Column2 モテる男子は「プレイボーイ」?

 ——人見知りで口下手だけど、優しくて、真面目で、かっこいいあいつは「プレイボーイ」だな。


 高校生が主人公のとある物語の中で、モテる男子に対し「プレイボーイだな」という言葉を使った一文があったので、それを元に上記のような文章を作ってみました。


「モテる男」=「プレイボーイ」という意味で使っていると思われますが、「人見知りで口下手だけど、優しくて、かっこいい」というのが「プレイボーイ」とそぐわないと思うのは私だけでしょうか。


「プレイボーイ」という言葉を調べてみると、次のような語釈が辞書には掲載されています。


*****

【プレイボーイ】『明鏡国語辞典 第三版』

 女性を次々に誘惑して遊びまわる男性。また、小粋な遊び人。

*****


 念のため、もう一冊の辞書を引いてみましょう。


*****

【プレイボーイ】『新選国語辞典 第十版』

 遊び好きの青年。女性を次々にもてあそぶ男。

*****


 さて。

 二冊の辞書の語釈からも分かるように、「プレイボーイ」とは遊び人です。

 しかし、冒頭にあげた例文の「あいつ」は、どうも遊び人のようには見えません。


 よって、例文で「プレイボーイ」を使わないで表現するなら、


 ——人見知りで口下手だけど、優しくて、真面目で、かっこいいあいつはやっぱりモテるな。


 としたほうが「遊び人」の雰囲気がなくなり、「実直なあいつ」がモテているという風に伝わるのかなと思います。


 逆に「プレイボーイ」という言葉を使うのであれば、


 ——先月紹介してもらった彼女と違うみたいなんだが……。あいつはやっぱりプレイボーイだ。


 というのが、しっくりくるかなと思います。


 ちなみに、「プレイボーイ」は英語の「playboy」から来ていますが、意味は英語とは異なります。


『ウィズダム英和辞典 第4版』で「playboy」を調べたところ、男女共用(←辞書によって女性は「play girl」としているものもあります)の言葉で「道楽者。(中略)日本語の女たらし的なプレイボーイとは異なり,自己の楽しみを追求できる金持ちをいう」とのこと。


 一応、『コウビルド英英辞典 第9版』も引いてみました。

 すると「You can refer to a rich man who spends most of his time enjoying himself as a play boy.」と書いてあります。

 つまり「ほとんどの時間を、遊び人として楽しむことに費やす金持ちの男性をプレイボーイという」ということなので、『ウィズダム英和辞典 第4版』の「自己の楽しみを追求できる金持ち」という意味と相違ないようです。


 そういえば、「プレイボーイ」という雑誌もありますよね。

 日本語の意味での「プレイボーイ」では小首を傾げたくなるようなタイトルですが、英語からきた「playboy」であれば問題なく受け入れられるタイトルかなと思います。


*ここで書いた「プレイボーイ」の情報は、辞書を元にしています。

 ネット情報の「プレイボーイ」は、辞書とは違う見解を示しており、出版物の名前にもなっていることから、会社によっても解釈がことなるようですので、別物とみてお考えください。

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