第9話-② 各国の諸事情
一方――――その頃…ラー・ジャの南に位置する『列強』の一つに入国を果たしてユミエは。
「さて、と…関もくぐった事だし、後は着替えをして―――『シャルナ』にある
その国は、7つある列強の中で『非戦・非暴力』をその
その国の西には南北を縦断する山脈『ヴァーナム』があり、(ちなみにこの山脈は北に隣接するラー・ジャに続いている)さらに教都シャルナから東南東の外れには霊験あらたかな山『霊山ゾハル』が存在していた―――何よりこの国は深緑の杜に覆われ、常に神秘なる霧『ミスティック・ミスト』が立ち込めており、その神々しさたるや筆舌し難いものがあったようです。
そして今、この国の教皇の下へ、侍女の一人が―――…
「(ナユタ=ディーヴァ=シルメリア;5,160歳;?;マハ・トマ教教皇
この世界の、他のどの元首達よりも長命、それゆえに多くの喜びや哀しみを見てこられたことであろう…そして事実上『神に最も一番近い人物』と称される。)
いかが―――しましたか、『シズネ』…。」
「(シズネ=アン=レーゼ;21歳;女性;まるで透けるような透明感のある美の持ち主。 両目は閉じられてはいるが決して盲目ではない。)
はい…実は、教皇様にお目通りを―――と、願っている御仁がおられるのでそのお取次ぎをと…」
「そうでしたか、一体誰なのでしょう…取り敢えずは会ってみる事にいたしましょう。」
どうやらこの宗教国家の教皇様にありがたい説法を説いてもらうためか、誰か人が訪れたようです。
果たしてそれは誰なのか―――
よく見るとプラチナ・ブロンドの髪を
「これは―――… 一体どなたがお見えになられたかと思えば。」
「(ヱリヤ=プレイズ=アトーカシャ;彼女については多くを語らじ、)
あら、案外と驚きしないものですね、少しは期待していたのだけれど…」
「これはご冗談を、あなた様に比べれば私などまだまだ若輩の身でありますれば。」
一見すると分相応ではない彼女達の会話、5,000年と言う永い年月を生きてきた人物をして『若輩者』と言わさしめた根拠とは。
* * * * * * * * * *
それはそれとして―――ヱリヤをナユタに引き合わせたあの侍女は。
「(まさかゾハルの主とその従者がここに来るものとは…今の世に何か変革が訪れようとしているのでしょうか?)」
教皇ナユタの侍女であるシズネは、教皇を尋ねに来たのが誰であるのかを分かっていました。 そう、『ゾハルの主』……この国の出身ではない彼女がヱリヤの事を知っているのは何故?
すると、その時―――
ヒィ――― ヒィ――― ヒョ――― ヒョ――― ガッガッ
細く高く
その
「やはりこられていたのですか、副長――――」
「お久しぶりね、『
「ありがとうございます。」
「ところで…私が今ここにいる時点でなんの事かは分かっているでしょうけれど―――…」
「『帰巣』―――の件ですか…分かっていますが…」
「(ン?)どうかしたの?」
「はい、これが通常であれば難なく応じられるのですが―――実は今サ・ライに滅多と見えられないお客人がお目見えしているもので…」
「誰、なの?」
「“お山”―――と、言えば分かるでしょうか。」
「ゾハルの―――あそこの主が、ここへ?!」
「はい…。」
「そう…それは困った事になったわね。」
「はい、それに今ここで抜けたりしてしまえば今までやってきた事が水泡に帰してしまう
「そう…そうね、残念だけど今回は諦めるしか他はなさそうだわ。」
「いえ、それは早計に過ぎることと思います。」
「どう言う事なの?」
「恐らく、今回『ゾハルの主』がこられたのは一時的なもの…
「でも…時間がかかるでしょう?」
「確かに―――そこで私めから提案させて頂くのには、この会合が済み次第もう一つ…『フ国』での活動を再開させたいと思っているのです。」
「あそこかあ、確かあそこはあなたと…」
「はい、もう一羽―――『
「昔から―――
「お褒めの言葉と、とっておきます。」
「そうか――――分かったわ…。 では私も次の『ヴェルノア』へと急ぐ事にしましょう。」
でも後の方でガルバディア大陸の中央に位置する『フ国』で合流することを約束にこの二人は別れたのです。
* * * * * * * * * *
その一方で―――こちらの二人は…
「どうぞ―――お口に合わないかもしれませんが…。」
「いえ、一向に構うことはないのですよ。
「これは、お辛いお言葉で。」
何か―――後ろめたいことでもあるのか、またそうでないにしろ一つの列強の国主でもあるナユタの方が一人の少女にどことなく遠慮をしている…と、言う風に見えるのは気の所為なのか?いずれにしろこの会合の粛々とした雰囲気は、これから繰り広げられる論戦の前触れに過ぎなかったのです。
今――――その幕を明けるべく、この少女の口からはこんな事が…
「ところで―――あなた方はその主義主張を変えないので?」
「『非戦』『非暴力』の件ですか…ですが、これほど尊い教えは今も昔も―――」
「本当に――――変わらぬもの…だな。」
「今…なんと?!」
「『右の頬を打たれたならその左を差しだせ』とは、確かに尊い教え…『知らんがために我は信ず』と言い捨てたあなたの祖先にそのままよ―――その考え方はね。」
「――――…。」
「あなたは―――当時のあの時、7万年前には存在はしていなかった。 無論その事を罪と言っているわけではないわ。 だけど―――もし―――その教義すら通用しない者が現れた時、あなたは一体どうするというの?やはり彼の者達のなするがまま?
