今夜の宿は…


「マールズさん、ケイリー。ご馳走様でした。美味しかったです」

「ご馳走さまでした」

「店主、なかなか美味かったぞ」

 会計を済ませ、マールズたちに挨拶をする三人。

「喜んでもらえて何よりだよ!また来てくれな!」

「お待ちしております!」

「はい、また食べに来ます」

 出入り口まで見送りに出てきてくれた二人は、手を大きく振ってレイたちを見送った。


「あ、団長さん、さっきのご飯代。私たちの分払うわ」

 ペガサス亭を出てすぐ、レイはカインに食事代を払うと切り出す。

「助けたてもらった礼をしたいと言っただろう」

「でも、やっぱり悪いわよ」

 食事代を出すことを食い下がるレイ。

「だったら、食事代の代わりに、今度この街で祭りが行われる祭りに行かないか?レオン殿もぜひ」

「お祭り?」

「ああ。花まつりという祭りなんだが。セレイム王国の領地で育った花たちを集めて、家族や友人、恋人に送る伝統ある祭りだ。出店も少し出る。色とりどりの花に囲まれた街はとても綺麗なんだ」

「花まつり。……それは、ぜひ見てみたいわね」

 森で育ったレイは、植物には目がない。そんな彼女はカインの提案に素直に乗った。

「肉は出なさそうだな。俺はいい。レイだけ行って来い」

「そう?分かった」

「詳しいことは、また改めて伝える。レオン殿には、土産を持ってきますね」

「ええ」

「食い物で頼む」

「分かりました」

 食い意地の張っているレオンに、少し苦笑いのカインだ。

「そういえばレイ殿たちの宿泊する宿はあるのか?」

「今から探して、適当に空いているところに泊めてもらうわ。団長さんは?」

「俺は、城内に宿舎があるからそこでいつも休んでいる」

「そう。それじゃあ、私たちは宿を探すわ。ごちそうさまでした。美味しかったわ」

「ああ。美味かった」

「お気に召していただけたようで良かったです。ちなみに、ここをまっすぐ行くと宿舎街になっている。ゆっくり休んでくれ。本当に今日はありがとう」

「ええ。団長さんも」

 そうして三人は、その場で解散した。

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