赤切符?じゃ僕たち庶民は自転車捨てます
らんた
赤切符?じゃ僕たち庶民は自転車捨てます
自転車に赤切符……だと?
赤切符。それは刑事罰以上の罰金刑を食らう人生終了の合図だ。
なんと歩道を走っただけで赤切符と来たもんだ。しかし車道に出ることは事故に遭うことを意味していた。
そして日本国民のかなりがこう思った。
――そうだ、自転車捨てよう
自転車通勤の者は原付に替えた。
とそんな時中国から驚愕する商品が出た。
超小型EV。電動アシスト自転車の約4倍の価格。それでいてパーク&ライドが出来るほどの小さな車である。1人乗りであった。ハッチバックなので荷物スペースは意外にも確保されていた。当然でこれは配達用の商用車にも転用できるのだ。日本車は超小型EVを2人乗りにしたため極端に窮屈であった。ここでも日本は負けてしまった。そう、1人乗りなら小型セダンとほぼ同等の空間が確保されるのだ。椅子を削減した分価格の割には腰痛も出にくいシートで上質であった。電動パーキングは使わずハンドブレーキであったが特段不便は感じない。雨にもぬれず当然エアコン完備。自転車が勝つ要素は価格だけだったのだ。その価格も赤切符というリスクを考えたらコスパに合わなくなったのだ。
ガソリン代を考えたら素晴らしくお得なのが超小型EVなのである。なぜこんな価格帯が実現したのか。答えはリチウムイオン電池をカルシウムイオン電池に替えたからだ。リチウムはレアメタルだがカルシウムはどこにでもある物質である。EVのかなりは電池代が占めるのだ。電池を制する者はEVを制する。
「これなら自転車要らない」
またある者は原付免許に区分される電動スケーターに替える者も居た。空前の原付ブームとなった。さすがに「原付」は車だとドライバーは認識してくれる。原付って原動機付「自転車」なのにね。
また自転車を捨てて徒歩生活に戻った者も多い。
「ウオーキングは健康にいいですよ」
特に低所得者はリスクも考案して自転車すら捨てて徒歩になった。中3以下は原則徒歩生活となった。
「あんた! 自転車乗ったら赤切符食らって入試がダメになるのよ!」
この言葉は教育ママの合言葉となった。刑事罰を食らわない14歳未満でも罰金刑に相当する児童には保護観察処分が待っていた。こうして少年・少女の間でも「自転車=怖い」という図式が成り立った。
我が国の自転車置き場は立体型の超小型モビリティー駐車場に姿を変えた。超小型モビリティーは原付の上位互換。自転車で赤切符を食らうのが嫌な人は原付に。その原付も電動原付だ。自転車メーカーは電動アシスト自転車から電動原付へと商売を大きくシフトしたのだ。
そして日本車がまたしても駆逐される瞬間であった。中国製EVは完ぺきだった。無駄なものは徹底的に省いて必要最小限なものだけ完備。
通勤時にプラグを差し込むだけで帰宅時には充電完了。なるほど。自転車が要らない。ごく少数のスポーツ自転車乗りを除いて。
こうして馬鹿な政策のせいで日本国政府は自分で自動車産業というものにまでとどめを刺したのだ。
電力需要? そうなのだ。だから家に太陽光を設置するのだ。その太陽光パネルも大半が中国製。日本は恒常的に大幅な貿易赤字国家に落ちた。
ざまぁ
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