それとも…あの時の、あなたの父上と同じように知らん顔を決め込むというの?」
「そっ―――それは言い過ぎなのでは?! 確かに私はあの当時には存在はしていないし、当時の様子も口伝のみでそう詳しくは知り得ませんが…」
「だけども―――そう捉えられても仕方のないことよ。 あの時…我等の盟主、皇・ジョカリーヌ様のお言葉…『共に手を
「でっ―――ですが…それは……」
「それとも―――(フッ) そのお蔭で皇が早逝されたことはあなた方にとって非常に利でもあった…と?」
「な…なんて事を…。 こ、これは、明らかに私達の祖先を冒涜する言葉です!」
「ほ、これはこれは…どうやらハイ・エルフとて少なからず『怒る』という感情は持ち合わせていたと見える。」
「(く…!)い…今すぐ、ここから出て行きなさい―――! 所詮あなた方のように血塗られた道を歩んできた者には…この尊い教えは向かないのです!」
「そのようね。 では、少し予定より早いけれどお
「どう…いたしまして……」
「それでは――――『偉大なるマハ・トマに、ご栄光のあらん事を』。」
「(くぅ…ッッ!)」
そう、実に7万年前の事を
それを素直に受け止め、棲み処に戻っていくその主従…
「あの―――洞主様。」
「まあ御覧の通り、いつまで経っても同じ事――――平行線よ。」
「ですが、やはり―――」
「まあ…仕方がない―――と、言ってしまえばそれで終わりなのだけれどね。 それに元々この人達は自らが率先して戦いに赴くような私達のような種族ではないのだから、あの様な矜持も生まれて来るというものよ。」
「は……あ……」
「それでも―――そんな者達でも、あの男―――サウロンは何喰わぬ顔をして屍山血河を築くでしょうね。」
「洞主様―――…」
「今回は、彼ら自身にもそういう事が十分にありえることを彼らの心の隅に留めて置いてもらうぐらいにしておきましよう。 それに…私達の盟主様も
「は――――それでは…。」
「そうね、これからの事は棲み処に帰って練る事といたしましょう。」
この少女ヱリヤは知っていた、かの暴君サウロンの残虐性を。
例え眼前に命乞いをする者がいたとしても平気でそれを踏み
結果としては、史実を御覧のように暴君は敗れ、皇の勢力が勝ちを収めたのですが…その永きに
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
この地は―――二大大河の一つ『レテ』がその流れを源とするヴァーナム山脈より流れ出てくる土砂が堆積してできたところ…しかもその土砂は植物にとっての栄養を多く含んでいた事もあり、結果―――――この地を肥沃で豊饒な土地にしていたのです。 それ故にこの国の主な産業は『農業』であり―――しかもその生産量は自国の義倉の備蓄だけにとどまらず、他の六つの列強に分け与えても有り余るほどだったようです。
その国の名は――――『クーナ』
ですが近年……かの新興国『カ・ルマ』が台頭してきた事により、自国の穀倉襲撃事件も多発し目に余るところがあるというので、余った人手をかき集め『自警団』が組織されるなど、この国を取り巻く事情というのも少しずつ変わりつつあったのです。
そして今ここに――――
まさに穀倉の襲撃をしようとしている集団と、自警団の一隊が衝突をした模様です――――…
「へへ~~ンっ! まぁ~ちなっ!
「おいっ――コラ!マキ! そんな大見得張らなくてもいいから――――」
「(マキ=ヘキサ=キンメル;16歳;女性;元気で活発な女の子、逆に元気すぎて空回りしている―――様ではあるが?)
