第139話 配布順と取説と
ウェスヘイム邸を後にした俺は、貴族街から大通りに出た途中で降ろしてもらって冒険者ギルドに寄り、
先週まではリナやクララの護衛をした関連で、俺たちにも何か付き纏われると困るので、しばらく
恐らくはまたフィファウデに潜っているのだろうか? 一旦は連絡待ちだな。
そんなこんなで、拠点まで戻ってきたわけだけど。
周辺教会への対応と派兵については子爵へお任せすることとして、俺は他の準備を進めることにしようか。
まあ、
ちなみに、商業ギルドの
すると、返ってきた答えは『最初にこの街に来た日から』だった。
「我々はずっと勇者の生まれ変わりを探していたのだよ。それゆえ、
……そういや、そんなことを学園長が言ってたな。あっちは聖騎士やら剣聖やらもだそうだけど。
あと、俺がクララを訪ねた際に聖白銀教会で魔力操作を教わるまで、身体強化をかけまくってたり見る人が見ればMPの多さがすぐに分かる状態だって指摘されたんだったな。
……ま、最初からそんなの気付く方が無理だっていうね。
異世界転生は小説では何度も体験してきたけど、実戦は今回が初めてなもんでね。
果たして捧げたのは
あ、ということは捧げたのは(文章はここで途切れている)
◇◆◇
さて、拠点に戻ってきたところで『
▼女神像配布
★女神像作成
★聖白銀教会の一覧入手
★教会の位置確認
・取扱説明書の作成
・配布方法の検討
教会の一覧を入手したところ、簡易地図までついてきたので、残りは『取扱説明書』と『配布方法』だろうか。
先に後者についてだけど、方針としては『主要な都市にある教会』を最初の優先配布先として考えている。
まあ、教会の現場はダンジョン街だろうけど、その統括や本部があるのは周辺にある都市部の方だろうなってことでね。
ダンジョンは元から
ちょうど、キファイブン伯爵が元々治めていた時のヨンキーファとフィファウデの関係性がそれに当たるだろうか。
もちろん、古くからの都市であり、有数のダンジョン街でもある場所もあるだろうけど。
そういや、キファイブン伯爵はフィファウデを主に治めることになったので、今後は領都も兼ねることになり、一時期はヨンキーファの貴族街とフィファウデの第3層とでお引っ越しの馬車が絶えなかったようだ。
話を戻すと、そういったダンジョン街の周辺にある都市部に地域の教会の本部が置かれることも多いようだ。
そのため、本部の方に優先して出しておけば、その使い方やら何やら検討するのが早まると踏んでいる。
恐らく現場に重要なものが発見されたとしても『私が行くまで手を出すんじゃないぞ! いいな!』……なんてお偉いさんがしゃしゃり出てきて、現場の手が止まるのが常だからな。俺は詳しいんだ。
聖白銀教会に、そんな頭髪の薄そうな管理職のおっさんがいるかは定かじゃないけど。そもそも、
さて、次の優先はダンジョン街かな。一応、王国が存在を認識していて管理されているダンジョンは、100カ所程度だそうな。
……もちろん、それにアジトダンジョンは含まれていない。他に似たような例がないのかは、若干心配にはなる。
さておき、まずは主要都市を100カ所と、ダンジョン街100カ所に
場所の選定については、出来ればラビット氏に協力してもらって、この世界での各地方の領都や有名な都市を
出来れば貴族に詳しいリナも加わって欲しいところだけど、実際に配るのが俺だとは明言してるわけではないからな……。
……いや、まあ今更か。
地図を手に入れていたことも、女神像を所持していることも、遠隔地へと移動できることもバレてるんだし。
もし黙っていたところで、配られた翌日には誰がやったのか既に分かってて問い詰めたりしてくる絵が目に浮かぶもの。
ひと段落はしたって話だから、ラビット氏とスケさんが揃い次第で声をかけることにしようか。
選定が済んだら、一度場所の下見をしておかないといけないだろうな。
当然ながら、配布範囲全体は5日の距離を大きく上回っているので、まずは巡礼帳に沿って8つの区画の中央付近に【ダンジョン化】の魔道具を置いた拠点を作っておく必要があるだろう。
まずはそこに飛んだ上で、範囲内の教会に配っていくという段取りなわけだ。
ただし、この配布が数日に渡って配られることになるので、一点だけ大きな懸念がある。
それは、重複して配布してしまわないかどうか、だ。
恐らく900近い教会に5分刻みで回っていくことになるわけで、既に配った場所かどうかなんて記憶に残っているとは思えない。
となると、重複して送ったことにも気付けない可能性があるわけで。
まあ、これについては『気を付ける』ぐらいしか
幸いにも、簡易図ではあるものの地図があるので、あとは届け終わった場所へ忘れずに記載を行うことさえ気をつければ、重複は防げるだろうか。
あとは、置く場所を体育館の説教を行う祭壇辺りに決めておくことぐらいかな。
そうすれば、その日に既に配達済みのところを再度回るようなことがあっても、気付きやすくはなるだろうし。
『配布方法』についての検討は今のところこんなものかな。残る部分は人が集まってからだろう。
さて、もう1つの『取扱説明書』だけど、こっちもこっちで作業はそれなりにあるんだよな……。
▽取扱説明書
-文面の作成
-
-量産
まずは『文面の作成』なんだけど……これもこれでややこしいんだよな。
時間がかかることとか、終了時のこととか。あと、子爵にやった時に思ったけど無防備になるので貴族や王族に対しては特に警備体制とかも問題になる。
まあ、この辺りは適当に思いつくまま列挙して、項目ごとにまとめることにしようか。
あんまり長くはしたくないけど、色々と書いておいた方が聖白銀教会のお偉いさんの検討や判断も早まるだろうしね。
早いところ冒険者まで届くように手配して欲しいところだし、事務作業については手早く済ませて欲しいところだから。
『基盤の試作』だけど……これはある意味で『量産』にも関係してくるかな。
当初は印刷する想定だったけど、考えてみたら別に材質は紙である必要がなくて。
薄い木の板の表面を黒い塗料で塗って、文字以外の部分を削ればいいんじゃね? って思ったわけですよ。
その方式なら、俺のスキルの範囲で『
あ、そうか。考えてみたら、別に取説ってそんなに大きくなくてもいいんじゃないか?
1つあたりは手のひら
そいつを本来の手のひら寸法に
あれ、もしかしてここに天才がおるな?
ちょっと量産のために上級MPポーション逆流大会が開催されかかっていたけど、こいつは案外なんとかなりそうな予感がしてきたな。
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