第26話 ナナゴウヲタノム

「グギャァァァァァ!!!!」


その声はスラムの地を揺らし、空を震わせた。


断末魔に歌詞をつけるならこれだろうなと

カゲルは思った。


「終わったんすね…。解放されたんだ、、

ぐふぅ!、、、こんな日か、、くるなんて、、!!」


崩れ落ちるジン、そばでブラディがずれたハットを元に戻しながら言う。


「ああ、終わった…。だがジン…。これからが大変だぞ…。スラムを立て直すんだ…。」


「ハイ、、。でも俺にできるかな、、?」


「誰だって壊すのは簡単だ…。1番難しいのは

作ること、そしてそれを守ることさ…。

お前に出来るか…?」


鋭い視線の銃口をブラディはジンに突きつけ

た。


「おれ、、!!やりますよ、、!!街を建て直すんだ!!」


チーマーの目であったジンの網膜は剥がれ

その中から力強い領主の光が生まれた。


「ああ…その前に片付けねえとな…!!!」


ブラディは力無く横たわる竜と向き合う相棒の元へ向かった。


「相棒…。やったな…。トドメといこうや…。」


「そうだね、、。」


力を出し尽くし、疲弊した相棒を見たブラディは後始末はオレがと言わんばかりにトリガーをひいた。


ガチャン!


鉄の音がした。静かになった空間に音は

それだけだった。


「オ、、」


1号の声だった。


「オイ、、お前らに、、頼みがある、、

敵にこんなこというのは、、おかしい、

ダロウが、、、

7号だけは、、助けてやってくれねえか、、

。」


それは凶暴な竜の言葉とは思えないものだった。


「それはあり得ねえな…。子供でも竜は竜だ

デカくなりゃ人を食うし街を壊すだろ…。」


非情にブラディは釘を刺した。


「アイツハ、、人を殺してねえ、、やったのは全て俺達だ、、それに竜が全て消えたら、、

シャドウアースの、、バランスが崩れる、、

陰が薄まると陽が流れ込む、、!!

世界はなくなるぞ、、!」


竜は巧みな交渉を始めた。


「脅してるのか…?」


「ブラディ、、いいよ、、助けてあげよう、。」


「カゲル…。仕方ねえか…。」


ブラディは影の中に銃を放りしまった。


「ジン…!!竜は倒してやった…!!

交換条件としてチビ竜は俺がもらう…

いいな!!!」


ブラディが離れたジンに言葉を投げる。


「ブラディさんが言うなら従います!」


交渉は成立したようだった。


「ス、、スマネエな、、、。7号は、、

俺と始祖の竜ディアボロの子だ、、、。

お前らの手で、、愛して、、やって、、」


竜はスラムの風に攫われた。














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