ヘヘへッ―――ども~~☆」
「くぉの~~っ! ふざけやがって―――!」
「おおっ――――と、人を傷つけんのにさぁ~そんな大振りじゃあ、だぁ~~~めだぁ~~~めだよ!ちみ! アタシがちょッくら手本というものをみしてやろ~~~じゃないかあ~! そりゃっ―――!」
「う…うわっ! こっ…このぉ~~~い、意外とやるぢゃねぇか」
「へッへぇ~~ンだ! このマキ様を傷つけようなんざ、あんたの腕じゃ10万光年早いってとこだね――――ニャは☆」
「チッキしょおぉ~~またふざけやがって。(だっ…だが、この女の言うようにオレ達だけじゃどうしようもねぇ、一体どうすりゃあ―――)」
この国の自警団に混ざり、まさに縦横無尽に活躍する女戦士―――その名をマキと言ったようです。
しかし彼女…マキは、この略奪者や仲間の団員が思っているように他とは一線を画した素早さと、並外れた体術で
そして略奪者達は一人の女戦士によってキリキリ舞―――文字通り手も足も出なかったようで―――…
するとそこへ―――――
ピィ~~~――――― ピィィ~~~――――――
「(おっ?!引き上げの合図だ)確かに――――命あっての物種だからな、ここは一旦退くに限るぜ。 あばよっ―――!」
「おンやあ~~? 逃げんの~~~? だあったらさ―――今度来るときはママンにオシメ代えてきてもらいなよっ―――☆」
「う…うるせえっ! おッ、覚えてやがれッ―――!」
「にヘヘへー--撃退完了―――☆」
この自警団の一団員に過ぎないマキの活躍のお蔭で略奪者達は逃走…つまりは勝利したのです。
そしてマキが所属する隊の隊員達も彼女の下に集まりだし…
「隊長~~~っ!ご無事でしたか!」
「おっ―――君達も無事だったか~~~うんうん、よしよし。 こぉんな一文の得にもならない事で命落っことすなんてばっかバカしいからね――――ニャは☆」
「もぅ~~~隊長強いの分かってるんだから…1人で突出して闘ってる分にはいいっすけど、後でついてくるオレ達の身にもなって下さいよう~~~。」
「あ゛~~~すまんスマン、そんなに気を落とすでないよ、部下A君。 でもねぇ…アタシってさ、カッとなると頭に血が上りやすいタイプなんだ、だから―――仕方がないんだよね…」
「(えっ?)た…隊長?」
「へっ? あ…っ、あっはははー--冗談だよ、冗談。 さっ、それより報告にいくよ☆」
彼女以下――――計5名。 これがマキが所属する隊の全容なのですが、今まで見ていてもマキの武が抜きん出ていたが故に彼女はこの小隊の『隊長』だったようです。
そしてマキ達は、この自警団を束ねるクーナ国軍の将軍の下に集まったようです。
「たっだいま~戻りましたっ☆ アタシが
「(ギャラハット=シャー=ザンフィル;38歳;男性;クーナ国軍の将軍の一人であり、マキ達が所属する計13ある自警団を束ねる者)
うむ…そうか、ご苦労。」
「(ヒヅメ=アトー=キュベレイ;19歳;女性;この将軍ギャラハットの副将であり、彼の養女でもある。)
でも―――相変わらずだね、マキ。 お
「あ゛~~~それねー--さっき部下A君にも言われたばっかなんだよ~~だから、今度から気をつけるからさぁ~~~カンベンしちおくりよ~~~って、こんなんじゃダメ?」
「(はぁ~~~またこの喋り方だよ…なんて言うか、精神年齢が低い―――とでもいうか……)」
「およ?どったのヒヅメちゃん。 そんな暗い
「なッ…なんだとおぅ~~! ひっ…
「あいっ☆ お~~こっちゃった? フンじゃあー--どう言えばいいのかなあ…あっ!そー--だ☆じゃさ、こんなんでどぉ?
