第2話 02

「ご、ごめんなさい。でも──」


俺、駒なんて嫌だよ。誰か知らないやつにダイスを振られて、もしそいつが無能だったらと思うとお先まっ暗じゃないか。


『そう心配しなくて良い。外国っぽいところだが超能力を使い、思う通りに生きてくれれば良いだけだ』


「超能力は大好きです、スプーンを曲げて念写もできるの? あとテレポーテーションも……」


『ああ、できるとも。念じるだけで手軽にな!』


 それ、本当かよ。

 神様が「もう行きなさい」という雰囲気をかもしだしたけど、


「あの、なんのゲームかだけでも聞かせてくださいよ!」


 そのとき神様の方も仏頂面を見せた。

 なぜだ、何か不都合でもあるのか。


 必死に食い下がってみた。ゲームならルールがあるはずだ。

 ただ、どういうルールなのかを知りたかったから。


『やっぱり気になるか?』


「ルールが気になるんですよ、そこは普通のことじゃないですか」


 それを聞かずに行く人間がこの世にいますか。

 どういう神経をしているんだ。

 しっかりと説明責任を果たして欲しいものだ。


『私はの神様なのだが……』


「か、神様も中学二年なの!? おじさんの紙芝居を見にきたのですか?

 (子供か。座敷わらしかな。雲の上に神様の学校でもあるのかな)

 せっかくだから水飴せんべいでも食べて行けばどうですか?

 それともカタヌキにしますか? 二十円ぐらいなら出してあげますよ」


 ああ、神様に出会えるのならなぞなぞの答えを聞けばよかったかな。

 ふしぎと家族や学校のことなどが心残りではなくなっていくのだ。


 紙芝居の謎は解けた試しがなかったからな。

 小学生相手の商売だというのにな。


 『ゲームが好きでたまらんのだ。だから作る側になってヒット作を出したいのだ』


 ゲームが好き……。

 遊びたい年頃だ、お互い。

 気持ちは分かるけど。


「じゃあ、さっき言った「異世界」がゲーム盤で、俺はそこに放り込まれるのですか?」


『そうなるの。だが箱庭のような小さな世界の連なりだから、果てしなく広がるわけではないので難しく捉えなくても良い』


 ……だ、そうだ。

 神様の世界にも、おもちゃ屋や、出版社や、アニメ会社があるのですかね。


『とある世界で神ゲームというものが流行していて、神界の繁栄のために神たちが皆、出稼ぎに行ってしまったのだ』


「で……出稼ぎって。ちょ、ちょっと──」


 貧乏神の世界からやって来たのかな、この方は。

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