことどういうこと⁉」



三 人「せっかくだから見学しようと思って!」



ばにら「やりづれーバニなんですけど! 勘弁してバニ!(いまさら)」



たたた(好きは、強み……)


   (そっか、やっぱり私って、配信が好きなのか)


   (けどな、私がこのお店を辞めちゃったら)


   (このお店どう考えても回っていかないもんな)



☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



いろいろと抱え込んでいるたたたたたさん。

前回登場時にもちらっと家庭事情は話しましたが、やっぱり家業がある家の娘さんというのは、いろいろ考えちゃうものなのかなぁと。それでなくても、お父さんが一人で頑張っているのを目にしていて、なかなか自分の希望を言い出せないのかも。

なんというか、優しい娘ってこういう時不憫ですよね。


そして、親は親としてそういう娘のことを気にかけているっていう。

なんというか親子というのは難しいものです。


それはそれとして、公開処刑のように同僚に見守られて配信するばにら! コラボとはまた違う羞恥! それが見守り配信! しかも、後方腕組みしているのは、いつも弄っているあひる&トラブルメーカーのラム! 頼りになるのはしのぎ、お前だけだ――というドラゴン○ールみたいな煽り方をしつつ、続きが気になる方はぜひぜひ評価・フォロー・応援などよろしくお願いいたします。m(__)m

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る