―――野獣、死すべし
ってとこかねー--ニャは☆」
「(こっ…こいつぅぅ~~!)」
「はははー--これは完全にしてやられたと言う所のようだな、ヒヅメ。」
「しっ―――しかしお
確かにマキの存在は13ある自警団の中でも異彩を放っていたようでした。
それと言うのもたった一人で大勢の略奪者をキリキリ舞いさせられるだけの武を持ち合わせていながらも――――それとは相反するような幼い言動、一見すると他人を小莫迦にしたかのような言動でもあったわけなのです。 けれども
* * * * * * * * * *
その一方――――クーナの穀倉の襲撃に失敗した略奪者達は襲撃の失敗をとある者に報告をしていたのです。 そのある者とは―――『七魔将』の一角であるワグナス…
「全く何をやっておるのか、一つの穀倉も襲えないでいるとは…使えぬヤツ等めが。」
「い―――いえ、しかしそれが…あの自警団にえらく強いヤツがいてまして…い、以前のように容易く襲えようもなかったんでがすよ。」
「言い訳をするな!愚か者めが。(チッ…とは言ったもののこれからどうするか。)」
彼等は自分達の拠り処でもあるカ・ルマの一拠点に戻ってきていたようです。
――――と、言う事は…そう、この略奪者共はカ・ルマの一兵卒だったのです。
そして今の会話から判かる様に、喫緊の課題としては兵士達の食料『兵糧』の確保であり、これからガルバディア大陸の総てを自分達のモノにするためには、第一に憂慮しておかなければならない事項でもあったのです。
その上での、幸先悪い報らせ―――『穀倉の襲撃の失敗』とは…
すると――――
「なに、心配する必要は、ない―――」
「むんっ?! ―――なんだ、ビューネイか…どうしたお主ほどの者がこのようなところに。」
この…カ・ルマの拠点の一つであるこの城に現れていたのは『七魔将』の一人であり、その“筆頭”と目されているビューネイ=サルガタナスだったのです。
しかも開口一番『心配する必要はない』―――とは、たった今穀倉襲撃が失敗した事を聞いたばかりなのに…
「それよりも『心配する事ではない』…だ、と?現に穀倉の襲撃に失敗しおったのは事実―――」
「だったのならば、手の者を動かせてしまえばよいことだ。」
「なんだと? だがそうしてしまえば…」
「
「なに?正規の―――? ううむ、だがしかし―――」
「(フ…)なぁに、よもやゴブリンやグール共が我等の『正規軍』だとは
「まあ、確かにな。 だが知恵のないあやつらは真っ先にここに戻ってこよう…そうすれば勘のいい奴なら我らが正体を――――」
「なんだ、そんなことを気にしていたのか、他愛のない…」(ククク)
「な、なんだと―――?!」
「ならば、先に知恵をつけさせておけばいい事ではないか。 『穀倉を襲った後は迂回をして戻ってくるように』―――とな、そうだな…この一帯で言えば『ゴモラ』か『ソドム』辺りが丁度いいか…」
「成る程な―――だが、そう上手くいくかな?」
「行くさ―――それにそこまで気が廻る者でもあの2つの
「そうか―――そう言えばその二つ、お主が内偵を進めていたのであったな。 それで―――どうなのだ。」
「なぁに、あと一息―――と、言うところだ。 何も武力を介さずとも堕落しきっている処を堕とすには…容易きことだ。」(ククク)
ナゼにビューネイという魔将が他のどの魔将よりも一目置かれているか…今のやり取りで分かった事でしょう。
他の魔将は自らが誇る武力にて他の勢力を攻め滅ぼす事をその信条にしていたものを…このビューネイなる者は武力を(なるべく)使わない―――自軍の兵力を削がない―――と言う事を念頭に置いており、そりヤリ口にしても『内から徐々に崩していく』という狡猾さも兼ね備えていたのです。
* * * * * * * * * *
そしてまた場面は一転し―――クーナにて。
「あっ―――コラ、マキ! 待ちなさいよ!」
「へへ―――ンだ、や~~だよ~~~☆ 待てと言われてホントに待つヤツがいるかってえ~の~それにもしそんなことしてあたしを捕まえたんなら、まぁた農作業手伝え~~ってんでしょ~~☆」
「あ、当たり前じゃないか!略奪者が来ないときには例えアタイ達だって鎌や鍬を手にするもんなんだよ!」
「えぇ~~~っ、でぇ~もッさぁぁー--ンな事やっちゃうと、お手手も汚れるしぃ、爪の間にも土が入っちゃってて~~~」
「なぁに贅沢言ってんだ!お前わっ! 第一身だしなみに気を使うだなんて…アンタはどこかの国の姫君かよっ! いいから来いッ!手に農具を縛りつけてでもやらせてやるっ!」
「(うヒー☆ なぁンだかヒヅメちゃんあの
「そらっ―――捕まえ…あ…あれっ? に、逃げられ――――た??」
「う~~~ッひょひょ~い☆ こっち、こっち――――☆☆」
「(ば…莫迦な? 今―――完全に捕らえたと思ったのに)えいっ―――!」
「おぉ~~ッと、どこ見てんだぁー--い☆」
「(な―――ま、また? どうして…アタイはお
ヒヅメの養父とは、クーナ国の将でもあるギャラハット=シャー=ザンフィルでした。
そしてこれまでにも述べているように、ヒヅメはギャラハットの実の娘ではなく―――養女。 それは見た目にも明らかなことであり…なぜならば―――ギャラハットの肌は桃白であったのに対しヒヅメの肌は浅黒かった、それだからなのです。
それにヒヅメは、その肌を見てのように南方の――――言うなれば『ヴェルノア』や『サライ』方面の土着の民の血が色濃く出ていたのです。
では、どうして北方のクーナに来ているのか…その理由は実に簡単、彼女は売られてきた―――そう、奴隷だったのです。 その上にヒヅメは戦災孤児でもあった…それであるがゆえに親類に引き取られると言う事もなく、彼女は
それもそのはず、ヒヅメを引き取ったギャラハットも実の娘を流行り病で亡くしており、その妻もまた―――数年もしないうちに同じ病にかかり、亡くなってしまっていたからだったのです。
それであるが故にギャラハットは、奴隷であるはずのヒヅメを可愛がり…そしてヒヅメのほうでも彼女なりにそのことに応えようとした――――…
「あっれぇ~~~?どったの~~?」
「それを…こんな不真面目な奴一人捕まえられないなんてッ!」
「うヒ?! ふぇ…フェイントかよ~~~ずっこいぞ―――! ぷりぷり!」
「ま…また?!(ど…どうして――――)」
「はっ、はぁぁ~~ん、まぁたその手…チッチッ、もうその手は喰わないんだよょ~~~ン!」
それなのに―――ヒヅメの
「これ、なにをしているんだ。」
「あっ―――お
「うん?こうか?」
「うにゃっ?!…って、ウッソぉぉン~~~~! そ、そんなのずっこいぞおぅっ! さっきまでヒヅメちゃんのオニだったじゃないかー!」
「あっ…ああ、それはすまないことをした―――」
「あ…ああっ……お、お
「へッへ~~ンだ、三十六計逃げるに然りっ☆」
「ああ――――それはまた、すまないことを…」
「全く…なんだかなぁ~~~」(はぁう)
丁度そこにギャラハットが通りかかり、彼の協力の下マキは捕らえられたようですが…彼女も
ともあれ、この農業大国では略奪者の撃退―――と言う事もあったけれども、その大半は農作業を主体とした
* * * * * * * * * *
――――ところが、この時から運命と言うモノは非情な方向へと向かっていたのです。
それと言うのも―――…
「大変ですっ―――異形の者共が『チンソウ』を襲うとの連絡が。」
「なんだと?それは真か―――ならば自警団を呼集せよ!」
「はいっ!お
なんとこの時カ・ルマの正規軍が前回の失態を取り戻すべく、今回は別の穀倉を襲撃するとの報告があったのです。(尚、まだこの時点ではこの異形の者達がカ・ルマの『正規軍』だと言うことをクー・ナ陣営には知られていない)
そのことを危惧した自警団の総責任者であるギャラハットは13ある自警団の非常呼集を行いこれを撃退する判断をしたのです。
「ほえ~~今回は化け物相手なんだってよ~~☆ 何もアタシ達の食料獲らなくてもいいもんなのにねぇ。 ね~~そだよね☆」
「いいっすよねぇ~隊長はお気楽で…」
「まー--死ななきゃいいって事よ☆ ニャは☆」
自警団の総責任者であるギャラハットからの命令を受け、どうやらマキが隊長を務める13番隊も撃退戦に応じるようです…が、彼女の様子を見てみるといつもの撃退戦の時とは変わりのない反応…その事に部下である隊員は『お気楽だ』と言ったものだったのですが…けれども彼らは本当の
一方その頃クーナ国のチンソウにては…どうやら異形の者達の襲撃の第一波を凌ぎきったようです。 ―――と、そんなところへ…
「(なんとも―――惨いモノだな…ここまでしなくても。)」
『禽』のリーダー格である『
「(どうやらあいつはまだ見えていないようだな。 ま、一安心というか―――何しろあいつが…『
『禽』のリーダー格『
―――――と、そうこうしている間にも襲撃の第二波が寄せてきたようです。
「(仕方がない、あいつが出たところを捕らえるか…それに連中を相手に廻すような
こうしてナオミはその場から姿を一時的に眩ませたのです。
そしてこの後―――自警団がこの場へと到着、異形の略奪者達との戦端が開かれました。
「何をやっている―――7番隊、11番隊、左翼に展開!(くそぉ…思ったよりも手強い) 各隊被害を報告!すぐにお
「へへぇ~~ンだ☆ あんたらみたいな化けモンがえらッそ~~にのさばってんじゃあないよっ☆」
