【第一部】第三十一章 稲姫と琥珀の出会い
――団子屋の軒下――
「おや? 新しいお客さんにゃ?」
泣いている
オレンジ色のボブカット髪をした少女であり、猫耳としっぽが生えている。着物の
稲姫はビクッとしながら、初めて見る琥珀に驚き、隣に座る
「琥珀。戻ってきてたのか」
「さっき戻ってきたところにゃ」
神楽と琥珀が親しげに会話している。稲姫は少し
「稲姫。こっちは琥珀。俺の仲間だよ」
「よろしくにゃ♪」
「よ、よろしくでありんす」
――これが、稲姫と琥珀の出会いだった。
◆
「なるほどにゃあ……そいつ、許せないにゃ」
琥珀の分のだんごも注文し食べ終えると、稲姫がここに来た経緯を神楽が琥珀に話して聞かせる。話を聞き終えた琥珀は、たいそう怒っていた。
「そいつらは『神の力を集めている』とも言ってたそうなんだ。俺達としても無視できない」
他人事ではない、とあらためて神楽は言う。
「それで長老に今から話しに行くところさ。――その前にちょっと腹ごしらえをしてるけど」
琥珀はふむふむとうなずき――
「じゃあ、うちも付いてくにゃ」
断る理由もないので、神楽は琥珀も加えて、だんご屋を出て長老の家を目指した。
◆
「おお。神楽、今日はどうしたのじゃ?」
「長老はおられますか?」
村里の奥にある大きな屋敷、長老宅につくと、神楽は「ごめんください」と戸を叩く。中から族長の奥さんが出てきて神楽達を出迎えた。
「奥におるぞ。話があるんじゃろ? 入りんしゃい」
奥さんに案内され、神楽と稲姫、琥珀は屋敷内を進む。中庭には"ししおどし"や
「お前さん。神楽と琥珀、それとお客さんがお見えですよ」
「
襖の奥から
「よく来たな。とりあえず入れ」
――長老に声をかけられ、神楽達は稲姫が巻き込まれた事件について相談するため、大広間へと入るのだった。
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