第197話 売店巡り
王立学園を
形状としては、ちょうど『山』の字のように、中央だけが北向きに長めになっている感じだろうか。
先ほどまでいた食堂は東棟にあり、そのすぐ横の中央棟に売店は位置していた。
ちなみに、横列に食堂・売店・室内演習場と並んでいるその北側には、1年から3年の教室がある。食堂側が3年の教室で、順に2年、1年と続く形だ。
「へー、普通に紙とか売ってるのか」
売店へと入ってすぐに目についたのは、ヨンキーファでは商業ギルドの書類でしか見なかった、獣皮紙ではない普通の紙が売られていることだった。
大きさはちょうど『大学ノート』ぐらいだろうか。あるいは『週刊漫画雑誌』ぐらいと言い換えてもいいか。
「うっ……値段やばいな、これ」
しかしそのお値段は──50枚で
1枚あたり
そりゃ、取り寄せた本が
そのすぐ横には、先ほど学生証として寮の鍵に貼り付けたような、熱でくっつく紙というのが売られていた。
前世におけるシールのようなものとして用いられる他、誤記した箇所の上に貼り付けることにより、
他にも、前世における文房具に近しいものが売られている。
あと、定規とかコンパスとか分度器とか、妙に
万年筆やガラスペンといった、前世の知識が関与してそうな文具が無いのに、なぜか
一応、こちらの一般的な筆記具としては、黒鉛を獣皮紙で巻いたものが市販されている。お値段は
ただ、硬度を保つためか若干太めで持ちにくく、書きにくいのが難点だ。
流石に、細くした芯の周りを木材で覆う形状をした前世のそれは、
……後で、市販品を分解して作ってみるか? 【空間切削】で木材と黒鉛を削り出せば、案外綺麗に作れるかもしれない。
あと、貴族用に洒落た装飾のされた付け
付け
書くたびに
さらには、服が汚れないように
……授業中にあれ付けるの?
◇◆◇
文具店をひと回りしたところで、次の店へ向かう。
本屋がその隣にあるものの、今回は後ろ髪を引かれつつ、素通りだ。
教科書なども売られているようだけど、まだ何を受講することになるか決まってないので、そちらについても後回しになるだろう。
それ以外の本を見て回るにしても、絶対に時間がかかるから、今度1人で来ることにしよう。
その隣はと言えば、衣類関係を取り扱う店のようだ。
吸湿性の高そうな運動着や、簡単な着替えのための下着、室内演習場用の
補修用の生地や
また、学生服が破れて補修が必要な場合や、成長による
あと、寮には依頼をすると洗濯してくれる
基本的には、大袋に入れて指定の場所へ朝のうちに出しておくと、夕方には綺麗な状態で戻されるようになっている。
ただし、ダンジョン探索とかで使われる鎧とかの洗浄は、値段の査定も含めて状態を確認する必要があるらしく、この窓口まで持ち込んでほしいとのこと。
まあ、俺の場合は【
ちなみに、装備の修理や
「さて、売店はひと通り見たから、次はダンジョンの入口を確認しておこうか」
「そうね、冒険者ギルドの支部もあるって言ってたかしら」
そうなんだよなぁ……ギルドが中にあるって知っていたら本当、話は違ってたのになぁ。
まあ、
◇◆◇
さて、気を取り直して校舎を北に進んでいくと、1〜3年の教室が横並びとなっているところを抜けて、中央棟だけになる。
ちょうど『山』の字の左右が無くなって、中央だけが残った辺りだ。
この左右の空いた場所が、入学試験の際に『前衛』と『後衛』の試験を行った会場である、『第1運動場』と『第2運動場』になっている。
では中央棟には何があるかといえば、更衣室と
貴族の子女もいるということで、全員教室で着替えろ、とはならないのだろう。
それに、戦闘訓練の後やダンジョン探索後など、流石に汚れたり汗ばんだまま着替えたくないし、貴族としても無理ということだと思われる。
……まあ、前世の中学や高校で学校にシャワーなんて付いてなかったから、お湯を浴びられるというだけでも随分と
なお、更衣室の上の階層である2階と3階は、4〜6年生向けの研究室や教室といったものが並んでいるとのこと。
3年修了時に9割近くが卒業してしまうので、この中央棟だけでも収まる人数なのだろう。
さて、ここからさらに北に向かったところが、昨年から冒険者ギルドの管轄となった区域になるようだ。
「通路を挟んで左側が冒険者ギルド、右側が消耗品の販売や武器防具の修理受付みたいね」
頭上に看板が出ており、リナが読み上げた通りの内容が記載されていた。
一般にダンジョンの入口は、入退場を管理する都合から冒険者ギルドに組み込まれる
しかしそうなると、左側は第2運動場があったはずだから、ダンジョンは第2運動場の地下ということになるのだろうか。
「一応、外の冒険者証がそのまま使えるのか確認してみようか」
「そうね。流石に
「うん!
ルーデミリュは
まあ、貴族令嬢に荷物持ちをさせていたとは思えないから、ダンジョン内で好き勝手に動いていただろうことは予想できるけど。
おっと、そういえば。
2国間の冒険者ランクの
ナディーヌさんに軽く聞いたっきりで、その後を追ってなかった。
……まあ、その辺りも窓口で聞いてみればいいか。せっかくだし。
ご丁寧にも、街にあったのと同様の
単位制への変更により、今日は2年〜3年も年度始めの
ただ、俺たちと同様に施設見学に来ている新1年生がちらほらといるようで、中には
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