「(そこへ行くとマキの奴は相も変わらず…と、言ったところか―――)今の処あいつの13番隊だけが互角以上に渡り合えているみたいだな。(それにしても―――強い、さすがにアタイら人間と身体の構造からして違うからか…それに気の所為か、統率された軍隊のような…)まさか―――そんなことがあるはずが…」
結論だけを申し述べるならば、まさにこの時抱いたヒヅメの危惧の通りだったのですが―――戦場で、それも戦闘の
ドビーの放った矢がヒヅメの左の肩口を貫き――――いや、しかしこの血の
更に間の悪いことには――――
「やほー--☆こっちの方は粗方片付いたよ~ヒヅメちゃ…ヒ、ヒヅメちゃん!?どうしたの…か、肩から血が―――血が――――!」
「あ、あぁ…っ、マ、マキか…だ、大丈夫アタイならこんな時の対処は心得ているから…。」
「そ―――それに…ヒロさんも、ユキさんも…ヤザレさんも…皆―――皆―――! 誰…誰だよ……こんなこと―――」
――――シタノ
「あ、ああ…皆には、申し訳ないことを……は―――はぁあっ?! マ…マキ、お前!」
「なに? ヒヅメちゃん…アタシが―――」
――――ドウカシタ
この時その場に現れたのは、自分の持ち場の敵を粗方掃討し終えたマキだったのです。
―――が、しかし…彼女がヒヅメの重傷――――果ては近辺の同僚達の変わり果てた姿を見てしまったときに、何かが変わろうとしていたのです。
そしてヒヅメがマキを再度見た時にはもう――――普段ふざけあっていた彼女はおらず、代わりに“狂気”をその瞳に宿した者がそこにいたのです。
そして襲撃側である異形の略奪者側の陣営のそこかしこで悲鳴の上がる声が…それに対処するためにカ・ルマ国の一兵卒達が現場に駆けつけてみれば、降りかかる返り血も気にもしないで血塗られた武器を振りかざす“狂気の沙汰”が…
「なにモンだぁ~おみゃーは!」
「うるっさいよ…あんたら―――よくもよくもアタシの仲の好い人達を殺っちゃってくれて―――覚悟できてんの? まあいいや…そいやぁさぁ、あんたら―――『
『
では―――その行為を虫や小動物にではなく、人間や異形の者に適用したとしたなら―――?
その残虐性は説明をしないほうが、善きと言ったところでしょう。
もう―――息も絶え絶えといったところの異形の者に、情け容赦なく刃を突き立て、臓物を抉り取る『
そして『
「誰―――? アタシに気取られる事なく背後を取るなんて――――…」
「マキ、もういい、もういいんだ…そいつはもう事切れてる。」
「事切れてる―――? フフッ冗談だろ?『
「止めろ――――止めないかと言っている!」
「どうしてさ…ガキは戯れに虫を踏み潰すもんなんだろ、それのどこが悪いって?」
「どうやら…一度痛い目を見ないと分からないようだな。」
「あんたが?今のアタシを?? 面白いじゃない…
『
それから数分後―――
「(はぁっ―――はぁっ―――)全く…手間をかけさせてくれる。」
どうやら激闘を制したのはナオミだったようです。 そして気絶させたマキを小脇に抱え何処かへ去ったのです。
それからまた暫らく経った後、今度はクーナ軍が救援に駆けつけたようです。
「ヒヅメ、大丈夫か!」
「あ…お、お
「ナニを言っている? これはお前がやったのではないのか。」
或る者は目玉を―――或る者は肺腑を―――また或る者は臓物の総てを抉り取られ――――ですがある一つの事項については総てにおいて共通していたのです。
それは―――『全員槍で串刺しにされたまま』だ、という事。
しかも―――
「えっ?マキの…行方が知れない?」
「うむ、それがどうやらあの子がいた地点に彼女が愛用していたコレが落ちていたらしくてな。」
「これは―――…(あいつの、小剣…)」
あの時―――眼の色が変わり自分を気絶させた張本人が、次に気が付いたときには
* * * * * * * * * *
その一方こちらでは――――
「あいッ…ちちち~☆ もー--ナオさん本気で殴んだもんなぁ~。」
「ハハ悪い悪い、でもお前がああなったらユミエの奴でしか止められやしなかったろ? アタシでも精一杯だったんだぞ?お前を殺さずにおくの…」
「ま、まぁ~~それは感謝しますよ。 アタシ、あの人だけは苦手なんだよなぁ~~★」
「(まあそれは、ユミエの奴がマキの抑止力でもあるからな。)それより――― 活動のほうはどうなってる?」
「おおッと、それよそれ、ばっちぐ~☆ですだよ。 まぁここんとこは略奪撃退とかで忙しかったんだけどね~~ニャは☆」
「そうか―――よし。 じゃあ、これから次に行くぞ。」
「ほぇ?どこに―――」
「決まってるだろ、『ハイネスブルグ』へだよ。」
「あそこ~? あそこ途中に薄気味悪い森があるんだよね~~★」
「ああ知ってるよ。 だけど今回はそっちには廻らない、少しだが遠回りのルートを取る。」
「え?フンとに? やたー☆ あたしゃ『あの森抜けるぞぅ』ときたらどしよっかと思ったダニよ☆ いゃあ~~一安心、一安心☆」
