第20話 剣術闘技会 終幕
「やっと剣を抜いたね」
「こっからだぞアレスト」
剣を抜いたセラスタを見てアレストとセレストの動きが1段階早くなった
アレストは銃を撃つ間隔が短くなって跳弾の回数が増えた
セレストはセラスタとの間合いを離すことなく至近距離での戦闘をしている
セラスタは厄介な跳弾を狙ってくるアレストを先に落としたいがセレストが間合いを離さないせいでアレストを狙うことができない
(セレストを信じるか)
セレストを蹴りあげようとしたがギリギリで気づいたセレストに避けられる
避けたセレストが見たセラスタの表情は笑顔だった
「ありがとう!」
セレストが避けてセラスタの前の壁が無くなった瞬間手に持っていた剣をアレストの右側へ投げてマントで隠していた暗器をアレストの左側へ投げた
そしてセラスタがもう1つ暗器を取り出してアレストの方へ向かった
「しまっ……!」
急いでセラスタの前に入ろうと動いたセレストだったがカルエトの声が響いた
『セレスト副団長紐が切られたため敗退!』
カルエトの声を聞いていつのまにか投げられていた暗器に気づかず左腕に着けていた紐が切れているのを見てすぐに動きを止めて会場から離れて観戦した
セレストの紐が切られていることにすぐに気づいていたアレストはすでにリボルバーライフルからライフル銃に持ち替えて銃口をセラスタに向けていた
「やっぱ持ち替え早いな」
アレストが発砲した弾を手に持っていた暗器を投げて弾いた
投げたと同時に暗器を取り出して一気に距離を詰めてアレストの左腕に着いている紐を切った
『アレスト副団長の紐が切られました!
剣術闘技会決勝戦勝者は!
セラスタ•アルベル団長です!』
カルエトの声を聞いてすぐに会場から拍手と称賛の声が鳴り響いた
「おめでとうございます!」
「3人ともすごい勝負だった!」
「他の隊長達もすごいかっこよかったぞ!」
「今年も優勝おめでとう! セラスタ団長!」
徐々にセラスタや隊長達の名前をそれぞれ呼び出した
称賛の声を聞きながら俺とアレストは隊長席に移動するために会場を離れた
「なんであの時蹴りを選んだ」
先に会場から離れて待っていたセレストがセラスタの目を真っ直ぐ見据えながら言った
「お前が避けるって信用したから」
セラスタが柔らかい笑みを浮かべてセレストの目を見据えた
「ねぇ団長僕のこと褒めてくれないの?」
蚊帳の外にされていたアレストが拗ねたようにセラスタの顔を覗き込んだ
「すごいやりにくかった」
「え? それだけ?」
真顔で言われてアレストが悲しそうに肩を落としていたらセラスタが肩を叩いた
「屋外での跳弾は俺は出来ないことだから誇れ」
そう言ってアレストに背を向けて隊長席に移動するセラスタの背中を見て叩かれた肩を自分で掴んで嬉しそうな笑顔を浮かべていた
「相変わらず言葉が足りないなあいつは」
「団長からの『誇れ』って言葉だけで充分満足だよ」
そう言って目に嬉しさと悔しさを滲ませて唇を噛み締めながら涙を浮かべるアレストの背中をセレストが思いっきり叩いた
「いつか本気で相手してもらおう」
「そうだね」
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「帰ってきたじゃん」
「お疲れ様ったい」
出迎えてくれたピラーサとマカトに「ただいま」と言って隊長席に戻ってからすぐにポルトから「締めの挨拶しな」と言われた
「団長さんが締めんで誰が締めると思っとんの」
前に立って少し目を瞑って今日を振り返った
『今日は隊長の実力を隊員にも民衆にも示せたと思う。隊員達は自らの目標に向けて日々精進するのを怠るな
そして民衆の方々は今後も騎士団がお守りすることを約束いたします』
そう言って礼をしたセラスタを大きな歓声と拍手が包んだ
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