Column3 「檄を飛ばす」の新しい意味
朝晩が涼しくなり、日中も過ごしやすい日々が続いてまいりました。秋と言えば、「食欲の秋」「読書の秋」「睡眠の秋」……など、何をやるにしても丁度良い時期ですが、そのなかに「スポーツの秋」もありますよね。
さて。
スポーツというと、選手を叱咤激励をするような場面もあるかと思います。そんなとき「
意味は「(あらっぽく)はげます」とか「奮起させるために叱咤激励する」というものなのですが、「檄を飛ばす」は元々この意味ではありませんでした。
*****
【檄を飛ばす】『明鏡国語辞典 第三版』
❶決起をうながすために、自分の主張を多くの人々に知らせる。檄す。
*****
上記の辞書の引用を見て分かる通り、叱咤激励の意味はなかったんですね。
「檄」には「自分の主張などを強く訴え、多くの人々に賛同や決起をうながす文書」(『明鏡国語辞典 第三版』より)という意味があり、それを「飛ばす」ということですから、「自分の主張を多くの人々に知らせる」ことを示しています。
しかし、近年「檄を飛ばす」が「激励する」「はげます」という意味として使われるようになってきたことから、少しずつ辞書でも容認されてきているようです。
私が確認した限りでは『明鏡国語辞典 第三版』『三省堂国語辞典 第八版』『精選版日本国語大辞典』『岩波国語辞典 第八版』『三省堂 現代新国語辞典 第六版』『大辞泉』では許容、もしくは新しい言葉として容認していました。
しかし『新明解国語辞典 第八版』『新選国語国語辞典 第十版』『大辞林4.0』では「本来は誤り」と慎重な態度が取られており、『旺文社国語辞典 第十一版』『旺文社 標準国語辞典 第八版』には新しい意味の掲載はなく、『学研 現代新国語辞典 改訂第六版』に至っては「誤り」と記してありました。
辞書によって、だいぶ見解が違う結果になったかなと思います。
ですが、ここまでバラつきがあるので、新しい意味として認めても良いと思う方は「檄を飛ばす」を「激励する」として使ってもよいでしょうし、元の意味を大事にしたい場合は「新しい使い方はしなくてよい」と私は考えます。
ちなみに「檄を飛ばす」を「激を飛ばす」とするのは誤りですので、使う際はご注意くださいませ。
皆さんは、「檄を飛ばす」は新しい用法で使うでしょうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます