alone boy


僕は体の真ん中にぽっかりと穴が空いている。いつからあるのかは分からない。


みんなは空いていないのにどうして僕だけ空いてるんだろう。それに、みんなにはこんなに目立つ大きな穴は見えないみたい。不思議


何をはめれば埋まるだろう。これからの生活が心配いらないくらいのお金?それしか見えなくなるほど夢中になれるもの?全てを話せる1番信頼出来る親友?愛する人からのめいっぱいの愛情?分からない。分からない。僕はなんにも持っていないから。


ある時僕は大好きな趣味が見つかった。毎日それに夢中で他のことなんてなんにもしなかった。自分の穴の存在さえ忘れちゃえた。でもしばらくすると、穴はここにあるよと語りかけてくるようにまた僕に強く知覚させた。


ある時僕はたくさんの友達が増えた。いつも一緒で笑顔が絶えない、最高の友達。一緒にいる時はとても幸せなのに、たまにどうしようもなく1人になりたい時がある。不思議だ。そしてやっぱり穴は埋まらない。


僕はお出かけするのが好きだ。1人でも友達とでも大好き。だけど最近はちょっぴり苦しい。周りの人達が幸せに見えれば見えるほど僕の穴は大きく、深くなっていくように感じる。僕はこんなにも幸せなのにどうして?


大きくなると恋人が欲しくなるものらしい。周りの人達も幸せそうに生きてる。でも僕にはどうも苦手だ。この穴のせいなのかな。


僕にできることは全部やった。けどこの穴は埋まらない。どこに行っても、何をやっても着いてくる。もうこんなもの、見たくもないのに。


鬱陶しい。鬱陶しい。鬱陶しい。鬱陶しい。鬱陶しい。鬱陶しい。鬱陶しい。鬱陶しい。鬱陶しい。鬱陶しい。鬱陶しい。鬱陶しい。

なんなんだよこれ。なんで僕にだけこんなものがあるんだ。


どうしようもなく泣いて涙が穴にポタッと垂れた。すると穴はとても好物のものを食べるかのように大きく広がった。


僕は泣き疲れて眠った。そうすると、穴も閉じた。僕は明日からも探し続けるだろう。穴とお別れするために。

      おしまい

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