第4話 ひげ面の店で朝食を

 ここで朝飯を出してもいいが、とメッサーは言ったが

「女にしか作らんことにしてる。食いに行こう。たむろするにはいいところを知っている」

とNに用意を促す。

「女性とここで寝て、朝ご飯を作って出すんですか」

「アフターサービスの充実はリピーターを増やすコツだよ」

 そういう男か。この人は。


 朝の乱雑な時間。仕事場に通勤するものもいれば、夜の街から帰るものもいる。

 無計画に作られているこの町でよそから来た人間は一度は迷う。

 一度で済めばいい。何年も前に来ていまだに迷う男もいる。

 ドワーフもいる。

 そういうドワーフの男がやってる店が二人の目的地だ。


「いらっしゃい」

 狭い店だが内装はしゃれている。

 飲食店のオーナーとして差支えがあるひげだるまの小さなドワーフがカウンターの向こうにいる。これが気にならなければ安くて早くてまぁまぁな食べ物を出すいい店。

 時間帯が微妙なので通勤客がちらほらいる程度、冒険者は僕だけか。

「昼を過ぎると有閑マダムがたまり場にしてる穴場なんだ」

 そういって今日のおすすめなるものを二つ頼むメッサー。

「食べれないものは?」

「特にありません」

 そういったらすぐに出てきた。

 薄切りの肉と野菜をパンで挟んだものとコーヒー。

「早いですね」

「通勤客相手だ。さっさと出すからさっさと食って出てけって店だよ」

「そこで居座ろうっていうんですが」

「いいよ。それは特別だ。いっても聞きゃしねぇ」

 注文しても何も言わなかったドワーフがそう答えた。

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