第14話 カラメルとデート~買い物編~

「うるせぇ! あ、でも今日は休みか」

 

 毎度毎度、起こしてくれるのにウザったいアラームを止め、何とか起きる。

 今日は休日だが、用事がある。カラメルと遊びに行くのだ。

 カラメルと遊ぶことは何度かあったし、前まではあまり気にしなかった。


「あれって、そういうことだよな……」


 ふと昨日のことを思い出す。俺は、カラメルと仲直りして関係もより親密になった。


「いや親友にキスはしないよな……そうだよな」

 などと、キモい独り言をブツブツ言いながら準備して、家を出た。




 俺が、集合場所の河原町に着いたのは1時間前だった。10時集合の予定なので、今現在は9時である。いくらなんでも、はりきりすぎている。

 その後、しばらく待っていると




「お待たせ! 待った?」

 カラメルは時間通り10時に来た。ワンピースを着たカラメルは、いつもより大人っぽく見える。ちなみに俺は、無難にパーカーだ。


「いやいや、今きたところ」

 と、イケメン男っぽく振る舞う。


「嘘ついてる時の顔してるよ、斗真?」

 親友かつ相棒には誤魔化せない。


「うるせぇ。なんかそわそわして早く来ちゃったんだよ」


「え~斗真めっちゃ可愛いじゃん! そんなに楽しみだったんだ……えへへ」

 可愛く笑うカラメルに思わずドキッとしてしまう。


「お、お前だって、普段そんな服着ないだろ。俺と同じパーカー族とTシャツ族だったじゃねぇか」


「それはその、ちょっとこういうのもいいかなって。どう?」


「いや、めっちゃいいと思うぞ」

 いつもと違って、とても大人っぽい。まぁ、素材がいいから何でもに合うと思うんだけど。


「ほんと―!? 良かった! じゃあ早速、買い物に行こー!」




 それから俺たちは、商店街に向かった。


「それで何買うんだ?」


「うーん具体的には決めてない。いい服かアクセサリーとかがあったらいいなって」


「女の子特有のウィンドウショッピングね」

 男は買い物を事前に決めるタイプ、女は見ながら決めるタイプが多い印象だ。


「えーいいじゃん! 見るだけでも楽しいよ?」


「そういうもんなのか?」


「斗真がよく漫画とかの新作を色々見ているのと同じだよ」


「あぁ、なるほど」

 そう言われるとしっくりくる。


「そういや遊ぶってことで、予算とかお金は大丈夫? 私は結構あるけど」


「俺もなんか知らんが、臨時収入が入ったから大丈夫だぞ」


 女の子と遊びに行くのを親に言ったら、なぜかまぁまぁの金額をくれた。これなら、毎日女の子と遊びたい。



「おっけ。あっ、このアクセサリーいいな」

 カラメルがそういって、入っていったのはアクセサリーショップだ。


「アクセサリーってこんな高いんだな」

 俺はつけないので、凄く高く感じてしまう。


「少し安いのもあるよ? 5000円ぐらいのものとか」


「5000円だと漫画10冊ぐらい変えるんだよなぁ」

 なお、5000円の趣味のものに躊躇はない模様。



「何かお探しですか?」

 と店員さんが話しかけてきた。


「いや、色々見てて……あ、そうだ! ペアで着けるアクセサリーないですか? 出来るだけ安いものがいいんですけど……」


「まさか、カラメル」


 ペアアクセサリーだと……?


「ペアでいいじゃん。なんか持ってる、だけでも良いし」



「ならこちらはどうですか? シンプルなブレスレットなので値段も5000円ぐらいですよ」 

 と、店員が持ってきたのはペアのブレスレットだった。


「私さ、斗真とペアの奴持ちたい。ダメ?」


「うーん、買えない値段じゃないしなぁ。まぁ記念だし、よし買うか」

 せっかくだし、と思い買うことにした。


「ありがとうございます。ではレジの方へどうぞ」

 

 と店員さんが丁寧に案内してくれる。そして俺にこそっと、


「いい彼氏さんですね」


 と言った。

 やっぱり俺とカラメルって、付き合ってるように見えるのだろうか?




 こうしてペアのブレスレットを買った俺ら。普段ファッションなどには無頓着な俺だが、こうして買ってみると良いなって思う。


「ごめん、なんか私のわがままみたいな感じになっちゃったね」


「気にしなくていいって。俺もこういうのいいと思ったし。それにさ、親友がそこまで言うならな」


 そこでカラメルは気づく。


「今までだったら、たぶんここまで言わなかっただろ?」

 

 今までなら、カラメルは“空気”を読んでいたかもしれない。

 でもカラメルも吹っ切れて、少しわがままになった。


「うん、ありがと」


 少しわがままになった親友は、間違いなく――



 魅力的でより一層可愛くなっている。






 その後も色々な店を見ながら商店街を歩いていると、


「あっ、斗真! 本屋寄っていい?」

 と本屋を見つけて、立ち止まった。


「いいけど……珍しいな」


「ほら、斗真に色々おすすめ教えてもらうって前話してたじゃん。大切な人の好きなことを私も知りたい」


「そっか、任せておけ」


 こうして俺たちはライトノベルのコーナーに来た。


「とりあえず、ライトノベルかな。巻数も漫画ほど出てないし」


 俺はどちらかと言うとラノベを買うことが多い。

 巻数があまり出てなくて揃えやすいし、ページ数も多くて楽しめるからだ。


「色々あるね。何がおすすめ?」


「これなんかどうだ? 先輩ヒロインが可愛くて……」


「へぇ、斗真は年上が好きなんだ。良かったね、生徒会に入れて。先輩もいてね?」

 

 出た、鬼の形相! 絶対零度の冷徹な目!


「いや、なら同級生ヒロインがいいか?」


「いいか、って何?」

 だから怖い、怖いって!


 それから、とりあえず異世界系のファンタジー作品と頭脳系作品をおすすめして、カラメルもこの2作品を買った。ラブコメは断念。


「とりあえず、斗真の色んな好きなものと言うか、癖が知れたなぁ」


「誤解だ。あくまで二次元の話だ」

 いや、それを三次元に求めてしまうのがオタクの悪い癖なのだが。


「じゃあさ、私の事どう思う?」


「それは、女の子、としてだよな?」

 心では分かっていても、聞いてしまう。




「うん。私はさ、斗真のことが大好きだよ」


 デートはまだまだ続く……

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