第5話 助けた相手は
「げぇぇぇぇ!」
化け物を倒したあと俺はその惨劇を目の当たりにして吐かずにはいられなかった。
「ありがとうございます、大丈夫ですか!」
俺が助けた男は礼を言いながら俺の背中をさすってくれる。
「ありがとうございます、すいません・・・」
俺が落ち着くまで少し時間がかかるのであった。
「えーと、ありがとうございます。
大変お見苦しい姿をお見せしました。」
立ち直った俺は快方してくれた男に礼と謝罪をする。
「いえいえ、助けられたのは私の方です、あのままだと私は尊厳を失った上に殺されていたでしょう。
貴方は命の恩人だ。」
「いえ、義を見てせざるは勇無きなりと昔教わりまして、見逃せ無かっただけです。
その後の醜態は・・・お恥ずかしい限りです。」
「それは素晴らしい教えですな。
おっと、名乗り遅れましたな、私はアイン・マリネロと言います。」
「私はクスノキ・マサキです。」
「クスノキ・マサキさんですか、あらためて助けていただき感謝します。」
俺はアインのお礼を受けるのだった。
それから、森を抜ける為に二人で歩き出す。
「マリネロさんはこちらから来たのですか?」
「ええ、来たというか攫われていたというか・・・
それより、私の事は家名のマリネロではなく、アインと呼んでください。
私もクスノキと呼ばせてもらっても宜しいですか?」
「家名が後ろなんですか?」
「ええ、クスノキさんの住んでいた所は違うのですか?」
「ええ、私の住んでいた所では家名が前になりますね。」
「では、マサキが名前ということですか?」
「そうなりますね。」
「ならば、マサキさんと呼ばせてもらいますね。」
「はい、私もアインさんと呼ばせてもらいます。」
俺はアインから色々話を聞くことに成功していた。
この国はテューアという国であり、アインはその国の貴族だということがわかった。
「アインさん・・・様は貴族なのですか?」
「様はいりませんよ、貴族とはいえ、マサキさんは命の恩人です、私としては対等な友人としてお付き合い願いたいですね。」
「え、えーといいんでしょうか?」
「いいんです、命の恩人を下に見たりは出来ません、貴方がいなければ私はいないのですから。」
「なら、アインさん、友人としてよろしくお願いします。」
俺はアインと握手をかわす。
「アイン様!どこにいらっしゃいますか!!!」
「どうか返事をしてください!」
アインを探す声が聞こえてきた。
「どうやら迎えが来たようですな、マサキさんはこれからどうするのですか?」
「それなんですが近くの街まで案内してもらえないでしょうか?」
「近くの街までですか?」
「ええ、目が覚めたら森に倒れていたのでここが何処かわからないのです。」
「なるほど、それならば私の家に来るといい、友として歓待させてもらいたい。」
「いや、そこまでは悪いような。」
「行き先の無い友を放り出すような真似をするつもりはありませんよ、さあ私と共に行きましょう。」
アインに手を引かれながら俺はアインの屋敷に向かうことになるのであった。
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