Column5 「適応」と「適用」の違い
——その場合は労災保険が適応される。
いきなりですが、問題です。上記の一文には、一つ間違いがあります。それはどこでしょうか?
……タイトルで言ってしまっているのでお気づきかと思いますが(笑)、「適応」が誤りです。正しくは「適用」を使います。
「適応」と「適用」は形も音もよく似ているので、二つを入れ替えても何ら問題ないと思うかもしれません。しかし実際は意味が全く違います。
どう違うのか、いつものように辞書を引き比べてみましょう。
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【適応】『明鏡国語辞典 第三版』
❶周囲の状況・条件などによく合うこと。また、よく合うように行動や考え方を変えること。
❷環境に応じて生物体の形態・機能・習性などが長い間に変化していくこと。また、その現象。
【適用】『明鏡国語辞典 第三版』
法律・規則・方法などを個々の事例に当てはめて用いること。
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念のため、もう一冊辞書を引いておきます。
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【適応】『三省堂国語辞典 第八版』
①まわりになじんで、うまくやっていくこと。
②[生]生物が外界にあうように変化すること。
③あてはまること。
④「適用」の誤り。
【適用】『三省堂国語辞典 第八版』
あるものをほかのものにあてはまめて<あつかう/考える>こと。
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このように語釈を並べてみると、はっきりと違いが分かりますね。
冒頭にあった例文で「適応」が不適切なのは、「法律などの事例に当てはめて用いる」に当てはまるものだから。この場合「適用」がふさわしいことは、語釈をお読みいただければ納得できるかと思います。
実はこの「適応」と「適用」、見た目などが似通っていることから、文章を書き慣れている人でも気づかないで使ってしまうことがあるくらい、誤って使いがちです。『三省堂国語辞典 第八版』の【適応】の④にも載っているので、混同しやすいのでしょう。
「適応」と「適用」を使うときは注意しないとですね。……と思っている私が、うっかりどこかでやらかしてそうですが(笑)
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