「全く―――調子のいい奴だなお前は。」
今回クーナ国では『禽』の一員である『
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
その国は―――7つある列強のうちで、最も強力な軍隊を有する国。
だがしかし、この国がガルバディア大陸の中心になり得なかったのは、なぜか…
その理由の一つとしてはこの国が興された経緯にもあるといいます。
では、その経緯とは―――
この国が興された5,000年前より以前、既にガルバディア大陸の中心を担っていたフ国…そのフ国の王家より分かち―――そこから独立した……
そしてその分家筋の者は、この地方の豪族の娘を
『ヴェルノア公国』
そう、この国とフ国とは、その源流を
ですが―――その道は平坦ではなく、いわば仲違いをしていた時期もあったのです。
それはいつの頃か―――それは、今より三代前の王の頃より…
そして今、現在より先代―――カディヴア=ヴェルノアの治世の頃、それは一層色濃く顕われたのです。
この王は気性も激しく、唯我独尊的な人物でありその野心もまた人一倍だった。 つまりはフ国に成り代わり、自分と自国がこの大陸の盟主たらん事を慾していたのです。
――――が…それは謀反たらん事よと、実の娘である『公主』から
―――ですが、しかし…
そう、この事は決して他国に漏れてはいけない事、一国の元首の交代劇がこんなにも強引に行われていいはずもなく―――ですが、周囲には『先代の王は病床に就いており、公主が代わって摂政となり政治を鑑ている』と吹聴したのです。
そして今―――― この国に一石を投じようとしている者が……
「よし、では明日の正午までに布令を出しておくように―――以上!」
「あの、公主様。」
「うん? なんじゃ。」
「――――は、実は…(ごにょ、ごにょ)」
「なんと?『関所破り』じゃと申すのか、して…その者は今どこへ。」
「こちらにてすでに確保してあります。」
午前中の会議の終了の後に、公主の耳に入ってきた不届きな事案…『関所破り』。
国に出入りする際に武器の横流しやその国ならではの特産物(塩とか米とか)の流出を防ぐ―――そう言った事の水際の防止策でもあり、関税をかけることで国の財源を確保する政策の一つであり、またそれが内乱の勃発の抑制や影ながらの他国からの侵入を防ぐ効果も持ち合わせていたのです。 それであるが故に関所を破る事がいかに重罪か―――だから公主はかの犯罪を起こした実行犯の首実検に立ち会うべく、その者が捕らえられている部屋まで出向いてきたのです。
「この者か…犯罪人は。 ……なんじゃその眼は、気に喰わぬな。 ナゼに妾をそのように睨みつけるか、かの罪を犯したるはそのほうであろうが! えぇい!気に喰わぬ…この者を牢にブチ込んでおけい!」
その時そこに組み伏せられていたのは、見るからに風体の怪しい者―――“旅人”でもなく
それにしても…公主は、自分自身が持つ『エメラルド・グリーン』と『ピジョン・ブラッド』の瞳で、その者にナニを垣間見たのでしょうか―――
* * * * * * * * * *
しかしそれから奇妙な事は続くもので、あれから数時間後―――よく見ると城内の地下牢に
「これ―――中の罪人はいかがしておるか。」
「あっ!? こっ…これは公主様、どっ…どうされたんですか?一人の供もつけずに。」
「そのようなこと…何もお主が心配する事ではなかろう。 妾は、中の罪人がどうしておるか…聞いておるのじゃ。」
「は―――はぁ…それが、静かに処刑の刻を待っているとしか~~それにですよ? こちらの出す食事にも手を出さないってな有様でして…」
「そうか―――(フッ、さすがに相も変わらずと言った処ね…)」
「はい? あの…公主様?今、何か―――…」
「いや、なんでもない、単なる独り言じゃよ、気にするではない。 それよりよく分かった、妾はこれよりかの者と会う事にするから、お主は少し休憩でも取っておれ。」
「えっ?でも―――いや、しかし…」
「妾の、命が聞けぬ―――と、申すのか。」
「あ゛っ、いっ、いえ……分かりました。」
「(フフ…)ああ、そうそう…牢獄の鍵は置いておくがよい、妾が代わりに預かっておこう。」
「えっ? は、はぁ…」
なんと―――彼の容疑者を監視する獄吏の前に現れたのは、他でもない公主自身だったのです。 しかも奇妙な事に、彼女は
ナゼ―――― どうして…?
そんな疑問も定まらないまま―――この獄吏は牢獄の鍵を公主に手渡し、その場を去った…いや、去るしかなかったのです。
そして―――公主と容疑者が対峙した時…実に目を疑うような光景を目の当たりにしようとは。
厳重に施錠された牢獄の扉を開けると―――そこにいたのは、公主が来るのを待ち構えていた容疑者が…すると―――?
