第16話 悪夢が過ぎ

「私…この家で住めないかも。」

リビングのソファーで、死んだ目をしながら花音は呟いた。昨日は一睡も出来ずに布団に丸まっていたらしい。さすがに添い寝をするのはどちらも恥ずかしいのでしなかったが、添い寝で寝た方が安心できて、恐怖心がなくなっただろうか?一夜にして二度も襲われたらさすがに怖いだろう。俺が起きた時から動かずに、呟いている。そうとうこたえているのだろう。そんな花音に暖かいココアを入れて寄り添っているのだが、何も変わらない。

「もうそろそろ学校だけど、休むか?」

「…いや。行くよ。…一人で居るのも怖いし。」

そう言って花音は隣にあった鞄を持って、よろけながら玄関に向かった。

「あぁちょっと待って、肩でも貸すから。」

テーブルに置いてあるコップを台所に置き、急いで自分の部屋まで走り、鞄をとって後を追った。

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