ドネツク爆撃に寄せて

叢に鳴く虫が秋の訪れを告げる夜、私は恋人を失った。冷たい沼地で戦車に踏み潰されて。

新年を迎えたばかりの今日、私は家を失った。沢山の思い出が詰まった街ごとミサイルで吹き飛ばされて。

パパもママも、産まれたばかりの子猫も、生きてるのかすらわからない。


寒さに凍えて薪を拾う子供達の群れに容赦なく迫撃砲が撃ち込まれる。焼け焦げちぎれて飛び散る人体だったもの。

無数の屍を踏み越えた先、彼らが手にするものは、一体何だろう?


バラバラに壊れた世界のパーツ。喪われたピースは二度と戻らない。

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