「お待ちしておりました。 しかしあなたほどの方が捕らえられてくるなど…私は何かの冗談かと思いました。 副長『
「いいのよ―――別に、それにあなたに手早く接触するのはこうした方がはやいでしょう? 『
そう…誰あろう『ヴェルノア公国の公主』の姿を模していた者こそ『禽』の一員…二年ほど前からヴェルノア公国に潜入し、理由あって公主に成り済ましていた―――『
「(ルリ=オクタ=ガートランド;21歳;女性;その容姿を自在に変えられることから『物真似士』の異名をとる。)
それでは早くここから出ましょう。 こちらにこの国の女官の服がございますから着替えて下さい。」
「分かったわ―――」
そして『
「(ふぅ…)それにしても少し焦りましたよ、あなたが関所を破るなど…」
「……。」
「あの、副長? ああ―――ここなら大丈夫です、公主本人のプライベートな空間ですので完全な防音対策を施されていまして多少騒いだくらいでは分かりません。」
「そう、それならいいわ。 それよりも―――ねぇ、いつまで
「ああ、これは失礼しました………これでいかがですか?」
「ふふ…それそれ、これでようやく仲間として話すことができるわ。」
そう…ここは公主本人のプライベートな空間、それゆえに声を大にしても多少では漏れないような処置がなされていたのです。
それを知ったことでユミエもひと心地つき、自分達の本来の関係に戻ろうとしたのですが―――ユミエが指摘したように未だルリは『公主』の姿容を模しており、そのことに気付かされたルリは片手で顔をなぞっただけで元の姿――――赤紫の頭髪にスカイ・ブルーの瞳――――に、戻ったようです。
「ところで副長―――お見かけしたところ…あなた一人のようですが?」
「ええそうよ、『
「お頭が―――?! しかし、“北”といいますと…カ・ルマの『
「心配、ですね―――」 「どういう事?」
「はい、実は―――私は公主に成り済ましているので、各列強からの情勢が手に取るように分かるのです。 が―――かのカ・ルマのなしようは…ここのところ目に余るものがあります。 そしてその影で暗躍している、ある者の噂も…」
「ちょっと―――あなた、仲間を疑っているの?」
「そうは言いますが―――その、陰で暗躍している者の特徴…灰褐色の髪と言い、灰色の瞳と言い、顔半分を黒く薄い布で覆っていることと言い―――『
「もう、よしましょう…」 「えっ―――?」
「成る程、確かに私もシホの総てを信じているわけではないわ。 でも今は仲間を疑うべきではない、それは諜報を生業としている者にとっては最も忌むべき事よ。」
ルリは…公主に成りすましている者は、かの元凶の国カ・ルマに潜伏している者の危険性を説いたのです。
なぜならば、『
でも、『禽』の副長『
それに今回は、そんな精細性のない事で言い争っている意味などない―――それに脚力に自信のある2人がなぜこの任に抜擢されたのか…この時代に於ける主な通信手段とは『手紙』でしたが、これではいくら足の速い馬を使っても1週間もかかってしまう―――おまけに隠棲をしている者がいきなり列強の一国の公主宛てに文を送るなどと…あらぬ勘違いも生じさせないためにも取られた手段でもあったのです。(しかも今回ユミエが敢えて捕まったというのは移動時間を短縮するため)
「(ふ、う…)まあいいわ、ところで―――あなたも分かっている事だろうと思うんだけど…」
「(…)残念ですが―――それはできません。」
「そう、やっぱりね。 あなたが私と一緒に行っちゃう…と、言うことは―――」
「ヴェルノア公国に公主不在―――が、他の列強に知れ渡ると言う事ですからね。 事実この国は彼女一人で保っているようなものですから…」
「それに―――7つある列強の中でも一番に軍事力を誇る大国の…しかもその要であり舵取り役の本人がいなかったともなれば、ヴェルノアという一枚岩にひびが入り…」
「立ち処に瓦解―――そして割譲ですか。」
そして本来の目的でもある『各列強に散っている同志達を集める』に移るのですが…今までを見ての通りルリは公主に成り済ましており、ヴェルノア公国の家臣をしてもその目は
でも…今回の任を実行し―――ルリが…ヴェルノア公国公主の姿をした者がいなくなれば? それは推して知るべしてあったことでしょう。
「あぁ~あ、またダメか…」 「申し訳ございません…私もこうなっていなければ―――」
「それは言わないで。 あなたが公主の姿をしている…それだけで各国の『
「これね。 確かに預かったわ、あなたが公主の姿で苦心をして集めた
こうしてユミエは公主の姿をしているルリに別れを告げ、ヴェルノア公国首都アルルハイムにあるアルルハイム城(別称:『
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます