街灯が僕を照らした。そうすると3つの方向に影ができて僕の身体にまとわりついた。同じ人間を写した影でも形は違うし明るさも違う。同じ行動をしているはずなのに、不格好なものもあれば本物に近いものもある。その全てが僕から生まれたもので、僕もそれを受け入れている。家に帰ると影は薄くなり、形も朧気になった。僕はそれがいつも不安だから、電気を消して影に飲まれる。輪郭を失った影は蠢き、忙しない様子で部屋中を駈ける。やがて眠りにつくころに、僕の中に静かに戻って、一緒に眠るんだ。

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