言の葉のかけら
歌川ピロシキ
単語登録
「またね」
いつもそういってイタズラっぽく笑う彼が、その日に限って違っていた。
「じゃあね」
別れ際の言葉を思い出したのは、翌日彼の遺体が見つかってから。
私に下されるはずだった困難な任務を達成したは良いが、生還はかなわなかったのだと知らされたのは葬儀がおわってから。
その日、泣くこともすがることもできなかった私の辞書に、新しい単語が登録された。
何もかも手遅れで、今さら誰もどうしようもないというのに……
それでも、何をどうすればこんなことにならずに済んだのかと事あるごとに考えずにはいられない。
もしも時間を戻せるなら、どんなことでもしてみせるのに、と暇さえあれば思わずにいられない。
そんな苦い想いを「後悔」と呼ぶ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます